2005年度から2008年度までの解答例を、ぽこん先生に提供していただきました。

ぽこん先生ありがとうございます。

1,

正解:d

「小児 CT ガイドライン―被ばく低減のためにー」(平成17年) の回答例 (p3)に以下の記載あり。
「CTの被ばくが原因でがんになったと言う報告はありません。
また、放射線検査を受けた影響があとあとまで蓄積されることもありません。」

2,

正解:d,e
△a:妊娠を希望していれば → (使用者が)妊娠の事実を知ったときから、の方が内容としては適切か
☓b:女性は腹部に着用する。ただし、妊娠する可能性がないと診断された者および妊娠する意思がない旨を管理者に書面で申し出た者は胸部に着用する。
☓c:折りたたみを繰り返すと、亀裂等により防護性能が損なわれる。

3,

正解:e

「FDG-PET検査における安全確保に関するガイドライン(2005年)」を参照。
☓c:鉛エプロンはX線遮蔽には有効だが、エネルギーの高いγ線や消滅放射線の遮蔽には有効でない。

4,

正解:b,c

☓a:連続X線。
☓d:深くなる。
☓e:下記文献を参照。10MeV電子線はどうみても3cm以深まで達する。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/radioisotopes1952/43/9/43_9_542/_pdf

5,

正解:a,b

☓c:電子対消滅
☓d:崩壊定数の逆数1/λ=平均寿命τ=1.44✕物理学的半減期。
☓e:γ放射のことか。特性X線なので連続エネルギーではない。

6,

正解:a

頭蓋骨にびまん性の肥厚と斑状の骨硬化を認める。骨Paget病の好発部位の一つ。

7,

正解:a,b

右脛骨遠位骨幹部に骨膨隆と骨硬化縁を伴う偏心性骨透亮像を認める。
線状透亮像を認め、病的骨折が疑われる。
病変はT2強調像で低信号。脂肪抑制T2強調像で周囲軟部組織の浮腫を伴う。
病的骨折を伴う非骨化性線維腫(NOF)を疑う。

8,

正解:c

右第2趾基節骨に内部硬化像を伴う溶骨性病変を認める。
軟骨肉腫も鑑別には挙がるが、好発部位より内軟骨腫を第一に考える。
周囲骨皮質の不連続性があり、病的骨折を疑う。

9,

正解:e

単純写真では右大腿骨遠位に骨膜反応を認める。
骨シンチグラフィでは両側大腿骨、脛骨辺縁に集積亢進を認める。膝蓋骨の集積亢進もあるか。
肺性肥厚性骨関節症を疑ってe。

10,

正解:d

両側股関節に軟部病変あり。冠状断のみでわかりにくいが、骨侵食がありそう。
T2強調像で両側大腿骨近位に嚢胞様構造あり。特徴的とされる嚢胞状骨侵食の疑い。
既往と部位よりアミロイド関節症を疑う。
☓e:T2*強調像で低信号が目立たない点が合わない。

11,

正解:c

右股関節~大腿骨近位部周囲に石灰化を認める。ゾーン現象は明瞭でないように思うが、cだろう。
外傷以外に神経麻痺で筋損傷が起き、異所性骨化することがあるという (『骨軟部画像診断スタンダード』)
e:tumoral calcinosisの分葉状の石灰化とは異なるように思われる

12,

正解:d

視床下部にT1, T2強調像で灰白質に近い信号を示す腫瘤性病変を認める。造影効果は乏しい。

13,

正解:e

右基底核に新旧様々な出血が混在する (ポップコーン状)、T2強調像で低信号縁を有する病変を認める。

14,

正解:e

頸髄C4~6レベルに腫大とT2強調像で高信号を認める。
頚椎症性変化部位に好発することと、ぶどう膜炎の既往、亜急性の経過よりeを疑う。

15,

正解:d

補液後の意識障害。橋にT2強調像、FLAIRで高信号を認める。辺縁が一層保たれてみえるのも特徴的。

16,

正解:c

17,

正解:e

両側頭頂葉白質に脳梁を含んで対称性に広がるT2強調像高信号域。
年齢と好発部位よりe。辺縁にごく淡い造影効果を認め、middle zoneに相当する。

18,

正解:b

眼球内の内側面にT1強調像で高信号、T2強調像で低信号を示す病変あり。
メラニンを含有する悪性黒色腫が最も考えやすい。

19,

正解:d

甲状軟骨に接して正中に嚢胞性病変を認める。前頸筋に挟まれ、前頸筋より深い位置にある。
部位から甲状舌管嚢胞が最も考えやすい。

20,

正解:a

両耳下腺部より背側皮下に広がる造影病変あり。
長期の経過、好酸球増多やIgE高値と合わせてaを疑う。

21,

正解:c,e?

単純CTで右肺にmosaic patternが疑われる。症状と選択肢からは気道疾患>血管疾患か。
閉塞性細気管支炎だと選択肢が比較的説明がつきやすいが、肺機能検査正常なのが合うか微妙。24もBOぽいのでさらに微妙…
a:一般にmosaic patternの鑑別に有用なのは呼気CT。
b:サルコイドーシスにしては粒状影やリンパ節腫大がはっきりしない。
c:BOであれば、BALF中の好中球の増加が特徴らしい。
https://core.ac.uk/download/pdf/12549153.pdf
d,e:難病情報センターによれば、BOは気管支鏡生検は診断率が低いので、外科的肺生検が必要とのこと。

22,

正解:a

肺野に多発する薄壁嚢胞を認め、リンパ脈管筋腫症を疑う。
☓a:難病情報センターHPによれば、喫煙との関係は明らかでない。
c,d,e:LAM→結節性硬化症と考えれば、関連あり。

23,

正解:c

右肺にびまん性に粒状影を認める。
胸膜上や気管支血管束上にも分布しており、リンパ路性あるいはランダム分布と思われる。
これに当てはまる選択肢はcのみ。

24,

正解:b>e?

両側肺の吸収値はやや不均一で気管支拡張と縦隔気腫を認める。
☓d:一側または一葉の透過性が亢進する。
△e:びまん性汎細気管支炎にしては粒状影に乏しいか。

25,

正解:e>d?

両肺底部の胸膜下優位に蜂巣肺を認める。
d:上中肺野優位に蜂巣肺を来す。しかし下肺野優位に病変が分布するものもあり、末期にはIPFとの鑑別が困難になる。
e:慢性化すると上肺野優位に牽引性気管支拡張や嚢胞性変化を来す。

26,

正解:b

左上肺野に結節影や粒状影あり。病歴もbに合う。

27,

正解:b,e

右肺野の透過性亢進と右横隔膜の下方偏位を認め、過膨張と思われる。右気管支異物を疑う。
☓e:胸水の診断に有用な撮影法。

28,

正解:d

29,

正解:c,e

レントゲンで右胸水貯留と、不整な胸膜肥厚を認める。
造影T1強調像でびまん性に不整な右胸膜肥厚を認める。
悪性胸膜中皮腫や偽中皮腫性肺癌、癌性胸膜炎などが鑑別。

30,

正解:a,d

肺動脈幹の拡大 (Fleischner’s sign) とその末梢血管影の急峻な狭小化 (Knuckle sign) を認める。
また左肺野の透過性が亢進している (Westermark’s sign)。心拡大を認める。
肺血栓塞栓症を疑う。
☓b:塞栓後に肺梗塞を伴わずに肺内出血を来すとき、Hampton’s humpが形を保ちながら1週間以内に「溶けるように」改善することを、melting ice cube signという。

31,

正解:e

胸膜プラーク。横隔膜面がわかりやすい。

32,

正解:b

心陰影や胸腺を縁取るように透過性亢進を認め、いわゆるangel wing sign。

33,

正解:d

心尖部の挙上と心腰部の狭小化を認め、木靴心の形態。肺血管影は減少している。
Fallot四徴症を疑う。

34,

正解:a

気管両側に大動脈弓部を思わす円形影を認め、同部で気管はやや狭窄している。
血管輪を疑う。

35,

正解:a,d

上縦隔の拡大を認め、大動脈弓が不明瞭化している。気管は右方に偏位している。
縦隔血腫が示唆され、原因として大動脈損傷が疑われる。

36,

正解:e

心尖部や後壁に全層性の遅延造影を認め、同部は菲薄化している。冠動脈支配に合わず心筋症>心筋梗塞。
後壁の遅延造影は一部心内膜側と外膜側に分かれてみえ、eに特徴的なパターンとされる。
皮膚病変や胸部CTの陰影も一元的にeなら説明可能。

37,

正解:e

左室中隔~心尖部の心内膜下主体に遅延造影効果を認め、虚血性パターン。
シネMRIでは同部の壁が菲薄化し、壁運動が低下している。

38,

正解:a

右乳房D領域に不整形の低エコー腫瘤を認める。
境界不明瞭で境界部高エコー、後方エコー減弱を認め、縦横比も大きい。

39,

正解:c>b>a?

右乳房C領域に分葉状腫瘤を認める。T2強調像で高信号、よく造影される。
dark internal septationっぽい所見があり、c or b?
前年の類似問題 (2007-39)では類似の所見で線維腺腫が回答であり、急速増大の記載もなく、試験的にはどちらかといえばc?

40,

正解:c

S状結腸にcaliber changeを認め、口側結腸に拡張を認める。
Hirschsprung病を疑う。
☓d:注腸検査後24時間を経過しても腸管内に造影剤の残存を認めるのが特徴とされる。
☓e:狭窄部のAuerbach神経叢の先天的な欠如が本態。

41,

正解:e

腹部下行大動脈に動脈瘤を認め、周囲に脂肪織濃度上昇を認める。
症状と併せ、大動脈瘤切迫破裂を疑う。

42,

正解:d

胆管空腸吻合後と思われる。
a:左図で左肝管にdefectを認め、おそらく結石。
c:空腸の描出が乏しく (右図では描出されてはいる)、吻合部狭窄が疑われる。
d,e:ドレナージチューブはB3~左肝管を経由し、先端は左右肝管合流部にある。

43,

正解:c

右葉に濃染される病変、そこから尾側へ伸びるような造影病変を認める。
門脈内腫瘍栓 (を反映したthreads and streaks sign) を疑う。HCCが考えやすい。
a:腫瘤形成性膵炎の所見らしい。
b:髄膜腫でみられる放射状の栄養血管。
d:肝血管腫の所見。綿花様のX線不透過像。
e:FNHの所見。中心瘢痕から周囲に向かって車輻状に広がる血管。

44,

正解:c>a?

S4に早期濃染結節あり。平衡相は周囲肝実質と等~やや低吸収にもみえ、aでもおかしくない印象。
しかし腫瘍マーカーが正常、脂肪抑制T2強調像で周囲肝実質と等信号程度といった、
古典的HCCとして非典型的な点がわざわざ示されており、cを選ばせたいのではないかと思う。
(今日ではEOB肝細胞相が必ず提示されるが、当時はまだEOBが発売されて間もない頃だったよう)

45,

正解:e

肝辺縁に多発、癒合傾向を示す乏血性病変を認める。一部に被膜陥凹を認める。腫瘍マーカー正常も矛盾ない。

46,

正解:b,e

肝右葉に脂肪成分と早期濃染/washoutを示す成分が混在する腫瘤を認める。

47,

正解:d

膵腫大を認め、辺縁に被膜様の造影不良域 (capsule-like rim) を認める。
自己免疫性膵炎を疑う。

48,

正解:b

膵頭部に造影される嚢胞性病変を認める。

49,

正解:e

膵尾部に出血変化を伴う粗大な嚢胞性病変を認める。若年女性よりe。

50,

正解:d

右腎血管筋脂肪腫の問題。
80%が単発または散発性、約20~30%が結節性硬化症に伴って生じる。
☓d:結節性硬化症の症状として (血管腫ではなく) 顔面の血管線維腫を伴うことは考えられる。

51,

正解:b,d

左腎に単純CTで軽度高吸収、T2強調像で低信号を示す乏血性腫瘤を認める。鑑別はb,d。

52,

正解:d,e

左腎は軽度腫大し、背側の腎実質は早期相でやや不均一な造影効果、後期相で造影効果が低下している。
a:完全な造影欠損には至ってない点が合わない。
c:もっと腎全体に異常が現れそう。

53,

正解:d,e

肝右葉下面-右腎間に著明に濃染される腫瘤性病変を認める。
由来としては右副腎や後腹膜が考えられ、褐色細胞腫/paraganglioma、SFTなどが鑑別。

54,

正解:c

前立腺右葉尖部辺縁域に、限局性のT2強調像 低信号、早期濃染域を認める。
前立腺癌を疑う。呈示画像からは被膜外浸潤は明らかでない。

55,

正解:d

子宮内膜は肥厚しているが、内部のT2強調像での高信号は保たれている。
造影効果も子宮筋層と同程度と良好よりd>c。
e:鑑別に挙がるが、嚢胞構造やT2強調像低信号の線維性間質は指摘できない。

56,

正解:b

腸重積を認め、先進部に脂肪性腫瘤を認める (なぜかX印が付されている)。

57,

正解:e

回盲部あたりから連続するように管腔構造がみられ、先端に液貯留を認める。
問題文の「白血球増多なく、血便も認めない」は、Meckel憩室炎/憩室出血でないことを示唆しているようにもとれる。

58,

正解:a

図Aは背臥位第2斜位、図Bは背臥位第1斜位像と思われる (椎体の位置に注意)。
c:十二指腸球部は図Aでは虚脱している。図Bでは変形は目立たない。
d:図Aで管外性圧迫 (あるいは空気不足による胃の虚脱) を認めるのは胃体下部あたりと思われる。

59,

正解:c

左が臥位、右が立位と考えられる。
骨盤腔に石灰化子宮筋腫 (あるいは腹腔内遊離体や膀胱結石?) を疑う石灰化を認める。
臥位に比べて立位で尾側に移動しており、骨盤臓器脱が疑われる。
c:膀胱脱による排尿困難の可能性がある。

60,

正解:d

両腎に高エコー結節が多発しており、比較的境界は明瞭。
c:基本的には低エコーになる。

61,

正解:c

右優位に両側側頭葉にT2強調像で高信号、造影効果を認め、脳血流は著明に増加している。
発症132日目にはこれらの部位は変性し、血流が低下している。
症状や経過からもcと思う。

62,

正解:d

両側前頭葉を主体とする集積低下を認める。統計画像では前部帯状回の集積低下もみられる。
症状からも核上性注視障害、姿勢反射障害が認知障害より目立っていると考えられ、dを疑う。
進行性核上性麻痺の前部帯状回の集積低下については以下に記載あり。
https://www.nmp.co.jp/member/datscan/flow/flow02.html

63,

正解:b,d

早期像/後期像ともに心集積が低下している。H/M比も低下している。

64,

正解:c

出題ミスで下段のSPECT/CTが、bとcで逆になっていることに注意。
右肺に換気・血流ミスマッチを認め、同部にCTで異常を認めない。
d:一般に肺動脈が狭窄/閉塞して局所の酸素需要が増加すると、気管支動脈は代償性に拡張する。

65,

正解:e

甲状腺の描出を認めない。臨床症状より亜急性>無痛性甲状腺炎。

66,

正解:d

早期像で甲状腺右葉下極に集積亢進を認め、後期像でより明瞭になる。

67,

正解:a,c

99mTc-pertechnetateを甲状腺シンチグラフィとして用いている。
正常甲状腺の描出を認めず、両側顎下腺よりやや上方の正中に異常集積を認める。
c:異所性甲状腺の多くは甲状腺機能正常だが、先天性甲状腺機能低下症の一因にもなる。以下を参照。
https://www.shouman.jp/disease/details/05_11_017/

68,

正解:c?

心筋血流シンチグラフィで下壁の集積低下を認める。
18F-FDG PETでは、同部にある程度の集積を認め、心筋viabilityが示唆される。
心筋虚血時にはエネルギー代謝が脂肪酸から糖代謝に移行するため、同部の脂肪酸代謝シンチグラフィは集積低下が予想される。
ここで以下の文献によれば、FDG viable領域の74%にBMIPP/Tl mismatch (BMIPPの集積>Tlシンチグラフィの集積) がみられたとのことで、おそらくcが正解。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/9476931/

69,

正解:a,c

負荷時に前壁~中隔の集積低下を認め、同部は安静時に再分布またはfill-inを示す。
前下行枝領域の虚血が疑われる。

70,

正解:c

当時のTNM分類 (第6版) では
T1 (腫瘍の最大径が3cm以下で、肺組織または臓側胸膜に囲まれており、気管支鏡的に癌浸潤が葉気管支より中枢に及ばない)、
N2 (同側の縦隔リンパ節転移) に相当する。
なお現在だとT1bN2。

71,

正解:c

肩甲骨下部前方と上部前方に軽度の集積を認める。
「FDG-PETマニュアル」のp213と同一症例と思われる。

72,

正解:e

骨シンチグラフィでは全身骨、とくに四肢長管骨や頭蓋骨に不均一な高集積を認める。
単純X線写真で右大腿骨に変形とすりガラス状の硬化性変化を認める。
a:40歳以下は稀とされる。
b:赤色髄の分布外にもみられる点は合わない。
e:やや右側優位とlateralityがあるように見える点も合いそう。

73,

正解:d

褐色脂肪への集積。

74,

正解:b,d

右肺門部に原発巣と考えられる集積を認める。
同側縦隔、右鎖骨上リンパ節に集積を認め、転移を疑う (N3)。
a:F-18の半減期は110分。
c:18-F FDG-PET/CTのN因子診断能は胸部CTより高い。
e:両側腎臓の集積は生理的集積で説明可能と思われる。

75,

正解:c

右副腎に高集積を認め、健側抑制を認める。
しかし「内分泌学的異常は見られない」とのことなので、dでない。