この回の出題傾向
この回の公開選択式は60問で、内訳は物理・機器・解析10問、製剤・品質管理4問、安全管理・線量・法規5問、脳神経9問、循環器9問、腫瘍・炎症6問、内用療法3問、一般臓器・検査手技14問です。
同じ公開60問形式の他13回平均に比べ、一般臓器・検査手技は3.5問多く、製剤・品質管理は1.7問少ない構成です。
代表的なテーマは放射能と線量の単位、複数核種検査の順序と残留光子、広範な前下行枝虚血と生存心筋、骨シンチに描出される肝転移の石灰化です。問題数の差は難易度の差を示すものではありません。
公開選択式60問を主題により当サイトで一問一分類。公式の分野配点ではない。 比較は同じ公開形式の他回に限り、主題の重複計上はしていません。
核医学専門医試験・第16回(2019年)
問題は日本核医学会のHPを別タブで開いて確認しながら取り組んでください。問題文・選択肢・画像は掲載していません。
問題番号を押すと、出題テーマ・解答例・各選択肢の判定理由・根拠資料を確認できます。非公式の解答例です。未確定の項目は理由を明記しています。
解答候補として掲載:問21、問23、問24、問26、問28、問29、問36、問38、問46、問52、問54、問55、問56、問58、問60。解答未確定:問25、問39。各項目に理由を記載しています。
核医学総合・問1
解答例:b
考え方
Kr81mは親核種Rb81から検査施設で取り出す。親核種の製造と、使用直前の娘核種の供給方式を区別する。
各選択肢の解説
- a:非該当 — F18は通常、濃縮酸素水等への荷電粒子照射により製造する。
- b:該当 — Kr81mはRb81/Kr81mジェネレータから供給する。親核種Rb81は加速器製造だが、娘の供給方法を問う文脈で選ぶ。
- c:非該当 — In111は通常サイクロトロンで製造する。
- d:非該当 — I123は通常、荷電粒子反応を利用して製造する。
- e:非該当 — Tl201は加速器で得た親核種の分離等を経て製造する。
根拠・参考文献
- IAEA Nuclear Medicine Physics handbook (2014):核壊変、計測、検出器、定量モデルおよび製剤の生理的標的。
核医学総合・問2
解答例:d
考え方
βプラス壊変では質量数を保ち原子番号が一つ減る。F18の娘核種はO18となる。
各選択肢の解説
- a:誤り — 質量数を三つ失う反応ではない。O15は別の短寿命核種。
- b:誤り — 質量数16へ変わるのではなく、核子数18を保つ。
- c:誤り — 核子数を一つ減らす過程ではない。
- d:正しい — 陽子が中性子へ変わり、フッ素から酸素へ、質量数は18のまま移る。
- e:誤り — 元素を保ったまま質量数を増やす反応ではない。
根拠・参考文献
- IAEA Nuclear Medicine Physics handbook (2014):核壊変、計測、検出器、定量モデルおよび製剤の生理的標的。
核医学総合・問3
解答例:e
考え方
観測計数率を毎秒へ変換して検出効率で割る。720/60/0.8=15 Bq。バックグラウンド等が適切に処理されている前提の計算である。
各選択肢の解説
- a:誤り — 5 Bqでは効率80%の観測率は4 cps、240 cpmとなり少なすぎる。
- b:誤り — 7 Bqでは5.6 cps、336 cpmにとどまる。
- c:誤り — 10 Bqでは8 cps、480 cpmとなる。
- d:誤り — 12 cpsは観測率であり、未検出の壊変を補う効率補正が欠ける。
- e:正しい — 15壊変/秒の80%を検出すれば12 cps、720 cpmと一致する。
根拠・参考文献
- IAEA Nuclear Medicine Physics handbook (2014):核壊変、計測、検出器、定量モデルおよび製剤の生理的標的。
核医学総合・問4
解答例:e
考え方
放射能は壊変率、吸収線量・カーマはエネルギー/質量、実効線量は放射線防護量であり、それぞれの単位を区別する。
各選択肢の解説
- a:正しい — 線減弱係数を密度で割ると面積/質量の次元となる。
- b:正しい — カーマは非荷電放射線が生じさせる荷電粒子の初期運動エネルギーを単位質量当たりで示し、J/kgすなわちGyを用いる。
- c:正しい — 照射線量は空気中に生じたイオン電荷を質量で規格化する。
- d:正しい — 吸収エネルギー/質量を示すSI単位GyはJ/kgに等しい。
- e:誤り — 実効線量はSvで示す。Bq/gは質量当たり放射能であり、実効線量ではない。
根拠・参考文献
- IAEA Nuclear Medicine Physics handbook (2014):核壊変、計測、検出器、定量モデルおよび製剤の生理的標的。
核医学総合・問5
解答例:a
考え方
CZTは放射線が半導体内に作る電荷を読み出す。光を介するシンチレータや気体電離のGM管と区別する。
各選択肢の解説
- a:該当 — CdZnTeは電荷収集型の半導体検出材料で、専用SPECT等に用いられる。
- b:非該当 — GM管は気体の電離・放電増幅を利用する。
- c:非該当 — GSOは入射放射線を光へ変換するシンチレータ。
- d:非該当 — LSOはPETにも使われるシンチレータで、CZTのような電荷直接変換型ではない。
- e:非該当 — NaI(Tl)は従来のガンマカメラ等に使うシンチレータ。
根拠・参考文献
- IAEA Nuclear Medicine Physics handbook (2014):核壊変、計測、検出器、定量モデルおよび製剤の生理的標的。
核医学総合・問6
解答例:a
考え方
通常のPETは対向検出器の同時計数により応答線を決める。SPECTの機械的コリメーションと区別する。
各選択肢の解説
- a:関係しない — ファンビームは主にSPECTの方向選択・拡大に用いる機械的コリメータ。通常PETの電子的方向選択には使わない。
- b:関係する — 被検者へ投与した薬剤からの放射を収集する測定である。
- c:関係する — 検出器対間の感度差等を補正し、一様な線源を一様に再構成するために必要。
- d:関係する — 所定の時間窓内で検出された光子対を同時計数として扱う。
- e:関係する — PETの画像放射能濃度と放射能測定器の基準値をそろえる校正が定量の基礎となる。
根拠・参考文献
- IAEA Nuclear Medicine Physics handbook (2014):核壊変、計測、検出器、定量モデルおよび製剤の生理的標的。
- EANM FDG PET/CT tumour imaging guideline 2.0:SUVの体格正規化、時刻基準、校正とFDGの集積機序。
核医学総合・問7
解答例:c
考え方
酸素の輸送・交換・消費をモデル化して血流や代謝を推定する。画像の位置合わせや周波数分解を、同じ生理量の標準算出法と混同しない。
各選択肢の解説
- a:標準的な対応ではない — 甲状腺摂取率は基準放射能と甲状腺計数を背景・減衰補正して求める。時間曲線が役立つ検査はあるが、この組合せの主たる算出法ではない。
- b:誤り — GFRは血漿クリアランスやDTPAの定量等で評価し、フーリエ変換そのものから算出しない。
- c:正しい — O15の入力関数と組織動態を生理的区画に対応させ、所定のモデル仮定下で酸素代謝を求める。
- d:誤り — EFは心周期内の容積・計数変化から求める。アフィン変換は位置・大きさなどの幾何学的整合に使う。
- e:誤り — 右左シャント率は肺と全身・脳等の放射能分布から推定する。位相解析は主として周期的動態等に使う。
根拠・参考文献
- IAEA Nuclear Medicine Physics handbook (2014):核壊変、計測、検出器、定量モデルおよび製剤の生理的標的。
核医学総合・問8
解答例:c
考え方
9 kBq/mL×50000 g/150000 kBq=3.0(密度1 g/mL)。画像が投与時へ減衰補正済みなので、撮像開始時刻による減衰をもう一度加えない。身長は体重SUVの基本式に使わない。
各選択肢の解説
- a:誤り — 正しい体重正規化の結果の半分であり、単位をそろえた式と合わない。
- b:誤り — 投与時へ補正済みの画像に時刻補正を重ねると、共通の放射能基準を崩す。
- c:正しい — 組織濃度を実投与量/体重で割ると3.0になる。
- d:誤り — 55分の減衰を投与量だけへ適用するなど、基準時刻を不一致にしてはいけない。
- e:誤り — 正しい計算の二倍で、体重・投与量・濃度の与条件と一致しない。
根拠・参考文献
- EANM FDG PET/CT tumour imaging guideline 2.0:SUVの体格正規化、時刻基準、校正とFDGの集積機序。
核医学総合・問9
解答例:c
考え方
MIBIは血流と生存細胞の膜電位に依存する心筋取り込みを利用する。核種や臓器名だけでなく測定対象の生理機能を確認する。
各選択肢の解説
- a:誤り — 標識CO2は肺で標識水となり脳血流を評価する。酸素代謝そのものをこの一製剤だけで直接測るわけではない。
- b:誤り — FDGが評価するのは主に糖輸送・リン酸化による糖代謝で、核酸代謝ではない。
- c:正しい — MIBIの心筋取り込み分布を心筋灌流評価に用いる。
- d:誤り — HMDPは血流と骨形成反応を反映する。骨塩量を直接定量するDXA等と同一ではない。
- e:誤り — MIBGはノルアドレナリントランスポータ等による取り込み・貯蔵を評価し、受容体への結合像ではない。
根拠・参考文献
- IAEA Nuclear Medicine Physics handbook (2014):核壊変、計測、検出器、定量モデルおよび製剤の生理的標的。
核医学総合・問10
解答例:d
考え方
イオマゼニルの標的は中枢性ベンゾジアゼピン結合部位。ドパミン受容体・ドパミントランスポータとは別の分子である。
各選択肢の解説
- a:正しい — COはヘモグロビンへ結合し血管内に残る性質から脳血液量を求める。
- b:概ね正しい — 脳は糖利用が高く、腎・尿路はFDG排泄で描出される。腎の描出には濾過・排泄も含み、すべてを細胞代謝と同一視しない。
- c:正しい — 脂溶性ECDが関門通過後に加水分解され、親水性の形となって脳内に保持される。
- d:誤り — イオマゼニルはGABA-A受容体複合体の中枢性ベンゾジアゼピン結合部位を評価する。
- e:正しい — MDPは骨ミネラル表面に結合し、骨形成や局所血流に応じた分布を示す。
根拠・参考文献
- IAEA Nuclear Medicine Physics handbook (2014):核壊変、計測、検出器、定量モデルおよび製剤の生理的標的。
核医学総合・問11
解答例:e
考え方
物理的半減期を約8日とすると、1/Tb=1/6−1/8=1/24。生物学的半減期は約24日。実効半減期が物理的半減期より短いのは、物理壊変に生物学的排泄が加わるためである。
各選択肢の解説
- a:誤り — 生物16日と物理8日では実効約5.33日となり、与条件6日と一致しない。
- b:誤り — 生物18日なら実効約5.54日となる。
- c:誤り — 生物20日なら実効約5.71日であり、計算による約24日と異なる。
- d:誤り — 生物22日なら実効約5.87日となり、選択肢中では24日が適切。
- e:正しい — 生物24日と物理8日の逆数和は1/6となる。I131の物理値8.02日で計算しても約23.8日で最も近い。
根拠・参考文献
- IAEA Nuclear Medicine Physics handbook (2014):半減期と体内動態、線量計算、放射線の性質。
核医学総合・問12
解答例:e
考え方
同じヨウ素でも質量数により半減期と放出線が異なる。Ra223の物理的半減期は約11.4日である。
各選択肢の解説
- a:誤り — N13は約10分。約2分はO15の代表値。
- b:誤り — Tc99mは約6時間で、I123の約13時間と取り違えない。
- c:誤り — In111は約2.8日。約110分はF18の代表値。
- d:誤り — I123は約13時間で、Tc99mの約6時間と異なる。
- e:正しい — Ra223は約11.4日のα線放出核種である。
根拠・参考文献
- IAEA Nuclear Medicine Physics handbook (2014):半減期と体内動態、線量計算、放射線の性質。
- FDA Xofigo製品表示2018・第11節:Ra223の物理的半減期11.4日とα線放出を原文確認。現在の国内適応・用量をこの旧米国表示から判断するものではない。
核医学総合・問13
解答例:e
考え方
rhTSHを用いることで、適応を満たす術後患者では甲状腺ホルモン補充を続けながらTSH刺激を得られる。アブレーションは正常残存甲状腺組織の処理であり、既知の再発・転移治療とは目的を区別する。
各選択肢の解説
- a:誤り — 18歳以下という年齢だけを一律の絶対禁忌にする記載ではない。小児は病態・利益・リスクを専門的に評価する。
- b:誤り — 国内外来の1110MBqアブレーションの扱いを、3.7GBqへそのまま拡張しない。施設条件と退出基準が異なる。
- c:誤り — 明らかな頸部再発病変の治療と、全摘後の残存正常組織処理という目的を区別する。
- d:誤り — 通常は全摘または準全摘後の少量残存組織を対象とし、片葉を残した状態の一律処理を指さない。
- e:正しい — 外因性TSHで刺激するため、休薬による甲状腺機能低下を避ける準備が可能。対象と承認条件を満たすことが前提。
根拠・参考文献
- PMDA タイロゲン再審査報告2020:全摘・準全摘後で遠隔転移を認めない分化型癌のアブレーション補助という適応。
- 日本核医学会 外来アブレーション確認事項:国内の外来1110MBqの対象と安全管理。
核医学総合・問14
解答例:d
独自解答(当時の国内調製手順を確認・公式解答未確認)
考え方
当時の国内調製手順では、In-111標識の反応は30分、Y-90標識は5分である。Y-90の半減期・抗体標的・β線の飛程も区別し、隣接細胞への直接照射はクロスファイア効果として理解する。
各選択肢の解説
- a:誤り — Y90の物理的半減期は64.1時間、約2.7日である。
- b:誤り — 抗体の標的はCD20であり、CD34ではない。
- c:誤り — 高エネルギーβ線の組織内飛程はmm単位に及び、約100µmというα線に近い短飛程の説明とは異なる。
- d:正しい — 2018年国内IFの各Step3では、In-111に30分、Y-90に5分の静置時間が指定される。投与にかける時間と混同しない。
- e:用語上不適切 — 放出β粒子が周辺細胞へ直接到達する効果と、直接照射されない細胞の生物学的応答を混同しない。
根拠・参考文献
- PMDA ゼヴァリン承認時添付文書案・設定根拠:CD20への結合、Y90の物理特性。反応時間は併記の当時国内メーカーIFを根拠とする。
- IAEA Nuclear Medicine Physics handbook (2014):半減期と体内動態、線量計算、放射線の性質。
- ゼヴァリン2018年10月第12版インタビューフォーム:PDF22頁・印刷17頁のIn/Y各Step3。2016年3月添付文書に基づく試験当時資料。
核医学総合・問15
解答例:a
考え方
品質保証は製造ロットと工程に対応して行い、半年に一回だけのエンドトキシン試験へ置き換えない。核種の違いと、同じ核種でも異なる化学形を分けて測定する。
各選択肢の解説
- a:誤り — 注射剤の安全性を、半年に一回の確認だけで担保できない。製造ロットに応じた規格・試験手順を守る。
- b:正しい — 実投与放射能と定量・線量に関わるため放射能量の確認が必要。
- c:正しい — 標識していない残留試薬等の化学的不純物も管理対象になる。
- d:正しい — ガンマ線のエネルギーから別核種の混在を評価する方法がある。化合物の同定とは別。
- e:正しい — 放射能検出付きクロマトグラフィは、目的化合物と放射化学的不純物の分離・割合評価に用いる。
根拠・参考文献
- 日本核医学会 院内FDG製造・診療ガイドライン第2版:FDG品質規格、ロット・製造記録と純度・生物学的安全性の試験。
核医学総合・問16
解答例:c
考え方
製剤の保存温度・解凍履歴と指定調製方法を守る。酸化・微生物・別薬剤の混入や、陽圧による放射性物質の漏出を防ぐ。
各選択肢の解説
- a:誤り — Tc標識は還元を利用する。酸素を積極的に加えてTcを酸化させる趣旨ではなく、不活性ガス等で酸化を避ける。
- b:誤り — 指定の室温へ戻す工程を省略して冷たいまま標識する一般手順ではない。
- c:正しい — 再凍結は品質変化を生じ得るため、凍結製品の指定保存・解凍条件に従い、再凍結したものを期限内というだけで使わない。
- d:誤り — キット間の試薬混入を避けるため、同じ注射筒で複数キットを連続操作しない。
- e:誤り — 空気を加えて陽圧にすると酸化や漏出の原因になる。製品に従った陰圧・ガス抜き等の管理を行う。
根拠・参考文献
- 4学会 放射性医薬品取扱ガイドライン第3.1版:製剤別の調製、無菌操作、酸化・漏出・交差汚染の防止。後年の資料による原理補足。
核医学総合・問17
解答例:e
考え方
外部被曝の時間・距離・遮蔽と、吸入・摂取・汚染を防ぐ内部被曝対策は役割が異なる。ガスは漏出・吸入防止の管理が重要となる。
各選択肢の解説
- a:誤り — 吸い込みにくく除染しやすい、液体が浸透しない表面が適する。
- b:誤り — 放射性医薬品基準は医薬品の性状・品質等の公定基準で、院内調製の操作手順書だけを意味しない。
- c:誤り — 三原則は主に外部被曝対策で、内部被曝には封じ込め、換気、汚染・吸入防止などが必要。
- d:誤り — 治療の患者利益と作業者の外部被曝防護は別で、調製・運搬にも適切な遮蔽が必要。
- e:正しい — 放射性ガスの作業室への漏出により吸入被曝を生じ得るため、回路・排気・回収等を管理する。
根拠・参考文献
- 4学会 放射性医薬品取扱ガイドライン第3.1版:製剤別の調製、無菌操作、酸化・漏出・交差汚染の防止。後年の資料による原理補足。
核医学総合・問18
解答例:c
考え方
単一指数の近似では投与放射能×初期臓器集積率と有効半減期から積算壊変数を求め、標的質量でエネルギーを規格化する。化学形の影響が実測・指定動態へ反映されていれば、別の直接入力は不要。
各選択肢の解説
- a:必要 — 初期集積率が割合だけなら絶対放射能へ変換する投与量が必要。初期臓器放射能そのものが既知の場合とは区別する。
- b:必要 — 単位質量当たり吸収エネルギーへ換算するため標的組織の質量が必要。
- c:別の直接入力は不要 — 化学形は体内動態に影響するが、臓器初期集積と有効半減期が指定済みなら、基本の自己線量式へさらに化合物名を代入しない。
- d:必要 — 臓器放射能の時間積分、すなわち総壊変数を決める。
- e:必要 — 投与量のうち標的組織に入る割合から臓器初期放射能を求める。
根拠・参考文献
- IAEA Nuclear Medicine Physics handbook (2014):半減期と体内動態、線量計算、放射線の性質。
核医学総合・問19
解答例:d
考え方
放射性ヨウ化物は胎盤を通り、機能が発達した胎児甲状腺へ濃縮される。ほかの薬剤も胎盤・胎児線量を評価する必要があり、ヨウ素以外は自由に使えるという意味ではない。
各選択肢の解説
- a:選択しない — FDGにも胎盤通過と胎児被曝があり、妊娠例では正当化・代替法・投与量を評価する。
- b:選択しない — 骨製剤も妊娠例で無条件に安全ではないが、本問で焦点となる胎児甲状腺濃縮とは別。
- c:選択しない — 髄液・血中からの動態や胎児線量を検討し、必要性なく投与しない。
- d:最も避ける対象 — 胎児甲状腺への選択的取り込みが問題となり、放射性ヨウ化物の妊娠中の使用は避ける。
- e:選択しない — Tlにも胎児への影響を考慮するが、ヨウ化物の甲状腺濃縮を問う設問とは区別する。
根拠・参考文献
- EANM/SNMMI 甲状腺摂取率・シンチグラフィ指針2019:甲状腺へのヨウ化物取り込みと、妊娠・授乳中の放射性ヨウ素検査に関する注意。
- IAEA Nuclear Medicine Physics handbook (2014):半減期と体内動態、線量計算、放射線の性質。
核医学総合・問20
解答例:e
考え方
短い半減期という物理的事情だけでは、一般廃棄への法的例外にならない。告示指定核種と数量、混入防止、封・表示、管理区域での所定期間の保管などの条件を満たす必要がある。
各選択肢の解説
- a:指定対象 — C11は告示に列挙される。ただし数量と分別・保管等の条件を満たすことが必要。
- b:指定対象 — N13は告示に列挙される。単に検出されなくなればよいという制度ではない。
- c:指定対象 — O15は告示に列挙されるが、短寿命だけを理由に手順を省略しない。
- d:指定対象 — F18は告示に列挙される。ほかのRI等の混入を防いだ保管が前提。
- e:指定対象外・正答 — Ga68を告示の四核種へ独自に追加して扱うことはできない。2019年設問の指定対象を問う。
根拠・参考文献
- 厚生労働省告示第306号・PET診療用RIの種類数量と保管期間:告示第一条のC11/N13/O15/F18と数量、第二条の封をした日から起算した7日間を原文確認。
- 厚労省 診療用放射線取扱い通知2022:分別、封、表示と7日を超える廃棄施設内保管等の要件。試験後の統合通知による補足。
核医学総合・問21
解答例:b
独自解答候補(通常の高用量・実施条件を想定)
考え方
遠隔転移の通常高用量I-131治療は治療病室で管理する。入院・退出は核種と疾患名だけで決めず、投与放射能、残存放射能・線量率、個別積算線量、施設条件に基づく。外来1110MBqアブレーションは対象条件を満たす別枠の運用である。
各選択肢の解説
- a:一律入院ではない — 甲状腺機能亢進症では、退出基準と指導体制を満たす外来治療が可能。
- b:最も適切 — 遠隔転移に対する高用量治療では外来1110MBqアブレーションの枠組みを適用せず、通常は治療病室を使用する。
- c:一律入院ではない — Ra223は所定の退出基準と安全管理に従い、外来投与が可能。
- d:一律入院ではない — 対象を満たす1110MBq術後アブレーションは外来の枠組みがある。高用量まで無条件に外来とはしない。
- e:一律入院ではない — Y90標識抗体も退出基準と安全管理を満たせば外来実施が可能。
根拠・参考文献
- 厚生労働省2010年退出通知:I-131/Y-90の退出判断枠組み
- FDA Xofigo prescribing information2018:Ra223投与後の防護・排泄物取扱い。日本の入院規定そのものの根拠ではない。
- JRIA Ra-223適正使用マニュアル2016:国内Ra-223の実施・退出管理
核医学総合・問22
解答例:d
考え方
IMPとECDでは初回抽出・細胞内保持が異なる。ECDは高血流域を相対的に過小評価しやすく、薬剤を変えた経時比較では分布差を病態変化と誤認しない。
各選択肢の解説
- a:正しい — IMPとECDは国内で用いられる代表的な脳血流SPECT製剤。
- b:正しい — 一般にIMPの初回抽出率はECDより高い。抽出と最終保持は区別する。
- c:原則として妥当 — 放射性ヨウ素薬では遊離ヨウ素の甲状腺集積を抑える前処置を検討する。製剤別の添文・施設手順に従う。
- d:誤り — ECDの高血流域での直線性低下があり、IMPより過小評価を避けやすいとする説明は逆。
- e:正しい — 同一トレーサ・撮像条件で比較し、製剤固有の分布差を減らす。
根拠・参考文献
- 小野ほか:中枢神経系疾患における99mTc-ECD SPECTの有用性―特に123I-IMPおよび99mTc-HM-PAO SPECTとの比較(核医学1992;29:1429–1440):IMPで求めた局所脳血流量との比較において、ECD/HMPAOの直線性が高血流で低下したという14例の臨床検討。問dの判断と製剤間分布差を直接支持。 初回抽出率の定量値、甲状腺ブロック前処置、全ての条件でのIMP優位までこの小規模研究から保証しない。
核医学総合・問23
解答例:a
解答候補(半減期を基準とした出題想定。臨床日程は条件依存)
考え方
短半減期のF18を先行し、次にTc99m、最後にI123とすると、先行核種が後続のSPECTへ与える干渉を減らしやすい。これは核物理学的な順序の判断で、実際の日程は発作・薬剤・収集条件も調整する。 投与量、検査間隔、エネルギー窓、検出方式によって相互干渉は変わる。三検査の順序を直接指定する臨床指針は未確認である。
各選択肢の解説
- a:最も適切 — 約110分のF18、約6時間のTc99m、約13時間のI123の順に実施し、先行薬の残存を抑える。
- b:不利 — 長く残るI123をTc99mより先にすると、後続Tc画像への残存光子の影響が問題になる。
- c:不利 — Tc99mが残った状態でFDG検査を挟む必要があり、最短の残存管理の順序ではない。
- d:不利 — より短半減期のFDGを最後にする利点がなく、先行SPECT核種の残留がある。
- e:不利 — 最も長く残るI123を先行させ、後のTc99m画像に干渉し得る。
根拠・参考文献
- IAEA Nuclear Medicine Physics:核種の物理的半減期と光子特性。三検査の実施順序を直接推奨する臨床指針ではない。
核医学総合・問24
解答例:a
独自解答候補(aは絶食不要という実務上の意味)
考え方
アミロイド結合を評価する検査で、FDG型の血糖・インスリン対策を目的とする絶食は通常必要としない。製剤ごとの投与量・待機時間と、白質の非特異集積を区別する。
各選択肢の解説
- a:適切な選択 — FDG型の血糖・インスリン対策としての絶食を通常必要としない。鎮静を行う場合など、別理由の前処置は個別に確認する。
- b:誤り — Florbetapirの代表的撮像開始は投与後30~50分。Flutemetamolの遅い撮像条件と混同しない。
- c:誤り — 脳幹や白質にも非特異的な取り込みがあり、無集積ではない。
- d:誤り — Flutemetamolの標準的放射能は185MBqで、370MBqはFlorbetapirの代表値。
- e:誤り — アミロイド陰性例でも白質集積があり、正常白質が全く描かれないわけではない。
根拠・参考文献
- FDA Amyvid prescribing information2025:Florbetapirの370MBq、30~50分の撮像と白質・灰白質の判定。
- DailyMed Vizamyl prescribing information:Flutemetamolの185MBq、白質・脳幹を含む画像解釈。食事の完全な無影響を定量証明する資料としては扱わない。
- SNMMI/EANM Amyloid PET practice guideline2016:試験前の製剤別撮像条件・患者準備。絶食不要の比較試験そのものではない。
- SNMMI Amyloid Imaging Update2024:絶食・血糖測定不要を明示。試験後の実務補足として区別。
核医学総合・問25
解答例:未確定
未確定(BMIPP心縦隔比の研究と予後検証を区別)
考え方
BMIPPでも平面像の心縦隔比を評価する研究があり、その指標が存在しないという説明は誤る。確認した原著は心不全の重症度指標との関連を示すが、予後イベントの直接検証は示していない。標準的なMIBG予後指標との区別は有用だが、本設問の単一誤答を断定するには追加資料が必要である。
各選択肢の解説
- a:正しい — 分岐鎖脂肪酸アナログの取り込み・保持を用い、心筋脂肪酸利用の異常を評価する。
- b:正しい — I123は約13時間で、Tc99mの約6時間より長い。
- c:正しい — 血流が回復していても脂肪酸代謝障害が残り、先行虚血を示すことがある。
- d:実施可能 — I123とTl201のエネルギー差を利用する。クロストーク・散乱や画質への注意が必要。
- e:未確定 — BMIPPの心縦隔比は研究されている。確認した原著はLVEF・BNP等との関連を示すが、死亡や心不全入院の予測を直接検証したとは確認できず、無用とも有用とも断定しない。
根拠・参考文献
- 日本循環器学会 心臓核医学検査ガイドライン2009:心筋製剤の抽出率・分布、負荷機序、心電図同期と減弱アーチファクト。
- Akashi et al. BMIPP delayed scintigraphy2007:H/Mとwashoutの実在、CHFとAPの比較、LVEF/BNP相関。予後イベント追跡の記載なし。
- 日本心臓核医学会 MIBGの応用:MIBG H/Mの心不全予後・リスク評価。
核医学総合・問26
解答例:b
出題想定候補(相対灌流欠損を需給虚血と同一視しない・公式解答未確認)
考え方
アデノシンは主に冠血流予備能の差を可視化し、可逆性欠損はすべて酸素需要に対する絶対血流不足を意味しない。Tc血流検査の通常の負荷・安静法では別投与を行うが、これをTlの再静注法と同じ意味に固定しない。選択肢の表現に曖昧さがあるため断定を避ける。
各選択肢の解説
- a:誤り — Tc製剤は投与放射能・光子エネルギー等の点から良好な計数統計を得やすく、同期収集に適する。
- b:条件付きの想定解 — 可逆性欠損は臨床的に虚血性病変の指標となるが、血管拡張による相対的血流差だけの場合もあり、全例で需給不均衡とは断定しない。
- c:誤り — 通常8または16分割等を選択し、32分割以上を一律推奨しない。分割を増すと各相の計数が減る。
- d:用語・実施法の解釈に留保 — 通常のTc製剤の負荷・安静比較ではそれぞれ投与する。一方、Tl検査の再静注法とは用語を区別するため、「再静注」が何を指すか確認せず一律に必須・不要とは断定しない。
- e:誤り — Tlは一般に初回抽出率が高く、Tc製剤は高血流域で抽出率の低下により集積増加が頭打ちになる。
根拠・参考文献
- JCS心臓核医学検査ガイドライン:負荷法、Tcの負荷安静プロトコルとTl再分布・再静注の区別
- Comparison of dobutamine and adenosine perfusion MRI2004:アデノシン灌流欠損と需給虚血・誘発壁運動異常の相違
核医学総合・問27
解答例:c
考え方
Tl201は心筋以外にも筋、肝、腎、胃などへ分布する。胆のう・腸への肝胆道排泄が目立つTc-MIBI等との違いを整理する。
各選択肢の解説
- a:生理的に描出される — 肺にも分布し、肺心比の増加は心機能・重症冠疾患の指標になり得る。
- b:生理的に描出される — 肝実質に取り込みがある。
- c:最も不適切 — 胆のうへの強い生理的排泄はTlの代表的分布ではない。Tc心筋製剤の胆道分布と取り違えない。
- d:生理的に描出される — 胃粘膜への集積があり、下壁周囲の評価に影響することがある。
- e:生理的に描出される — 腎は正常集積臓器の一つ。
根拠・参考文献
- 日本循環器学会 心臓核医学検査ガイドライン2009:心筋製剤の抽出率・分布、負荷機序、心電図同期と減弱アーチファクト。
- PMDA:塩化タリウム-Tl201注射液 電子添文(2022年3月改訂):16.3.1に腎への高い集積、肺・縦隔の低い集積、肝脾の集積が記載される。正常臓器分布の一部を直接支持。 胃集積や胆のう描出を全て否定する資料ではない。胆のうは代表的強集積臓器ではないという相対的説明を維持し、絶対的非集積へ書き換えない。2019年試験より後の添文である。
核医学総合・問28
解答例:c
独自解答候補(2019年の国内薬剤適応を含む)
考え方
アデノシンは冠抵抗血管を直接拡張し、通常の運動より大きい冠血流増加を得る。患者間の反応差や薬剤干渉があるため、全例の血流倍率を固定しない。
各選択肢の解説
- a:出題当時の国内適応として誤り — ジピリダモールの冠拡張作用と、国内での負荷用薬剤の保険承認は別の問題。アデノシンと混同しない。
- b:誤り — 乳房減弱は主に前壁側、横隔膜や腹部臓器による減弱は下壁側で問題になる。
- c:一般に正しい — 血管拡張薬は強い冠拡張を起こし、通常の運動負荷より高い充血血流を得やすい。
- d:誤り — Tl201は長い半減期と体内滞留により、111MBqの実効線量を通常3mSv以下とはできない。
- e:誤り — 左脚ブロックでは主に中隔の見かけの低集積が問題になる。側壁と位置を取り違えない。
根拠・参考文献
- 日本循環器学会 心臓核医学検査ガイドライン2009:心筋製剤の抽出率・分布、負荷機序、心電図同期と減弱アーチファクト。
核医学総合・問29
解答例:b
独自解答候補(他肢は一般的傾向として解釈)
考え方
受容体画像と糖代謝画像は腫瘍の異なる性質をみる。一般に高分化NETはソマトスタチン受容体を保持し、低分化で増殖が速い癌では受容体が乏しくFDGが高い傾向がある。G3 NETと低分化NECは区別する。
各選択肢の解説
- a:概ね正しい — Ga67集積はリンパ腫の組織型に依存し、低悪性度型では感度が低いことがある。
- b:誤り — グレードが高いほど一律にペンテトレオチドが高集積となる関係ではない。分化度と受容体発現をみる。
- c:正しい — MIBGは輸送・貯蔵能を反映し、集積の有無だけで良性悪性を分けない。
- d:一般的傾向として妥当 — Tl取り込みは高悪性度の神経膠腫で高い傾向があるが、重なりがあり単独で組織分類を確定しない。
- e:傾向として妥当 — FDGとKi67の関連は報告されるが、腫瘍種や炎症等で変わり全症例で単調に一致するわけではない。
根拠・参考文献
- 日本臨床腫瘍学会 原発不明がんNETの診療指針2018:高分化NETのSSTR発現とペンテトレオチド、低分化癌のFDG優位。旧分類の説明は現在のG3 NETと同一にしない。
- NANETS high-grade neuroendocrine neoplasms consensus2023:高分化G3 NETと低分化NECの区別。
核医学総合・問30
解答例:c
考え方
頭頸部の腺、肝、骨と腸管を含む全身の分布はGa67シンチに整合する。正常臓器の組合せを手がかりにし、個々の焦点が生理的か病的かは別途評価する。
各選択肢の解説
- a:合わない — 骨製剤なら骨格と尿路が中心で、提示された腺・肝・腸の組合せを説明しにくい。
- b:合わない — 脳血流薬の標準像と異なり、脳の強い取り込みを中心とする分布ではない。
- c:最も適切 — Ga67の唾液腺・肝・骨・腸管への分布に一致する。
- d:合わない — MIBGでは肝・唾液腺等も描出されるが、本像の骨と消化管を含む分布はGaをより支持する。
- e:合わない — 過テクネチウム酸の代表分布は甲状腺・唾液腺・胃・尿路で、本像の肝・骨の組合せとは異なる。
根拠・参考文献
- PMDA:クエン酸ガリウム(67Ga)注NMP 電子添文:16.3.1の48–72時間後の骨・肝・脾集積、14.1.2の腸管排泄、6の撮像時刻を支持する。 唾液腺の記載と提示像そのもののGa判定をこの添文だけで支持しない。現添文2022年改訂は試験後。
- Salivary Gland Scintigraphy in Patients with Sjogren’s Syndrome: A local Experience with Dual-tracer(2017):原著の非Sjögren例における正常耳下腺Ga集積例と、Ga/過テクネチウム酸の唾液腺像比較。唾液腺もGa分布の手掛かりになるという限定した説明を支持する。 小規模な唾液腺検討であり全身Ga分布や試験画像を確定する資料ではない。
核医学総合・問31
解答例:e
考え方
原図は頸部・鎖骨上部から傍脊椎に連なる対称的な集積が目立ち、褐色脂肪の活性化を考える。脂肪内にあることをCTとの融合像で確認し、リンパ節や筋と区別する。
各選択肢の解説
- a:第一の説明ではない — 運動なら活動した筋の形に沿う。本像の典型的な頸部・傍脊椎分布は褐色脂肪を支持する。
- b:第一の説明ではない — 絶食条件は全体の糖代謝分布に関わるが、この局在の直接的な説明には寒冷刺激が適する。
- c:第一の説明ではない — 高インスリンは主に筋などの取り込みを増やし、この特徴的脂肪分布とは異なる。
- d:第一の説明ではない — 高血糖による競合と、局所的な褐色脂肪の活性化は分けて考える。
- e:最も適切 — 寒冷で交感神経性の熱産生が活発になり、褐色脂肪のFDG取り込みが増える。
根拠・参考文献
- EANM FDG腫瘍PET/CT指針2015:保温、褐色脂肪、運動とインスリンによる筋集積の違い。
核医学総合・問32
解答例:e
考え方
右左シャントでMAAが肺を通過すると、脳・腎などの体循環毛細血管へ捕捉される。胃・唾液腺が目立つ場合には遊離過テクネチウム酸を考え、肺外集積をすべてシャントとしない。
各選択肢の解説
- a:概ね妥当 — Kr81mは非常に短半減期で、先行換気像の影響は速やかに減る。実際には同時収集など別プロトコルもある。
- b:概ね正しい — MAAは毛細血管より大きい数十µmを中心とする粒子である。粒径分布の規格は製品ごとに確認する。
- c:概ね正しい — ごく一部の肺小血管を一過性に塞ぐ。重症肺高血圧・小児・シャントでは粒子数を調整する。
- d:時間経過を含め妥当 — 粒子は分解され、放射能は後に尿へ排泄される。未変化MAAが直ちに糸球体濾過される意味ではない。
- e:誤り — 典型的な胃粘膜・唾液腺取り込みは遊離Tcの分布。シャントした粒子の脳・腎などへの捕捉と区別する。
根拠・参考文献
- EANM肺換気血流SPECT指針2019:MAAの粒子特性、注入体位、緩徐静注と血液逆流の回避。
- Intraarterial hepatic MAA SPECT/CT before radioembolization2015:遊離過テクネチウム酸による胃・甲状腺・唾液腺分布。肝動脈投与研究であり、通常静注の肺検査と投与経路は異なる。
核医学総合・問33
解答例:a
考え方
通常は仰臥位で安静呼吸下に投与し、重力による上下肺野の分布差を減らす。粒子を均一に懸濁し、注射器への血液逆流と大きい凝集塊を避ける。
各選択肢の解説
- a:誤り — 座位では重力による下肺野優位を強めるため、均一化という目的と逆になる。
- b:実施可能 — 下肢静脈からの投与は可能で、深部静脈血栓等を評価する複合手法もある。閉塞や側副路は解釈に注意する。
- c:正しい — 沈殿した粒子を適切に懸濁する。製品の混和手順に従い強い凝集を起こさない。
- d:正しい — 血液逆流は凝集・血栓と肺の点状高集積の原因になる。
- e:正しい — ラインに粒子を残さず、所定の生理食塩液で投与経路をフラッシュする。
根拠・参考文献
- EANM肺換気血流SPECT指針2019:MAAの粒子特性、注入体位、緩徐静注と血液逆流の回避。
核医学総合・問34
解答例:b
考え方
原図は肺に加え脳・腎が描出され、MAAの体循環への流入を示唆する。適切な補正とROIを用い、肺外と全身の計数から右左シャントを定量する。
各選択肢の解説
- a:合わない — 肺と脳・腎の粒子捕捉という分布はMAAに整合し、IMPの通常の脳血流検査とは異なる。
- b:正しい — 肺を通過した粒子の全身分布から右左シャント率を求める。遊離Tcなどの誤差要因を除く。
- c:誤り — MAAが脳に見えても、これは絶対脳血流量を通常の入力関数モデルで測定した像ではない。
- d:誤り — 長時間後は粒子崩壊・遊離Tcが分布を変えるため、通常は投与後早期に収集する。
- e:誤り — 一般に安静呼吸下で緩徐に投与し、急速ボーラスを必要条件としない。
根拠・参考文献
- EANM肺換気血流SPECT指針2019:MAAの粒子特性、注入体位、緩徐静注と血液逆流の回避。
- Tc99m-MAA scintigraphy beyond pulmonary embolism2013:右左シャントでMAAが体循環へ流入し、肺外毛細血管に捕捉される症例。
核医学総合・問35
解答例:d
考え方
肝胆道製剤は投与直後からの動態を記録し、必要時は遅延像で胆汁排泄を追う。24時間後にはTc99mが約4半減期減衰するため、計数統計に配慮して収集を延長する。
各選択肢の解説
- a:誤り — 正常では胆のうへ胆汁とともに製剤が入り描出される。絶食・収縮など条件で変わる。
- b:誤り — フチン酸は主に網内系コロイドで、PMT等の肝胆道排泄製剤と機序が異なる。
- c:誤り — 一般に投与直後から肝取り込みと胆道・腸への動態を追い、最初の1時間を記録しない方法ではない。
- d:正しい — 3時間後より残存放射能が少なく、同等の計数を得るには長い収集が必要になる。
- e:誤り — 重症の肝細胞機能障害でも排泄しないことがあり、腸管非描出だけで乳児肝炎を除外できない。
根拠・参考文献
- IAEA Nuclear Medicine Physics:Tc99mの物理的減衰と計数統計。臨床の撮像手順は併記の肝胆道指針を参照。
- SNM Practice Guideline for Hepatobiliary Scintigraphy 4.0(2010):VI.D.1(誌面212頁)は投与直後から60分の動態像、状況による18–24時間遅延像を記載。VI.G.7(214頁)は腸管移行がない所見が胆道閉鎖だけでなく肝細胞障害・未熟な肝内輸送でも生じると説明。問c/eの理由を直接支持。 主にdisofenin/mebrofeninを扱う米国手順。国内PMTやフチン酸の個別製剤動態を同指針のみで保証しない。Tc99mの物理的半減期と計数延長は別の物理根拠として保持。
核医学総合・問36
解答例:e
独自解答候補(静止像のみの局在に留保)
考え方
血液プールと別に増強する左上腹部の集積から活動性出血を疑い、下行結腸側を候補とする。局在決定では最初の出現部位と腸管内移動を確認し、静止画の解剖位置だけで小腸由来を完全に除外しない。
各選択肢の解説
- a:合わない — 後の時相で背景血液プールとは別の局所集積が増し、正常とする説明は不適切。
- b:支持が弱い — 胃全体の形に沿う広がりより、左側結腸側の焦点を疑う。胃出血との確定鑑別には動態を確認する。
- c:鑑別に残る — 空腸でも左上腹部に出血が現れる。位置だけでなく最初の出現部位と腸管内移動を確認する必要がある。
- d:支持が弱い — 回腸を示す骨盤・右下腹部優位の分布ではない。腸管の可動性があり位置だけで絶対除外はしない。
- e:最も疑う — 左上腹部の時間依存性増強は脾弯曲から下行結腸側の出血に整合する。追加動態・SPECT/CT等で局在を補う。
根拠・参考文献
- SNMMI GI bleeding scintigraphy guideline2.0:新規血管外集積・時間増強・腸管内移動による判定
核医学総合・問37
解答例:b
考え方
カプトプリルは輸出細動脈の収縮による糸球体濾過維持を弱める。腎動脈狭窄によるレニン依存性高血圧では、負荷前後の取り込み・排泄変化が診断の手がかりとなる。
各選択肢の解説
- a:目的が異なる — 尿路通過障害には通常利尿負荷を検討する。
- b:正しい — レニン・アンジオテンシン系に依存する腎機能変化を利用する。
- c:目的が異なる — 逆流は排尿時膀胱像などの手法で評価し、ACE阻害薬負荷の主目的ではない。
- d:主な適応ではない — 急性腎障害の機序をこの負荷だけで分類する検査ではない。高度腎機能低下は検査精度にも影響する。
- e:目的が異なる — 腎実質感染・瘢痕の評価と、ACE依存の機能変化の評価を分ける。
根拠・参考文献
- SNMMI Procedure Guideline for Diagnosis of Renovascular Hypertension, version3.0(2003、2022年レビュー):II/IIIはACEIレノグラフィの対象をレニン・アンジオテンシン系に関わる腎血管性高血圧とし、腎動脈狭窄そのものの検出と区別。IV.HはACEI後レノグラム変化を診断所見とし腎機能低下時の精度低下を説明。問b/dを直接支持。 初版2003年の手順で2022年レビュー表示がある。現在の全患者に第一選択として推奨する資料ではない。腎盂拡張・脱水・低血圧による偽異常にも注意。輸出細動脈の詳細機序の記載を今回このPDFでは直接確認していない。
核医学総合・問38
解答例:c
独自解答候補(呼吸器疾患に伴う骨関節症という解釈)
考え方
長管骨に沿う骨膜性の取り込みから肥厚性骨関節症を考える。選択肢では呼吸器病態が対応するが、肺癌、慢性低酸素など背景疾患を別に評価する。
各選択肢の解説
- a:第一候補ではない — 腎性骨異栄養症では頭蓋・顎・軸骨格のびまん性増加や軟部石灰化などを総合する。
- b:第一候補ではない — 肝疾患でも骨代謝異常を起こすが、この骨膜性パターンの典型的背景ではない。
- c:設問では最も適切 — 肺疾患を背景とする肥厚性骨関節症に整合する。ただし肺腫瘍・低酸素など原因を別途調べる。
- d:第一候補ではない — 骨軟化症なら偽骨折などの分布や検査値を確認し、この長管骨周辺パターンと分ける。
- e:根拠が乏しい — 血清カリウム上昇に特異的な骨シンチ像ではない。
根拠・参考文献
- EANM bone scintigraphy guideline:骨膜反応を含む骨シンチ分布の解釈
核医学総合・問39
解答例:未確定
未確定(成長板の生理集積と病的集積を要鑑別)
考え方
骨端・骨幹端付近の対称性集積は成長板の生理的取り込みでも現れる。部位に集積があることと病的な異常集積とは別であり、今回の画像だけで原因・正確な年齢を確定しない。旧dと若年を示すbの解釈について、原資料の年齢情報や公式解答を確認するまで単一解答を保留する。
各選択肢の解説
- a:支持しにくい — 多発する明瞭な肋骨の限局性焦点を主所見とする像ではない。
- b:未確定 — 対称的な成長板様分布は若年者の生理的集積として説明可能で、若年という候補を単に否定できない。年齢情報・骨端閉鎖状態などの追加確認が必要である。
- c:支持しにくい — 膀胱は描出されるが、排尿不十分という結論には撮像時刻・直前排尿の情報が必要。
- d:未確定 — 上腕骨近位に集積はあるが、集積部位だけでは病的な異常と証明できない。膝周囲等の対称性集積と合わせ、生理的成長板活動との区別が必要である。
- e:合わない — 腎・尿路が描出されており、腎描出消失を主張する像ではない。
根拠・参考文献
- EANM骨シンチ指針2016:骨以外の集積、代謝性骨疾患、骨膜反応、年齢・関節変化を含む解釈。
- Growth arrest line mimicking lymphoma: primary case report2016:両側上腕骨近位・大腿骨遠位等の対称性横帯状集積を正常成長板活動と記述
- Evaluation of growth in children using quantitative bone scintigraphy:成長板の正常骨シンチ取り込みと長管骨成長の評価
核医学総合・問40
解答例:a
考え方
Ga67は正常でも腸管に排泄されるため、腹部の集積を炎症・腫瘍と即断しない。消化管移動や遅延像を比較して評価する。
各選択肢の解説
- a:正しい — 腸管排泄による生理的集積があり、腹部病変の評価を妨げることがある。
- b:通常は誤り — 正常心筋への明瞭な集積は代表的分布ではなく、心病変を疑う所見として評価する。
- c:誤り — 通常のセンチネルリンパ節検査では粒子コロイド等を使い、Ga67を標準としない。
- d:誤り — Ga67は通常数日後の遅延像を利用する。短時間の心筋血流プロトコルと異なる。
- e:誤り — 通常は分布パターンを評価し、投与後のコンパートメント解析を基本検査手順としない。
根拠・参考文献
- PMDA:クエン酸ガリウム(67Ga)注NMP 電子添文:14.1.2で腸管排泄が腹部病巣の判定と紛らわしいこと、経日的な集積移動を利用した鑑別を明記。6で腫瘍24–72時間、炎症48–72時間後を標準とし炎症で必要時6時間像も可能と記載。問aと通常遅延撮像の理由を直接支持。 通常遅延像という説明は妥当だが、早期像を一切撮らないという絶対表現にしない。正常心筋、センチネル、コンパートメント解析の全肢をこの添文一つで検証したとは扱わない。現添文は試験後の2022年改訂。
核医学各論・問41
解答例:b
考え方
ACTH依存性の両側副腎皮質過形成では、両側の皮質集積が増すことがある。皮質製剤と髄質製剤の標識核種・撮像時刻・正常描出を区別する。
各選択肢の解説
- a:誤り — 背面像では肝や臓器配置等の影響を受ける。左右同程度というだけで右の病変が多いとは判断できず、左優位の相対増加にも注意する。
- b:正しい — 下垂体ACTH過剰によるCushing病では両側副腎が刺激され、両側の取り込み増加が整合する。ただし集積だけで病因を確定しない。
- c:誤り — 国内の標準的な副腎皮質製剤はI-131アドステロールであり、I-123-MIBGとの混同である。
- d:誤り — I-123-MIBGでは正常副腎も描出されうる。核種や正常範囲を区別せず、正常副腎はほぼ写らないとはしない。
- e:誤り — 診断ではI-123-MIBGの翌日撮像などを用いる。I-131と投与1週後を一般的な診断手順とするのは不適切である。
根拠・参考文献
- IAEA Nuclear Medicine Resources Manual:副腎皮質・髄質、MIBGと核医学診断の基本
- PMDAアドステロール添付文書:国内I-131標識副腎皮質製剤の核種・用途
核医学治療・問42
解答例:c
考え方
Ra-223は骨形成活性のある骨転移部を標的にし、症候性骨関連事象までの期間と全生存期間を改善する。前立腺の原発巣自体を主標的にする治療ではない。
各選択肢の解説
- a:誤り — 去勢抵抗性の症候性骨転移が対象であり、原発前立腺腫瘍のみを治療する適応ではない。
- b:誤り — 対象を選んだ無作為化比較試験で生存利益が示されており、予後改善がないという説明は誤る。
- c:正しい — 初回の症候性骨関連事象までの期間が比較試験で延長した。個々の全種類の骨関連事象がそれぞれ有意に減るという意味ではない。
- d:誤り — 骨表面等への線量が重要であり、肝臓を最高線量臓器とする説明ではない。
- e:誤り — 主な排泄は消化管を介した糞中で、尿路排泄は相対的に少ない。
根拠・参考文献
- JRIA塩化Ra-223適正使用マニュアル:適応、骨集積、臓器線量、糞中排泄、臨床効果
- ALSYMPCA symptomatic skeletal events analysis2014:症候性骨関連事象までの期間延長
関連する過去問
脳神経核医学・問43
解答例:e
考え方
記憶障害の経過に加え、左優位の側頭頭頂連合野・後部帯状回等の血流低下からADを考える。アミロイド陽性の可能性は高まるが、血流像のみで病理を確定するものではない。
各選択肢の解説
- a:誤り — 提示像では左側の変化を重視する。右優位という左右の説明は一致しない。
- b:誤り — ADではドネペジルによる症状改善が期待される場合があり、無効と一律に否定しない。
- c:誤り — 反復する具体的な幻視はDLBを支持する徴候で、今回の典型的な記憶障害を中心とするAD像の主所見ではない。
- d:誤り — ADだけからMIBG低下を予測しない。DLBでは低下が支持所見となるが、PSP等でも必ず低下するわけではない。
- e:正しい — 臨床的にADを強く疑う場合、アミロイド陽性が予想される。ただし診断を血流像から確定したり陽性を保証したりはしない。
根拠・参考文献
- EANM brain imaging technical guide:脳血流・神経変性疾患の典型分布と画像の限界
- SNMMI/AA amyloid PET appropriate use2013:アミロイド画像の病理的意味と専門医による適正使用
脳神経核医学・問44
解答例:d
考え方
早期の転倒・眼球運動障害と中脳被蓋萎縮を合わせ、PSPを第一候補とする。DAT低下は節前障害を示すがPSPに特異的ではなく、MIBG保持や前頭葉低灌流も補助情報として読む。
各選択肢の解説
- a:該当しない — 前頭葉機能障害はありうるが、眼球運動障害と中脳萎縮を中心とする所見は別の変性疾患を優先させる。
- b:該当しない — 水頭症に特徴的な脳室形態の情報より、脳幹萎縮と眼球運動・姿勢保持障害が目立つ。
- c:該当しない — 小脳性運動失調や優位な小脳萎縮を主とする病態では説明しにくい。
- d:該当 — 眼球運動と姿勢保持の早期障害、中脳の形態変化がこの候補を支持する。
- e:該当しない — 純粋な自律神経障害では中枢性のパーキンソニズムや眼球運動障害を主要所見として説明できない。
根拠・参考文献
- EANM brain imaging technical guide:脳血流・神経変性疾患の典型分布と画像の限界
- MDS-PSP criteria2017:眼球運動・姿勢保持・無動・認知の臨床領域と画像支持所見
脳神経核医学・問45
解答例:d
考え方
頭蓋底病変等で内頸動脈を処理する可能性がある場合、一時遮断中の血流を評価する。提示像の一側性低下はバルーン閉塞下の耐容能試験を支持する。
各選択肢の解説
- a:該当しない — 薬剤による血管拡張予備能を調べる方法であるが、提示された術前の一時遮断評価という組合せでは第一候補にならない。
- b:該当しない — 視覚刺激では後頭葉視覚野の血流増加を調べ、頸動脈の遮断耐容能は評価しない。
- c:該当しない — 聴覚野の機能賦活であり、主幹動脈一時閉塞に対する試験ではない。
- d:該当 — 一時的に血管を遮断し、その間に取り込まれたHMPAOで虚血や側副血行の不足を確認できる。
- e:該当しない — 低炭酸ガスによる血管反応を調べる負荷で、今回の手術時血管処理の評価とは異なる。
根拠・参考文献
- HMPAO SPECT during balloon test occlusion:頸動脈一時遮断前後のSPECTによる術前耐容能評価
脳神経核医学・問46
解答例:d
解答候補(画像・条件の限界は本文を参照)
考え方
右大脳の虚血病変に伴う反対側小脳の低灌流は、皮質橋小脳路を介した交叉性小脳機能解離で説明できる。小脳の低血流だけから椎骨動脈閉塞を推定しない。誤りを選ぶ。
各選択肢の解説
- a:正しい — MRAでは右頸動脈系の高度狭窄性変化が読み取れる。
- b:正しい — 拡散強調像で右側の複数の領域に急性虚血性変化を認める。
- c:正しい — 再開通後には障害領域の一部に相対的な高灌流が見られうる。高血流を正常組織と直結させない。
- d:誤り — 大脳病変と反対側の小脳低灌流は遠隔の機能低下でも生じる。椎骨動脈の責任病変を必須とする説明は誤る。
- e:条件付き — 右側に広い虚血性障害を認める。ただし投与時点の灌流像には再灌流部分もあるため、全領域が持続低灌流とはしない。
根拠・参考文献
- Crossed cerebellar diaschisis after stroke: serial CBF study:大脳虚血の対側小脳低灌流と再灌流期の血流変化
脳神経核医学・問47
解答例:b
考え方
右半球では酸素代謝の相対的保持に対してOEFが高く、血流供給不足を示唆する。代償性の血管拡張・血液量増加と血流低下により平均通過時間が延長すると考える。
各選択肢の解説
- a:誤り — 酸素代謝が同程度でOEFが高い側は、Fickの関係から血流が少ないと考える。
- b:正しい — 平均通過時間はCBV/CBFで表され、右の血行力学的障害では延長しやすい。
- c:誤り — 右側は既に拡張しており、追加の血管拡張反応が乏しいと考える。
- d:誤り — 低炭酸ガスへの血管反応も障害されうる。右の低下量が必ず大きいという説明は選べない。
- e:誤り — 圧低下に対する自己調節余力が乏しいのは右側であり、左がより大きく低下するという方向ではない。
根拠・参考文献
- JET-2 haemodynamic compromise study:灌流圧低下、酸素摂取上昇、血管拡張予備能の関係
関連する過去問
脳神経核医学・問48
解答例:c
考え方
提示像では線条体のカンマ状集積が比較的保たれる。節前ドパミン神経脱落を伴うPDは、候補の中では考えにくい。ただしごく早期例等を単一画像で完全除外しない。各肢は「可能性が最も低い疾患」への該当性を示す。
各選択肢の解説
- a:該当しない — 典型的ADではDATは比較的保たれうるため、この画像と矛盾しない。
- b:該当しない — 純粋な薬剤性では節前神経は保たれ、DATが正常となることが多い。潜在的変性疾患の併存は別に考える。
- c:該当 — PDでは通常、後部被殻を中心に取り込みが低下するため、保たれた画像からは可能性が下がる。
- d:該当しない — 前頭側頭型の変性疾患すべてにDAT低下が必須ではなく、この画像だけで否定しない。
- e:該当しない — 水頭症ではDATの異常・正常のどちらもありうるため、MRIと臨床像によって評価する。
根拠・参考文献
- EANM brain imaging technical guide:脳血流・神経変性疾患の典型分布と画像の限界
- DaTscan prescribing information:DAT画像の補助診断的性格と限界
循環器核医学・問49
解答例:c
考え方
冠動脈に狭窄がなく中隔の相対集積低下を認める場合、左脚ブロックに伴う偽陽性が典型的な原因となる。運動負荷ではその影響が出やすい。
各選択肢の解説
- a:該当しない — 不整脈は同期解析を妨げることがあるが、中隔優位の典型的な偽欠損を説明する第一候補ではない。
- b:該当しない — 左室肥大は分布に影響しうるが、正常冠動脈で中隔欠損という組合せを最も直接に説明する伝導障害がある。
- c:該当 — 左室の非同期収縮や中隔の灌流・壁厚変化によって、虚血がなくても中隔集積が低下しうる。
- d:該当しない — 右脚ブロックを同じ中隔アーチファクトの代表とするのは適切でない。
- e:該当しない — 徐脈やペーシングの影響は別に評価するが、提示された典型的な中隔欠損の第一候補ではない。
根拠・参考文献
- JCS心臓核医学検査ガイドライン2010:負荷法・伝導障害・血流分布・心機能・虚血リスク
関連する過去問
循環器核医学・問50
解答例:b
考え方
負荷時低下が安静時に改善する前壁・中隔から心尖部の分布は、主に前下行枝領域の虚血を示す。右冠動脈病変を中心とする説明が一致しない。広い虚血は高リスク所見だが、治療方針と予後は臨床情報で判断する。
各選択肢の解説
- a:正しい — 負荷時と安静時の差から誘発虚血を認める。
- b:誤り — 前壁・中隔中心の分布は右冠動脈の単独支配領域とは対応しない。
- c:条件付き — 広い虚血と機能低下は精査・治療強化を考える所見である。具体的な再建適応は冠動脈と患者条件で決める。
- d:条件付き — 虚血量が大きければリスクは高まるが、現代の最適薬物療法を含め、保存的治療なら全例予後不良と断言しない。
- e:条件付き — 安静時に血流が回復する部分には生存心筋があり、虚血改善で収縮が回復する可能性がある。
根拠・参考文献
- JCS心臓核医学検査ガイドライン2010:負荷法・伝導障害・血流分布・心機能・虚血リスク
腫瘍・炎症核医学・問51
解答例:d
考え方
大動脈壁に沿う取り込みと年齢・性別から高安動脈炎を考える。検査の医学的有用性と保険算定は別であり、当時の国内基準では不明熱の鑑別や単なる疑い例の診断目的を適用としなかった。
各選択肢の解説
- a:誤り — 巨細胞性動脈炎は一般に50歳以上であり、若年女性の大血管炎では高安動脈炎を優先する。
- b:誤り — 主な異常は血管壁に沿うもので、右肺門の限局病変を主所見とはしない。
- c:誤り — 心筋には生理的集積があり、一般的前処置のFDG画像だけで活動性心筋炎を確定しない。
- d:条件付き — 単に疑い例を診断する目的と、既に大型血管炎で他検査では局在・活動性が不明な患者の評価を区別する。
- e:誤り — 通常のFDG絶食前処置が必要であり、24時間の糖質制限をすべての血管炎PETの必須条件とはしない。
根拠・参考文献
- EANM FDG PET/CT tumour imaging guideline2.0:FDG前処置、生理的心筋分布、炎症性集積の非特異性
- 日本核医学会FDG PET・PET/CT診療ガイドライン2018:試験当時の大型血管炎の適用条件。局在・活動性不明例と不明熱・疑診例を区別
循環器核医学・問52
解答例:c
解答候補(画像・条件の限界は本文を参照)
考え方
胸痛と虚血性ST変化が出現しており、予測最大心拍数の割合だけで負荷不十分としない。画像では前下行枝領域は比較的保たれ、側壁を中心とした虚血を考える。
各選択肢の解説
- a:誤り — 目標心拍数未到達でも、虚血症状や心電図変化があれば臨床的な終了点となる。
- b:誤り — 明瞭な一過性内腔拡大を主所見として選ぶ像ではない。数値の定量解析があれば併せて確認する。
- c:条件付き — 前壁・前部中隔は相対的に保たれ、候補中ではこの評価が最も整合する。
- d:誤り — 側壁の負荷時低下があり、回旋枝領域を虚血なしとする読みは不適切である。
- e:誤り — 症状、心電図、可逆性低下から冠動脈評価を検討する。再建の具体的適応は解剖学的病変と治療反応を含めて決める。
根拠・参考文献
- JCS心臓核医学検査ガイドライン2010:負荷法・伝導障害・血流分布・心機能・虚血リスク
循環器核医学・問53
解答例:d
考え方
負荷と安静で血流の明らかな可逆性欠損は乏しいが、同期像では左室収縮が大きく低下している。非虚血性の拡張型心筋症を第一候補とし、臨床・冠動脈評価で確認する。
各選択肢の解説
- a:該当しない — 拡張末期から収縮末期への内腔減少が乏しく、正常収縮機能とはいえない。
- b:該当しない — 伝導異常の影響は考慮するが、明瞭な領域性の負荷誘発低下は主所見ではない。
- c:該当しない — 冠動脈支配に一致した広い虚血・固定欠損を主体とせず、画像だけで虚血性心筋症を第一にしない。
- d:該当 — 比較的保たれた灌流とびまん性の収縮障害から、候補中ではこの病態が最も整合する。
- e:該当しない — 負荷時のみの内腔拡大より、安静時を含めた収縮機能低下を主体に読む。
根拠・参考文献
- JCS心臓核医学検査ガイドライン2010:負荷法・伝導障害・血流分布・心機能・虚血リスク
循環器核医学・問54
解答例:c
解答候補(画像・条件の限界は本文を参照)
考え方
前壁・中隔を中心に広い負荷時低下があり、安静時には取り込みが回復する。生存心筋を持つ高リスク虚血として、血行再建を視野に冠動脈の評価を検討する。
各選択肢の解説
- a:誤り — 安静時に集積が回復するため、全層性壊死で固定欠損になった領域とは説明しにくい。
- b:誤り — 主な分布は前壁・中隔であり、右冠動脈近位部の単独病変とは一致しない。
- c:正しい — 広い可逆性低下があり、症状や治療状況を踏まえ侵襲的評価を考える根拠となる。
- d:誤り — 安静時の取り込みは残っており、生存心筋がないと断定しない。
- e:未確定 — 複数セグメントに広い低下があり、根拠なく総点を7と固定できない。正式採点には各セグメントの重症度評価が必要である。
根拠・参考文献
- JCS心臓核医学検査ガイドライン2010:負荷法・伝導障害・血流分布・心機能・虚血リスク
核医学各論・問55
解答例:d
解答候補(画像・条件の限界は本文を参照)
考え方
腫瘤の位置と造影動態から、副腎皮質腺腫を第一候補とする。MIBG陰性や軽度FDG集積だけでは病理を確定できず、単純CT値、化学シフト、内分泌検査を統合する。
各選択肢の解説
- a:該当しない — 肝外の位置と肝細胞相を含む所見から、肝細胞性腫瘍を第一候補とする根拠は乏しい。
- b:該当しない — 典型的な血管腫の辺縁結節状増強・遅延充填という説明より、副腎病変を考える。
- c:該当しない — MIBG陰性でも除外はできないが、造影や局在を合わせて皮質腺腫を優先する。血中・尿中メタネフリン等の評価が必要である。
- d:条件付き — 早期増強後の低下と局在が支持する。ただし数値を用いたwashoutや脂肪含有の確認がない限り、画像だけの確定診断ではない。
- e:該当しない — 典型的な肝細胞性病変の局在・肝細胞相取り込みとは対応しにくい。
根拠・参考文献
- IAEA Nuclear Medicine Resources Manual:副腎皮質・髄質、MIBGと核医学診断の基本
- EANM/SNMMI PPGL radionuclide imaging guideline2019:MIBG陰性でも褐色細胞腫・傍神経節腫を除外できないこと
- Imaging of adrenal tumors using FDG PET: benign versus malignant lesions:副腎腫瘤のFDG所見を他の画像所見と統合する原著
核医学各論・問56
解答例:d
解答候補(画像・条件の限界は本文を参照)
考え方
長期ビスホスホネート投与中に両側大腿骨の局所的集積が新たに現れ、非定型骨折の前段階を疑う。選択肢では休薬を検討し、同時に全長X線等と整形外科評価で不全骨折・完全骨折への進展を確認する。
各選択肢の解説
- a:該当しない — 点状の大腿骨皮質集積を直ちに転移増悪と見なし、抗癌剤を再開する判断は避ける。
- b:該当しない — まず骨折リスクを評価する形態検査が重要で、FDG追加だけで安全性を判断しない。
- c:該当しない — 骨折前病変を疑う場合、転移と決めて両側へ照射する対応は適切でない。
- d:条件付き — 疑わしい非定型骨折徴候では投与継続を見直す。癌の骨関連事象予防との利益・危険を主治医と整形外科で判断する。
- e:条件付き — 予防固定が必要な場合はあるが、シンチだけで両側手術を即決せず、症状・骨折線・皮質肥厚等から適応を決める。
根拠・参考文献
- ASBMR atypical femoral fracture task force2014:長期BP使用と非定型大腿骨骨折、骨膜反応、休薬後リスク低下
核医学各論・問57
解答例:e
考え方
肺気腫では実質破壊と低酸素性血管収縮によって、不規則で斑状の血流低下を示す。候補では(5)が最も対応するが、血流画像単独で確定せずCT・換気像と比較する。
各選択肢の解説
- a:該当しない — 不均一性はあるが、候補中の典型的な高度気腫性の斑状欠損としては(5)を優先する。
- b:該当しない — 限局的な大きい低下を含む分布で、塞栓や局所性病変などを換気像・CTと評価する。
- c:該当しない — 比較的保たれた均一な分布で、高度な気腫性変化の第一候補ではない。
- d:該当しない — 比較的平滑な分布で、明瞭な多発斑状欠損が乏しい。
- e:該当 — 区域支配と一致しにくい不規則な欠損と残存血流の不均一性が強く、気腫を考えやすい。
根拠・参考文献
- EANM V/Q SPECT guideline2019:閉塞性肺疾患の不均一な換気・血流分布と塞栓性病変の鑑別。2019年8月公表であり試験後の整理資料
腫瘍・炎症核医学・問58
解答例:c
解答候補(画像・条件の限界は本文を参照)
考え方
膵全体の強い取り込みと多臓器の分布からIgG4関連疾患を考え、前立腺の炎症性関与を候補とする。FDGは非特異的であり、IgG4、造影所見、必要な組織診を合わせ、癌との鑑別を行う。
各選択肢の解説
- a:誤り — 異常の主体は膵等の臓器分布であり、びまん性筋集積などの前処置不良像とは説明しにくい。
- b:誤り — MIPだけで著明な脾腫を認めるとする所見ではない。脾サイズは断層画像で確認する。
- c:条件付き — 全身性IgG4関連病変を疑う状況では、前立腺の炎症性集積も考える。ただしPETだけで前立腺癌を除外しない。
- d:誤り — 膵全体の腫大・取り込みを主体とする場合、まず自己免疫性膵炎等も鑑別する。局所的な膵癌と即断しない。
- e:誤り — 膵等の病変と合わせると炎症性リンパ節も考え、既往癌の転移と決めつけない。
根拠・参考文献
- IgG4-related disease: prospective FDG PET/CT cohort2014:IgG4関連疾患の多臓器分布と生検部位選択
- IgG4 prostate involvement detected with FDG PET/CT:前立腺炎症性集積の具体例。2019年9月公表であり試験後の補足資料
核医学各論・問59
解答例:a
考え方
唾液腺、肝、膀胱等の分布からMIBG検査を考える。左上腹部の強い局在集積は病変が疑われ、腎排泄の生理的分布と安易に片づけない。
各選択肢の解説
- a:正しい — 全身分布はMIBGに対応する。異常集積部の局在はSPECT/CTや形態画像で確認する。
- b:誤り — MIBGは交感神経・副腎髄質系を評価し、皮質ホルモン機能の検査ではない。
- c:誤り — 強いMIBG集積は通常の皮質腺腫の説明とは合わず、髄質・傍神経節系腫瘍を考える。
- d:誤り — 頸部・傍脊椎の対称性褐色脂肪というパターンより、腹部の限局病変が主要所見である。
- e:誤り — 腎部と重なることはあるが、強い持続する焦点を正常腎と断定せず、融合像で病変との分離を確認する。
根拠・参考文献
- IAEA Nuclear Medicine Resources Manual:副腎皮質・髄質、MIBGと核医学診断の基本
- EANM/SNMMI PPGL imaging guideline2019:MIBGの分布と褐色細胞腫・傍神経節腫評価
核医学各論・問60
解答例:d
解答候補(画像・条件の限界は本文を参照)
考え方
肝内に不均一な限局性集積を認め、大腸癌の肝転移に伴う石灰化・壊死を第一に考える。骨製剤の肝集積は病理特異的ではないため、HCC既往も含めCT・MRIで確認する。
各選択肢の解説
- a:該当しない — 血管腫を診断する標準的な血液プール検査とは異なり、骨製剤集積だけで血管腫としない。
- b:該当しない — 薬剤・標識に関連する肝集積はよりびまん性となることがあり、局在性腫瘤状集積は器質病変を優先して調べる。
- c:条件付き — HCCにも骨製剤集積の報告はあり完全には除外できない。提示分布と既往からは大腸癌肝転移を第一候補とするが病理確定ではない。
- d:条件付き — 大腸癌の肝転移は石灰化などに伴い骨製剤を取り込み、肝内の限局集積として現れることがある。
- e:該当しない — 造影剤投与だけで今回の不均一な腫瘤状肝集積を説明せず、実質病変を評価する。
根拠・参考文献
- Tc-99m MDP accumulation in calcified colon-cancer liver metastases:大腸癌肝転移の骨製剤集積と石灰化との関係