2005年度から2008年度までの解答例を、ぽこん先生に提供していただきました。

ぽこん先生ありがとうございます。

1,

正解:b

2,

正解:b

ICRP Publication85では、皮膚障害に対する適切なフォロー時期として、IVR後10~14日としている。
2005年2次試験問題4では2週間後が正解となっている。
ちなみに「IVRに伴う放射線皮膚障害の防止に関するガイドライン」には「皮膚に何らかの変化があった場合には、主治医に連絡するよう説明してください」とある。

3,

正解:d

4,

正解:(当時は)c,e>b?

☓a:5年間の平均値で20 mSv/年。
△b:「妊娠中の女子」や「妊娠不能と診断された者、妊娠の意思のない旨を使用者等に書面で申し出た者」には
 当てはまらないことに言及していないので不正確?
c:以前は150 mSvだった。現在は100mSv/5年かつ50mSv/年となった。

5,

正解:b,c,e

通知に基づくと、
b:基準を満たす場合には電子媒体による外部保存が認められる。
 外部保存とは、作成した病院又は診療所以外の場所における保存のこと。
c:紙媒体のままでの診療録等の外部保存についても、基準を満たす場合には認められる。
e:外部保存は、診療録等の保存の義務を有する病院、診療所等の責任において行う。

6,

正解:c

左前頭葉内側に皮髄境界の不明瞭化を認め、左前大脳動脈の急性期梗塞を疑う。

7,

正解:b

後方循環系の支配領域である両側視床と後頭葉に拡散強調像 高信号域を認め、梗塞を疑う。
原因としてMRAで脳底動脈に紡錘状拡張を認め、解離が疑われる。

8,

正解:a,b

拡張した前大脳動脈をfeederとするnidusを認める。脳動静脈奇形と思われる。
直静脈洞~横静脈洞の一部も描出されており、drainerと考えられる。

9,

正解:d

10,

正解:e

T2強調像/FLAIRで第4脳室周囲と右側頭葉に淡い高信号を認める。
拡散強調像で信号変化は目立たない。
わざわざ血圧高値が記載されている点からも、PRESを疑う。

11,

正解:b

トルコ鞍から鞍上部突出する腫瘤性病変を認める。松果体部にも病変を認める。
松果体病変は石灰化を伴い、単純CTでやや高吸収を示す。
胚腫を疑う (いわゆるdouble midline germinoma)。

12,

正解:e

T2強調像で両側内包後脚~大脳脚に高信号域を認める。

13,

正解:b

胸髄に広くT2強調像 高信号を認め、胸髄背側にflow voidが目立つ。
脊髄硬膜動静脈瘻を疑う。

14,

正解:e

上咽頭正中に嚢胞性病変あり。

15,

正解:b>c?

咽頭背側腫瘤性病変を認める。T2強調像で高信号、造影効果は軽度。
T1強調像で右内頚-外頚動脈間が腫瘍により開大しているが…
b:交感神経幹由来とすればありうる? 以下の報告では内頸動静脈が外側に圧排されている。
 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjoms1967/42/5/42_5_524/_pdf/-char/ja
c:迷走神経由来の腫瘍は内頸動静脈を離開し、内頚動脈を腹側に圧排することが多いという。本例とは合わないかも。
d:年齢からは考えにくい。
e:強い造影効果を示すことが多い。

16,

正解:e

T2*強調像で関節液貯留と滑膜増生を認め、滑膜は低信号を示す。
dとeが鑑別に挙がるが、単純写真で石灰化遊離体を認めず、eを疑う。

17,

正解:d

右上腕骨頭を侵食するT1, T2強調像で低信号の病変。既往と併せdを疑う。

18,

正解:e

右大腿骨近位部に骨髄浮腫を認め、周囲軟部組織にも浮腫性変化が及んでいる。
dにしては壊死境界が明らかでなく、e (一過性大腿骨頭萎縮症のことか) を疑う。

19,

正解:c

左第1, 2趾の中足骨間に小石灰化を認める。『足の画像診断(第1版)』p188 に似たような症例あり。
糖尿病患者では中膜石灰化が起こりやすいのが特徴とのこと。

20,

正解:c

冠状断では内側半月板が顆間窩に偏位。矢状断でdouble PCL signを認める。

21,

正解:d?

心陰影の背側に三角型の透過性低下を認め、左肺の血管影はやや疎になっている印象。
左下葉無気肺っぽいが、側面像で心臓後空間に透過性低下がみられ、典型的な形態でない…
以下のサイトなどをみると、S8亜区域のみの無気肺ならありうる?
 https://www.otadragon.jp/radiograph/1778

22,

正解:a?

提示画像では正直診断は厳しいが、両肺びまん性に粒状影がありそうなので、たぶんaか。

23,

正解:c

初診時CTでは、右下葉結節は葉間胸膜の陥入像を伴い、悪性も疑われる像。
しかし短期間で形態が変化し、10日後のCTでは細かい粒状影が集簇しているように見える。
また肺門、縦隔リンパ節に腫大が疑われる。

24,

正解:d

両肺にやや壁の厚い嚢胞が多発している。若年男性よりd。

25,

正解:e>c?

発症時の胸部単純X線では両側上肺野や肺門部に透過性低下を認める。
10日後のレントゲンでは改善している。
c:整形外科的な外傷後に起こることが多い。腎摘後に起こるかはやや疑問が残るか。
e:術後のARDSなら説明つきやすい。「酸素化低下」ではなくPaO2が具体的に記載されている点も説明しやすい。

26,

正解:c,d

造影CTで右背側胸膜に石灰化を認め、人工気胸後の慢性膿胸と思われる。
同部より胸壁に沿って造影される軟部影を認める。
膿胸由来の悪性腫瘍として、悪性リンパ腫、扁平上皮癌、血管肉腫などが鑑別に挙がる。

27,

正解:b

胸部X線で心陰影に重なって左下肺野に境界明瞭な腫瘤影を認める。
造影CTで左肺背側の腫瘤内を血管が走行し、腹部大動脈へ連続するようにも見える。

28,

正解:b,e

2018年第22問で同一画像が出題されており、AIDSに伴うリンパ節結核の症例と分かる。

29,

正解:a

若年者に生じた前縦隔腫瘤。石灰化は明らかでない。
a:胸腺腫/胸腺癌は若年では稀であり、30歳以上(特に40~70歳)に発症する。
c,e:縦隔悪性リンパ腫の代表的な組織型として、縦隔原発大細胞型B細胞性リンパ腫 (好発:30~40代)、
 前駆型T細胞性リンパ芽球性リンパ腫 (10代男性)、Hodgkinリンパ腫 (30代をピークとした若年層) がある。

30,

正解:a

左肺に不均一な造影効果を示す陰影が広汎にみられ、air bronchogramとCT angiogram signを認める。
浸潤性粘液性腺癌、肺炎、悪性リンパ腫、無気肺など鑑別は色々挙がる。
a:しかし肺膿瘍としては、造影効果が低い箇所を血管や気管が通過している点が合わない。

31,

正解:b

左房内に粗大な腫瘤あり。境界明瞭で分葉状の形態。中隔に付着し、一部左室内に逸脱している。
単純CTで石灰化を認め、造影CTでは心筋に比して造影効果がやや低い。
a:好発部位は左心耳。
c,e:右房に好発する。

32,

正解:d

心陰影右縁に沿って弧状の三日月刀陰影 (scimitar shadow) を認める。
(“scimitar shadow”で検索すると似たような画像がでてくる。これもscimitarの範疇のよう)

33,

正解:e

造影CTで右室の拡大と肉柱形成を認め、右室壁は脂肪濃度を示す。
T1強調像でも右室壁に脂肪沈着を認める。

34,

正解:b

大動脈弓左縁に接して左遺残上大静脈を認める。

35,

正解:d

偽腔閉塞型大動脈解離 (Stanford A型,DeBakey Ⅰ型)。

36,

正解:c

胸部下行大動脈に嚢状動脈瘤を認める。壁は単純CTで軽度高吸収を示す。
発熱も考慮し、cを疑う。

37,

正解:e

CTでは右腎に多数の嚢胞を認める。レノグラムでは右腎が描出されない。

38,

正解:c

右上葉に気腔を伴う円形腫瘤を認め、内部の菌球と壁の間の気腔は三日月型を示す (meniscus sign)。

39,

正解:d

右乳房に境界明瞭な腫瘤性病変あり。
脂肪抑制T2強調像で高信号、均一によく造影される。
内部に低信号の隔壁様構造を認める (dark internal septation)。

40,

正解:c,e

左乳腺内に低エコー域を認め、内部に複数の微細な点状高エコーを伴う。縦横比は低い。
悪性を疑う所見。

41,

正解:e

穹窿部あたりに胃静脈瘤を認める。まずはBRTO。
b:内視鏡的静脈瘤結紮術のこと。食道静脈瘤の治療法。

42,

正解:b

左腎門部に壁が全周性に石灰化した腎動脈瘤を認める。瘤径もおそらく2cm未満。

43,

正解:b

脾静脈からshunt血管 (位置的に下腸間膜静脈か) を介してIVCが描出されている。
おそらく腸間膜静脈-下大静脈シャントによる猪瀬型肝性脳症。

44,

正解:c

右葉肝表に2ヶ月前には認められなかった脂肪結節がみられる。

45,

正解:e

右肝静脈に接して低エコー病変を認める。
パワードプラ (むしろカラードプラ/ADFにみえるが) で内部に血流信号を認め、シャントや血管奇形が疑われる。
多発肺結節も動静脈奇形と推測し、Rendu-Osler-Weber病を疑う。

46,

正解:d

肝右葉に内部不均一な巨大な占拠性病変を認める。
病変左側に弱く造影される成分がみられる。
病変右側は造影効果されず、高吸収域と低吸収域が混在する (腫瘍内出血か)。
若年女性、腫瘍内出血というキーワードからはdが一番しっくりくる。

47,

正解:e

肝右葉に内部均一な巨大な占拠性病変を認め、強い早期濃染とwashoutを示す。
血管造影でFNHに特徴的なspoke-like appearanceを認める。

48,

正解:a

肝左葉に巨大な占拠性病変を認める。内部に変性が疑われる。
dynamic CTでprogressive centripetal fillingを認め、巨大肝血管腫を疑う。
合併症としてKasabach-Merritt症候群があり、血小板減少、DICなどの血液凝固異常をきたす。

49,

正解:a,d

肝右葉に小さな占拠性病変を認める。
T2強調像では周囲肝実質と等信号、T1強調像で淡い高信号、chemical shift imagingで脂肪の含有を認める。
異型結節~早期肝癌を疑う。
d:軽度異型結節の古い表現。
 肝癌取扱い規約3版での腺腫様過形成、異型腺腫様過形成は、それぞれ現在の軽度異型結節、高度異型結節に相当する。

50,

正解:c

胃背側に腫瘤性病変を認め、近傍の脾と似た造影パターンを示すことから副脾を疑う。
副脾の診断確定をするのであれば、SPIO-MRIが有用。

51,

正解:e

肝にびまん性に多数の小嚢胞がみられ、造影効果なし。
胆管過誤腫や多発肝嚢胞が鑑別に挙がる。

52,

正解:a

「肝胆膵の画像診断」と同一症例と思われる。central dot sign。

53,

正解:e

膵頭部に嚢胞性病変を認め、内部には乳頭状の充実部が疑われる。
主膵管はやや拡張している。充実部が主膵管内にあるような形態にはみえず、e>dか。

54,

正解:b

左副腎結節を認める。単純CTで低吸収、dynamic CTでwashoutを示す。
a:肺癌の病期診断も兼ねるので適応となる。
d:腺腫と転移の鑑別に有用。
c,e:機能性腺腫の局在診断に有用。

55,

正解:c

大動脈左側に強く濃染される腫瘤を認める。
後期相で濃染部が大動脈内よりやや低吸収を示し、dやeとしては合いにくい。

56,

正解:a,b>e?

CT urographyで軽度の右水腎と上部尿管の拡張を認め、IVCと重なる部位で尿管狭窄を認める。
造影CTで尿管がIVCの背側を走行し、交叉部で尿管狭窄を来している。
下大静脈後尿管を疑う。
a:ほとんどの下大静脈後尿管は右posterior cardinal veinの遺残が原因だそう。
b:古い報告では合併奇形として腎異常血管、尿道下裂、口唇裂、多発嚢胞、腎欠損、精管欠損が挙げられているが、心奇形が多いとまでは言えなさそう。
d:交叉後、尿管は下大静脈の腹側に回り込む。
e:根治療法は手術であるが、無症状の場合は経過観察が行われることも多いらしい。

57,

正解:c

子宮体部筋層から子宮内腔に突出する腫瘤性病変あり。
chemical shift imagingで脂肪の含有を認める。

58,

正解:e

CTで腸間膜静脈に多数の石灰化を認める。なお、レントゲンでは分かりにくい。

59,

正解:c

充満法では胃体中~下部の大弯に弯入を認め、線状潰瘍や接吻潰瘍、穿通性潰瘍で認める所見らしい。
二重造影では弯入部頭側の後壁に襞の集中を伴う陥凹性病変が疑われる。

60,

正解:c

直腸腫瘤を認め、T1強調像では周囲子宮などに比べて淡く高信号にみえる。
わざわざT1強調像が提示されていることからも、cを選ばせたいのだろう。
以下の文献に幾つか症例があるが、直腸melanomaの高信号の程度は大体この程度のよう。
 https://www.ajronline.org/doi/full/10.2214/AJR.17.18807

61,

正解:a

SPECTでは前頭葉、側頭葉主体に血流低下を認める。
統計画像では両側前頭葉(左優位)、左側頭葉主体に血流低下が算出されている。
常同行動、血流低下部位と左右差からaを疑う。

62,

正解:d

右頚静脈孔に集積を認める。
わざわざ同部あたりをスライス中心として提示されており、既往も併せdを疑う。
小脳の集積の左右差の意義については、よく分からない。

63,

正解:e

胸椎レベル右側に片側限局性の異常集積を認め、漏出点を疑う。
早期膀胱内集積、著明な腰部両側対称性の集積 (クリスマスツリー状集積) を認める。

64,

正解:d

甲状腺が描出されていない。症状から亜急性>無痛性甲状腺炎を疑う。

65,

正解:a,c

下壁に血流-脂肪酸代謝ミスマッチを認める。

66,

正解:c

治療前の画像で前壁~中隔主体に再分布を認め、前下行枝の虚血。
治療後の画像で負荷時の集積は改善している。
d:実は2011-80、2014-68と同一症例のようで、それぞれ99mTc-MIBI、201Tlと記載されており、本例の使用製剤はよく分からない。
 この問題では再分布と記載があるので201Tlのはずだが…。少なくともMIBGではない。

67,

正解:c

左下葉にcomet tail signを伴う円形腫瘤を認め、円形無気肺を疑う。
c以外はFDG集積が乏しい点も合わない。

68,

正解:e

両腎に著明な集積を認め、肺外集積に相当する。肝硬変の既往よりeを疑う。

69,

正解:b

右肺に楔状の濃厚影を認め、肺血流シンチグラフィで同部に集積欠損を認める。
既往や症状も考慮し、bを疑う。

70,

正解:b

71,

正解:d

大腿骨や下肢骨に対称性の集積亢進を認める。肺癌や肺気腫などで起こりうる。

72,

正解:e

73,

正解:b

大動脈左側に腫瘤性病変を認める。chemical shift imagingで脂肪の含有は明らかでない。
MIBGシンチグラフィで同部に高集積を認め、褐色細胞腫/paragangliomaと思われる。
心集積が低下している点も合う。症状は褐色細胞腫クリーゼを疑う。

74,

正解:d

大動脈壁に沿った集積亢進を認める。腕頭動脈、両側鎖骨下動脈、両側総頸動脈などの大動脈の分枝にも集積亢進を認める。

75,

正解:e?
大動脈周囲、縦隔、左鎖骨上リンパ節に集積を認める。
若年男性→精上皮腫で原発巣がburn outし、リンパ節転移だけがみられるということか。