2023年に実際に専門医試験を受けられて合格されたペンネーム

  • samo11先生
  • ばーと先生
  • 麻婆豆腐先生
  • もすもす先生

ありがとうございました。

解答ここはこうじゃないかなどございましたら、一番下のコメント欄に記載いただければ幸いです。

1,

正解:e

(a) 水分子の運動制限を表す
(b) T2 shine throwがあればそうとは限らない
(c) 正常な大脳皮質は白質よりもDWIで高信号
(d) EPI法が一般的
(e) 正しい

 

2,

正解:d

2022-9、2019-16、2017-16と頻出です。頭蓋内生理的石灰化を来す部位は松果体、脈絡叢、淡蒼球、大脳鎌、手綱交連、小脳歯状核、くも膜顆粒、硬膜。また、加齢とともに内頸動脈や椎骨脳底動脈の壁にも石灰化がみられます。小児では松果体と脈絡叢以外の石灰化が病的であることも押さえておきましょう。
参考:画像診断 Vol.41 No.11 増刊号 2021 A59

 

3,

正解:d

造影FLAIRの特に冠状断像が有用と思われます。

 

4,

正解:b ,e

(a) 比較的早期から大脳深部白質にT2強調像やFLAIR像で左右対称性の高信号が見られ(この際にU-fiberは保たれる)、脳梁に病変が見られるのが特徴的。
(b) 前頭葉優位の皮質下白質病変、被殻、視神経に壊死を反映したT2WI高信号が見られる。特に被殻の出血性壊死が特徴的。
(c) 左右対称性の大脳白質病変。特に半卵円中心。
(d) 大脳深部白質(多発性硬化症に類似した脱髄病変)
(e) 小脳歯状核、中脳、橋、延髄

 

5,

正解:d, e

結節性硬化症は2021-5のほか、2014-53でも出題があります。
(a) 稀な母斑症候群の一部には脳梁欠損・低形成の報告もあるようです。
(b) 結節性硬化症で腎AMLの頻度が高い。
(c) 結節性硬化症では顔面の血管”線維腫”が生じます(古典的三徴の一つ)。なお、顔面の”母斑”と”脳軟膜”血管腫が生じるのはSturge-Weber症候群。2021-5では外れ選択肢だったので出題ポイントのようです。
(d) 正しい(=上衣下結節)。Monro孔近傍に発生する上衣下巨細胞性星細胞腫にも石灰化を伴う。
(e) 正しい
参考:https://www.nanbyou.or.jp/entry/4385、画像診断 Vol.41 No.11 増刊号 2021 A61

 

6,

正解:c>e

(a) 両側淡蒼球
(b) 白質主体に分布するT2WIやFLAIRにて高信号を呈する多発性・両側非対称性病変。後方優位ということはなさそう
(c) 両側側脳質三角部周囲白質にT2WIにて高信号(白質脳症)を認め、脳梁膨大部を介して連続する。(頭頂葉~後頭葉優位の白質変化).進行すると前方にも病変が見られる。
(d) 側頭葉優位
(e) 側頭葉後部、後頭葉、頭頂葉、基底核などに血管支配に一致しない梗塞様病変の多発を認める。

悩みますが、MELASは必ずしも後頭葉に病変があるという訳ではない+「後方優位」という言い回しがよくALDを含むDemyelinaying leukodystrophyの説明で使われるので cでよさそうです。

 

7,

正解:c

(a) 多形線腫は容易に傍咽頭間隙に進展します。
(b) メラニンを反映してT1WIで高信号になります。
(c) 早期濃染-wash outですね。
(d) その通り
(e) その通り

 

8,

正解:e

2020-6で既出です。p16陽性/陰性の中咽頭癌のTNM分類は治療分野と併せて可能な範囲で押さえておきましょう。
(a) HPV関連癌(p16陽性)は中〜低分化、HPV非関連癌(p16陰性)は中〜高分化です。
(b) 関連癌は非関連癌に比べて若年発生です。
(c) 癌なのであくまでもADCは低値です。ただし、扁平上皮癌のADC値は悪性リンパ腫と比べると高めの傾向にあるようです。
(d) 関連癌の原発巣は非関連癌と比べて腫瘍が小さく、比較的境界明瞭、内部均一な傾向ですが、リンパ節転移のサイズは大きく、節外浸潤が多いです。そのため、eのような嚢胞性リンパ節転移を認めるも原発巣が同定できないこともあります。
(e) 正しい。
参考:頭頸部 画像診断の勘ドコロ

 

9,

正解:e

(a) 未分化癌は甲状腺といえども発育が早いです。
(b) 最も多いのは乳頭癌。
(c) 腺腫様甲状腺腫は過形成であり腫瘍ではありません。
(d) そんなことはない
(e) 特にMALTリンパ腫に合併することが多い

 

10,

正解:c

(a) 視神経が通るのは視神経管
(b) 正円孔を通るのは三叉神経第2枝、三叉神経第1枝が通るのは上眼窩裂
(c) その通り
(d) 顔面神経が通るのは内耳道、棘孔を通るのは中硬膜動脈
(e) 舌下神経が通るのは舌下神経管

 

11,

正解:c

ガイドラインにしっかり記載がありますが、対策していませんでした……
ガイドラインには早い段階で目を通しておきましょう。
生検すると大量出血の危険性があるので、画像診断で指摘する意義が大きいようです。
(a) アンドロゲン/エストロゲン受容体が高頻度で発現するホルモン依存性腫瘍で、思春期の男性に好発します→e
(b) 鼻腔と翼口蓋窩を連絡する蝶口蓋孔(鼻腔の後方外側に位置)に発生。
(c) 正しい。基本的に良性腫瘍で出血が問題となりますが、ごく稀に悪性化の報告もあるようです。
(d) 外科切除が第一選択。術中の出血コントロールのため、術前に血管造影で栄養血管の同定と血管塞栓を行います。姑息的に放射線治療やホルモン療法が行われることも。
(e) ホルモン依存性腫瘍であり、思春期以降は増大に乏しく、自然退縮することもあるそうです
参考:臨床画像 Vol.39 No.3 2023 284-287、耳鼻咽頭 87巻12号 1008-1010

 

12,

正解:d,e
(a) 棘上筋が多い
(b) 変性によることが多い
(c) 脱臼の結果として腱板断裂は起きるようですが、原因とはならないような。。
(d) その通り
(e) その通り

 

13,

正解:d

圧倒的に前距腓靭帯の頻度が高い

 

14,

正解:c, d

2011-30の焼き直しです。
出血に伴う液面形成は動脈瘤様骨嚢腫の所見です。原発性動脈瘤様骨嚢腫のほかに、二次性の動脈瘤様骨嚢腫として骨巨細胞腫と軟骨芽細胞腫に続発するものがあります。
参考:画像診断 Vol.39 No.4 増刊号 2019

 

15,

正解:a

(a) 付着部が小さい大腿骨側がきれやすい
(b) Segond骨折(脛骨外側辺縁に生じる縦方向の微細な剥離骨折)ではほぼ全ての症例でACL損傷を伴う
(c) 不安定性の結果、半月板とかにも損傷が及ぶ
(d) その通り
(e) その通り

 

16,

正解:b ,d

(a) モルディブ語の”atholhu(珊瑚)”から来ていて、CTでの多発するリング状陰影のこと。器質化肺炎で見られるreversed halo signと同様の所見であり、fairy-ring signとも言われています。
(b) 正常な胸部側面像では、胸椎上部から横隔膜の高さにかけて、全体的に後方の混濁が減少する傾向がある。”spine sign “は、この典型的なパターンに何らかの変化があった場合に、胸部下部の病変を示唆するものである
(c) サルコイドーシスの時にCTで見られる所見
(d) 胸部単純写真で左上葉無気肺の時に見られるsign
(e) 膿胸の時にCTで膿により臓器側胸膜と壁側胸膜が分離して胸膜が2つ見えることをいいます。

 

17,

正解:a

b-eは心原性肺水腫に特徴的な所見です。aは気道炎症などを示唆します。

 

18,

正解:a

胸郭の前後径が短縮する結果、心臓が左方向にrotationして心右縁が胸骨に縦隔組織に重なって見えずらくなります。

 

19,

正解:b

肺水腫みたいな絵になります。過去問から頻出ですね。

 

20,

正解:a

(a) 肺胞内にサーファクタント由来物質が蓄積し、肺門中心のすりガラス影や浸潤影が見られる疾患で、嚢胞形成は来しにくいと考えられます。2020-16の続発性肺胞蛋白症もチェックしておきましょう。
(b) =LAM。結節性硬化症(2023-5)と関連する多発嚢胞が特徴の疾患です。
(c) シェーグレン症候群に合併したアミロイドーシスの場合、自己免疫機序によるリンパ増殖に伴って細気管支のチェックバルブおよび肺胞の破壊による嚢胞形成が見られるようです。2018-33に膠原病と細気管支病変の関連が出題されています。
(d) 20-40歳男性に好発する喫煙関連疾患。粒状影や嚢胞形成が見られ、晩期では気胸を合併することもあります。
(e) PCPは上肺野の肺門側を優位としたびまん性のすりガラス影や網状影が特徴的で、進行するとcrazy-paving appearanceや浸潤影を呈します。AIDSに合併した場合は嚢胞形成することが知られ、気胸の原因となることもあります。2015-37で既出事項です。
参考:困ったときの胸部の画像診断

 

21,

正解:e

硝子血管型Castleman病は早期濃染することが特徴のようです。
Eur J Radiol. 2012 Jan;81(1):123-31. doi: 10.1016/j.ejrad.2010.06.018. Epub 2010 Jul 18.

 

22,

正解:a ,b

(a) 前縦隔
(b) 前縦隔
(c) 中縦隔
(d) 前縦隔だけど壁が厚くて多房性のことが多い
(e) 前縦隔だけど多房性のことが多い

 

23,

正解:b

胸腺過形成には真性胸腺過形成とリンパ(濾胞性)胸腺過形成があります。前者は特に原因のない場合と、ストレス後(放射線療法、化学療法、手術など)の場合、他疾患(甲状腺機能冗進症やサルコイドーシス、赤芽球癖など)を伴う場合があります。後者は重症筋無力症や膠原病などの自己免疫性疾患に合併します。
反応性胸腺過形成は上記のように悪性腫瘍の治療後に出現する場合があり、転移との鑑別が問題となることがありますが、脂肪の存在は胸腺過形成を示唆し、結節状の形態、内部の壊死や石灰化は腫瘍を示唆します。
以上より、bが誤りでその他は正しい選択肢となります。
参考:困ったときの胸部の画像診断

 

24,

正解:d

知るか

 

25,

正解:b ,e

 

26,

正解:a, d

心臓CT(冠動脈CT)は頻出で、2022-27, 2019-40, 2019-41, 2019-43, 2017-40, 2016-43と繰り返し出題されています。
(a) 正しい。血管拡張(リモデリング)の程度やプラークの大きさ、脂質コア(低吸収域)の存在などを評価します。
(b) 陰性的中率が高いです。
(c) 薬剤負荷後の造影CTで虚血を評価します。
(d) 正しい。コアベータを用いて心拍数60回以下を目標とします。使用の際には冠攣縮性狭心症に注意します。
(e) 新出選択肢と思われます。カルシウムスコア(Agaston Score)は心電図同期下に低線量単純CTを撮影し、ワークステーションで冠動脈 3 枝各々のスコアを足し合わせ評価します。

 

27,

正解:a ,b

(a) 二次孔型のこと
(b) 心房中隔後面の上大静脈または下大静脈付近に欠損があるもので,しばしば,右上または右下肺静脈の右房または大静脈への還流異常を合併する
(c) VSD
(d) VSD
(e) VSD

 

28,

正解:b

Leriche症候群は,1940年にRen Lericheが報告した勃起不全,間欠性跛行,下肢萎縮を主徴とする終末大動脈の血栓性慢性閉塞疾患で、現在では原因を問わず終末大動脈から腸骨動脈にかけての閉塞に伴いみられる一連の症候群として理解されています。
圧倒的に動脈硬化によるものが多く、小児期発症は稀です。

 

29,

正解:e

マンモグラフィで石灰化を見た場合、まず明らかな良性石灰化なのか良悪性の鑑別を要する石灰化なのかを判別します。明らかな良性石灰化は皮膚、血管、繊維腺腫、乳管拡張症、円形、中心透亮性、石灰乳、縫合部、異栄養性でカテゴリー1 or 2とします。:a-d
それ以外は良悪性質の鑑別を要する石灰化として形態と分布の組み合わせでカテゴリー分類を行い、形態は微小円形、淡く不明瞭、多形性、微細線状を示します。:e

 

30,

正解:d

(a)手術後などの既往で説明できれば2。基本はカテゴリー4で随伴所見によって3-5に変動
(b)腋窩のリンパ管の流れがうっ滞したとき、静脈の血流が悪くなり拡張したとき、クーパー靭帯に癌細胞の浸潤が見られた場合、等に認められる。原因は、炎症性乳がん、乳がんまたはその他の癌による腋窩リンパ節転移、悪性リンパ腫、静脈浮腫、乳腺炎、乳房温存術後の放射線治療後、等でカテゴリー3
(c)少なくとも異常所見なのでカテゴリー1ということはない
(d)focal asynmetolic densityのこと。カテゴリー1or3で記載する。
(e)カテゴリー3

 

31,

正解:c

超音波で骨は大敵。肋骨含めたらエラストは測れません。

 

32,

正解: d

試験中には気がつきませんでしたが、過去問と関連づけて考えると、乳房構成の設問なのだと思います。
マンモグラフィでは乳房内の乳腺組織の量と分布を脂肪性、乳腺散在、不均一高濃度、極めて高濃度の4つに分類し、dense breastは後者2つを指します(2020-027)。
乳腺組織全体(皮下脂肪、大胸筋、乳腺後隙の脂肪を除く)を分母とし、大胸筋と等濃度以上の領域を分子として判別します。よって、dの乳腺後隙は乳房(乳腺組織が存在する領域)に含まれません。
参考:https://brestcs.org/study/achievement/page1.html

 

33,

正解:

(a)正しい
(b)大人では25-57%で見られる(https://doi.org/10.1148/rg.271065073)。乳幼児では見られることはなく両側性の気胸の際に見られる様です。https://doi.org/10.1148/radiology.167.3.3363127
(c)正しい
(d)Gross C型は気管と食道に連続がある型なので胃包が見られます。
(e)遺物によって空気を吸えるけど吐けなくなるので、縦隔は健側に偏位します。

 

34,

正解: b

(a)正常胸腺
(b)angel wing signと合わせて覚える
(c)気胸のsign。大人でも見られる
(d)正常胸腺
(e)縦隔気腫:大人でも見られる。

 

35,

正解:b,c

小児の虐待は頻出(2019-48, 2017-30, 2016-50, 2015-25など)で、特異度の高い骨折の部位がよく出題される印象です。
頻度が高い:多発外傷、骨幹端骨折、骨幹部骨折、多発肋骨骨折、骨膜下新生骨、頭蓋骨骨折(線状骨折)
特異性が高い:骨幹端骨折、肋骨骨折(第一肋骨、背側)、肩甲骨骨折、胸骨骨折、棘突起骨折
(a) 小児の骨は若木のようにしなやかなので、転倒して手をついたり、ボールが当たるなどの衝撃によって骨の一部だけが断裂して折れ曲がるような形態をとります。
(b) 正しい。
(c) 正しい。
(d) こちらも転んで手をついたり、うんていや鉄棒から落下したりすることによる小児の肘の骨折です。
(e) 小児頭蓋骨骨折の75%は線状骨折で、転倒、落下による頭頂骨の骨折が多いようですが、新旧ある場合は虐待も考慮されます。読影の際は縫合線との区別に注意しましょう。
参考:画像診断 Vol.43 No.5 2023など

 

36,

正解:d

(d)肝臓は全リンパの15~20%,胸管リンパの25~50%を 生成する。70%は流石に多すぎますね。

 

37,

正解:d

肝右葉の一部が尾側に突出しているのはcordate prosece。Spigel葉は外側区の背側

 

38,

正解:b

2013-52の焼き直しです。
Gd-EOB-DTPAはOATP1B3を介して肝細胞に移行するため、肝細胞相で高信号を示すのは正常肝細胞および、およびOATP1B3の発現がある腫瘍です。
肝細胞腺腫はHNF1α 不活化型(H-HCA)、Inflammatory 型(IHCA)、 β-catenin 活性化型に分類され、 それぞれ組織型やリスク因子、癌化リスクが異なります。β-catenin 活性化型はOATP1B3 陽性~増強を示し、EOB-MRI肝細胞相で高信号です(bが正しい)。
2022-36では中分化型肝細胞癌の一部にOATP1B3の発現があり肝細胞相で高信号を示すことが出題されていました。
a, c-eは非肝細胞病変であり、肝細胞相で低信号を示します。

 

39,

正解:e

vessel penetrating signは肝内胆管癌、細胆管癌、悪性リンパ腫、早期肝癌、高分化肝細胞癌などで見られる。

 

40,

正解:

 

41,

正解:d

異所性尿管開口は尿管芽の発生異常に起因する先天異常で、膀胱頚部、尿道のほか、男児では精襄や射精管、女児では膣や膣前庭部に開口します。a-c, eは開口部として正しいですが、直腸には開口しません。
参考:泌尿器領域 画像診断の管

 

42,

正解:d,e

(a)女性に多い
(b)被膜を伴わないのが特徴
(c)結節性硬化症に多い⇦ひっかけ
(d)結節性硬化症のLAMのことと思われる
(e)hyperattenuating AMLの特徴

 

43,

正解:d

新作問題。MRIのアーチファクトについて、SE系・GRE系の画像ではモーションアーチファクトやフローアーチファクトは位相エンコード方向に発生、化学シフトは周波数エンコード方向に発生します。位相エンコード方向と周波数エンコード方向は直交しています。今回、膀胱後壁の癌なので前後方向にアーチファクトが出ると筋層浸潤を正しく評価できません。抗コリン剤を投与しているので腸管蠕動に伴うモーションアーチファクトは無視でき、フローアーチファクトを生じるような太い血管は近傍に無いので位相エンコード方向のアーチファクトは起きにくいと考えられます。よって、位相エンコード方向を前後に設定しているdが正解と考えられます。
尚、EPIでは位相エンコード方向にchemical shift artifactが生じます。
蠕動を止めるためブスコパンを用いる事は多いがoff-label useです。
過去問として2012-7や、診断専門医試験2018-59も参照してください。
参考:改訂版 超実践マニュアル MRI(http://www.iryokagaku.co.jp/frame/03-honwosagasu/364/364-151-157.pdf)

 

44,

正解:c

PI-RADS ver.2.1ではマルチパラメトリックMRI(mpMRI)での診断を行いますが、撮像方法についても細かく推奨されています。大事なのは高いb値での拡散強調画像を用いることです。
(a) 12-20cm FOVのT2WIが推奨されています。
(b) T2WI, DWI, DCEいずれも3mm厚が推奨されています。
(c) 正しい。「高いb値」は1400 s/mm2以上が推奨されています。
(d) DCEの時間分解能(Temporal resolution)は15秒以下が推奨されています。
(e) b値が0-100 s/mm2と800-1000 s/mm2の画像からADCの計算を行うことが推奨されています。
参考:https://www.acr.org/-/media/ACR/Files/RADS/Pi-RADS/PIRADS-v2-1.pdf p17-22

 

45,

正解:

(a)疑った時点でオペなので生検はしない
(b)正しい
(c)肺が多い
(d)傍大動脈領域に多い
(e)ほとんどの場合で複数の組織型を含む

 

46,

正解:

 

47,

正解:d, e

2012-65,2010-67, 2009-83, 2006-84が類題です。
(a) 捻転が高度であれば、卵管と間膜の捻れによる短縮に伴って子宮は腫瘤側(病側)へ偏位します。
(b) 内膜症性嚢胞は癒着のため捻転は稀です。2012-65で既出です。
(c) 悪性疾患は癒着のため捻転は稀です。
(d) 正しい。うっ滞により患側の静脈は拡張します。
(e) 正しい。不全捻転が長期にわたると、卵巣間質に広範な浮腫を来して腫大します(massive ovarian edema)。
参考:画像診断 Vol.36 No.14 2016, 画像診断 Vol.37 No.11 増刊号 2017

 

48,

正解:

(a)直腸周囲腔はS状結腸間膜の腹膜下脂肪織と連続性を有する。byよクウわかる腹膜腔・後腹膜腔の画像診断
(b)直腸の周囲組織に浸潤する腫瘍がT3なので正しい
(c)文献は見つけられませんでしたが解剖学的に連続性もないですし、離れているし波及することは考えにくいと思われます。
(d)その通り.だからTMEするんですね。
(e)MRIがよく見えます。

 

49,

正解:

 

50,

正解:c 下部消化管造影検査(以下注腸)は恐らく初出です。

(a) 何をもって低侵襲とするかですが、注腸は細いチューブを直腸にバルーンで留置します。結腸全体にカメラを進める下部消化管内視鏡より痛みは少なく、侵襲が高いとは言えないと思われます。
(b) 先に空気を入れるとバリウムを奥まで流すことが出来ず、不十分な検査となる恐れがあるます。原則的には体位変換によってバリウムを流したあとに空気を入れ、二重造影法で撮影します。
(c) 正しい。チューブは肛門を挟むようにバルーンで固定します。検査前には必ず直腸診を施行し、直腸病変の有無の確認するほか、肛門括約筋の機能を確認してバルーンに入れる空気の量を調節します。肛門括約筋が弛緩しているとバルーンの隙間からバリウムが漏れ出してしまい、検査台がバリウムまみれになってスタッフ総出で掃除をすることになります(稀にあります)。
(d) 膝を少し曲げた左側臥位の状態でチューブを挿入後、腹臥位(少し頭低位)でバリウムを入れていきます。
(e) 腹臥位のままでもバリウムが脾湾曲を超える患者さんもいますが、バリウムを上行結腸まで送るためには患者さんに台の上で回ってもらう必要があります。PS不良の患者さんでは十分な検査が行えません。

 

51,

正解:a

(a)ボースデルの添付文書より「本剤はT2強調画像で陰性造影効果を示す。なお、T1強調画像では陽性造影効果を示す。」という訳で正しい。ちなみにT 1WI ,T2WIのどちらでも造影効果が出るからボースデル(Both出る)です。
(b)関係ない
(c)吸収阻害されるから注意が必要
(d)消化管の穿孔又はその疑いのある患者は消化管外(腹腔内等) に漏れることにより、腹膜炎等の重篤な症状を引き起こすおそれがあり禁忌です。
(e)関係ない

 

52,

正解:b

0.035” Radifocusを入れる時は18Gのサーフロでやりますね。太さ的にはこれでギリギリです。

 

53,

正解:b

2020-43, 2018-69, 2017-70など定期的に穿刺に関する出題があります。
(a) 正しい。double wall punctureで穿刺するのが合併症が少ないと言われています。
(b) 誤り。鼠径靭帯から2横指と習うこともあるかもしれませんが、透視下で大腿骨頭の下1/4-1/3を確認の上穿刺するのが安全と言われています。
(c) 正しい。ガイドワイヤーが迷入しないよう透視下で確認します。
(d) 正しい。十分な逆血が確認できないのにガイドワイヤーを進めると、血管外に迷入したり、解離を起こす恐れもあります。
(e) 正しい。ブラインドだけでなく、超音波ガイド下の穿刺も習得しておく必要があります。
※セルジンガー法について
2020-43に「e セルジンガー法は動脈前壁のみを貫通させる」という選択肢があります。実はセルジンガー先生の原著論文では前壁穿刺の挿絵で説明されているのですが、セルジンガー法=double wall punctureとして説明されることはままあります(参考:VASCULAR DISEASE MANAGEMENT 2022;19(2):E39-E41, Acta Radiologica Volume 39, 1953 5 p368-376)。これを意識してsingle/double(dual) wall punctureと呼んだり、セルジンガー変法と呼ぶなど様々工夫も見られますが、恐らく2020-43では誤りとされており、少なくとも過去問時点ではセルジンガー法=double wall punctureという扱いです。本年の出題は指摘を受けての具体的な手技内容の描写の可能性はありますが、今後はどう出題されるか分かりません。あくまでも柔軟に、他の受験生が選びそうな選択肢にマルをしましょう。

 

54,

正解:d

IVR学会のCT ガイド下肺生検の手技に関するガイドラインによると
(a)18-20G程度のcutting needle を用いて検体を採取する
(b) 肺癌診断における感度は 90%以上
(c) 透視使えば被曝は増える。
(d) 0.061~0.3%と報告されている
(e)Heerink らは、core biopsy(32 編の文 献、8,133 手技) と FNA(17 編の文献、4,620 手技)の計 12,753 手技の合併症に関す るメタアナリシスにおいて、胸腔ドレーンが必要な気胸は、core biopsy で 5.6%、FNA で 4.3%であったが、死亡例はなかったと報告している

 

55,

正解:e

(a)4cm以下の腎癌
(b) 適応通ってないです
(c) 禁忌だけどhydrodisectionとかすれば可能といえば可能
(d) これはRFAの針の話
(e)13mm以上では2本、20mm以上では3本使うことが多い

 

56,

正解:a,d

PETとSPECTの違いが頻出です(2020-50, 2019-71, 2017-77など)。
(a) 正しい。対消滅γ線をリング状に360°配置した同時計数回路で計測します。
(b) 半導体SPECT装置は二核種同時収集に応用されています。PETでは核種を変えたところで検出するのはγ線なので、どちらの核種による対消滅γ線なのかの区別は出来ないと思われます。
(c) 誤り。全身用PETの空間分解能は4mm(乳房専用PETの空間分解能は約1.5mm)。SPECTの空間分解能はコリメータの種類などによって変化しますが、一般的に15-20mm程度です。
(d) 正しい。PETの同時計数イベントには真の同時計数の他に、散乱同時計数、偶発同時計数、多数同時計数、シングルスなどがあります。また減弱とは、放射線が物体を通過する際に吸収されたりコンプトン散乱散乱同時計数の補正はCT画像を使った減弱体の分布パターンから推定します。
(e) 対消滅γ線を計測します。
参考:わかりやすい核医学

 

57,

正解:e

Tcは141keVで低エネルギー核種ですね。

 

58,

正解:c

123Iは13時間
111Inは2.8日
131Iは8日

 

59,

正解:d

2015-73の焼き直しです。
I-131は治療用核種であり半減期が長い(約8日)ので診断目的には少量しか投与できないことが出題ポイントのようです。
(a) 240MBq
(b) 950MBq
(c) 200-270MBq
(d) 40MBq
(e) 120MBq
参考:http://www.radher.jp/J-RIME/report/JapanDRL2020_jp.pdf

 

60,

正解:d

(a) 副甲状腺シンチ
(b) ピロリン酸シンチ。心アミロイドーシスで有用
(c) 心筋脂肪酸代謝シンチ
(d) 心筋交感神経シンチ。心臓の交感神経機能をみることでPSPなどとアルツハイマー病を鑑別できます。
(e) 心筋血流シンチ

 

61,

正解:e

 

62,

正解:e

2020-46, 2016-77も参考にして下さい。
(a) てんかん発作を来す器質的異常検索のため、画像検査ではまず施行されます。
(b) 発作間欠期はuptake低下を、発作時はuptake上昇を示します。SPECTに比べ発作間欠期に有用です。
(c) 発作時に脳血流量(CBV)の上昇を、発作間欠期にはCBVの低下を示します。PETに比べ発作時に有用です。
(d) てんかん焦点ではGABAA受容体が低下しているため、ピンポイントに集積が低下します。
(e) 線条体のDAT分布密度を画像化する検査で、パーキンソン病と各種パーキンソン症候群、DLBとアルツハイマー病の鑑別に用いられます。
参考:よくわかる脳MRI, わかりやすい核医学

 

63,

正解:b,d

骨トレーサーである99mTc-HMDPと99mTc-PYPが、ATTR心アミロイドーシス(ATTRvとATTRwt)の検出にきわめて有効

 

64,

正解:d

明らかに転移がある時は腋窩郭清するので不要ですね。

 

65,

正解:d

(a) 腎動態シンチグラフィに用いられる核種です。リンパ管シンチグラフィはTc-99m-コロイドやTc-99m-HSADが用いられます。
(b) リンパ管シンチグラフィはリンパ管の流れを見る検査で、途絶などの所見から転移の有無の参考にされた時代もあるようですが、少なくとも現在はCTやMRI, FDG PET/CTなどに置き換わっています。何となく「センチネルリンパ節シンチグラフィはセンチネルリンパ節を生検するために可視化する検査であり、リンパ節転移があるかどうかを直接診断する検査ではない」ことを意識した選択肢にも思えますが、いずれにしても誤りです。
(c) Tc-99m-HSADを約40-80MBqになるように調整し、皮下に注射し、継時的に流れるリンパ流をdynamic撮像を行います。
(d) 正しい。Dermal backflowと呼ばれる所見です。
(e) 誤り。乳び胸の診断では胸管へ流れていく様子を観察します(透視下でリンパ管造影を行う方が一般的かもしれませんが、同じことです)。

 

66,

正解:d

(a) 水負荷する
(b) Tc-DMSAは腎静態シンチ
(c) Tc-DTPAはGFRの推定。有効腎血漿流量はTc-MAG3
(d) 正しい
(e) 減弱補正が必要ですね。

 

67,

正解:b

 

68,

正解:c

脳、心筋、大腸には生理的集積を認め、膀胱には排泄像を認めます。通常胆嚢には集積しません。2017-82, 2016-74も併せて確認下さい。

 

69,

正解:

(a) 131I-NaIが適応なのは乳頭癌と濾胞癌
(b) 223Raは去勢抵抗性前立腺癌が適応
(c) 外来でできます。
(d) 正しい
(e) 90YはCD20陽性の再発又は難治性低悪性度ろ細胞B細胞性非ホジキンリンパ腫、マントル細胞リンパ腫の治療が適応です。DLBCLは高悪性度なので適応外

 

70,

正解:b

解説
a: 甲状腺分化癌(乳頭癌、濾胞癌)に対して適応です。未分化癌は放射性ヨウ素が集積しないため、適応外です。未分化癌で手術困難な場合、姑息的外部照射が行われることもありますが予後不良です。
b: 正解。約2週間のヨウ素摂取制限と、ホルモン補償療法のT3,T4製剤を2-4週間休薬して内因性血中TSHを上昇させます。
c: 禁忌ではありません。40歳以上の場合や、甲状腺外浸潤がある場合に放射性ヨウ素内用療法に加えて外部照射を追加する意義があるとする報告もありますが、臨床的意義は確立していません。
d: 転移があっても、甲状腺が残存していてはそちらに放射性ヨウ素が集積してしまうので、投与前にまず残存甲状腺を切除します。
e: 残存甲状腺破壊=アブレーションの投与量は1110-3700MBq(30-100mCi)ですが、転移病巣の治療の投与量は3700-5550MBq(100-150mCi)です。

 

71,

正解:b

解説
繰り返し出題されている、体幹部定位放射線治療の保険適用の問題です。
選択肢では乳癌以外は適用となります。2023年時点で保険適用となっているのは、
・原発病巣が直径5センチメートル以下であり転移病巣のない原発性肺癌、原発性肝癌又は原発性腎癌、3個以内で他病巣のない転移性肺癌又は転移性肝癌
・転移病巣のない限局性の前立腺癌又は膵癌
・直径5センチメートル以下の転移性脊椎腫瘍
・5個以内のオリゴ転移、及び脊髄動静脈奇形(頸部脊髄動静脈奇形を含む)
です。

 

72,

正解:e

解説
放射線治療計画ガイドライン2020年版 p396-401に緊急照射についての記載があります。実臨床では緊急照射を実施している疾患も他の選択肢にありますが、推奨できるエビデンスのある対象疾患は「上大静脈症候群」と「脊髄圧迫」です。

 

73,

正解:e

解説
223Raが前立腺癌骨転移に用いられるのは飽きるほど繰り返し出題されています。
a: 64Cuは64Cu-Atsmという日本発の放射線治療薬剤として、悪性脳腫瘍に対しての治験が行われているそうです。神経内分泌腫瘍に用いるのは保険収載されているものではLu-177があります。
b: 90Yを用いているのはゼヴァリンという薬剤で、CD20陽性の再発または難治性の、低悪性度B細胞型非ホジキンリンパ腫・マントル細胞リンパ腫に適応です。
c: 分化型甲状腺癌に用いるのは131Iです。
d: 177Luの適応は「ソマトスタチン受容体陽性の神経内分泌腫瘍」です。

 

74,

正解:a, d

解説
類題が繰り返し出題されています。レジデントセミナーでも念入りに解説されています。
a: 正解。酸素効果が小さい=放射線治療の効果が酸素の影響を受けにくいということです。
b: 入射粒子の質量が大きいほど、軌道の変化が少なく側方散乱も小さいです。風にあおられたときの体重差のようなもので、感覚的にも理解できると思います。
c: 炭素線のRBEは2-3とされています。
d: 正解。炭素線はDNAに対しての直接作用が強く細胞周期依存性が小さいので、S期後期などのX線に抵抗性を示す細胞にも効果を持ちます。
e: 炭素線は高LET放射線です。陽子線はX線等と同じ低LET放射線です。

 

75,

正解:e

解説
場所としては治療の問題なのですが、なんだか診断寄りな問題です。
a: 髄芽腫は小児に好発します。(全腫瘍の0.7%、小児脳腫瘍の9.9%)
b: 膠芽腫の多くは成人に発生します。(50-60歳代に好発)
c, dは明確なデータを持ってこられませんでした。
e: 脳腫瘍の地域差でいうと胚細胞腫の話は有名なのでこれだけで答えが選べたという人もいたのではと思います。東アジアでは欧米に比べて3-8倍の発症率と言われています。

 

76,

正解:d

解説
a: 上衣腫は髄膜播種無しなら局所照射を、髄膜播種ありなら全脳全脊髄照射+局所照射を行います。
b: 術後か否かでの範囲の違いはありますが、局所への照射を行います。
c: 膠芽腫は以前は全脳照射が標準でしたが、現在は全脳照射を用いないことが推奨されています。標的体積のプロトコルは様々なものがありますが、放射線治療計画ガイドライン2020年版はJCOGに則りCTVとして拡大局所照射(腫瘍・摘出腔+周囲の浮腫から15-20mm程度)と局所照射(腫瘍・摘出腔から15-20mm程度)を記載しています。
d: 正解。脳原発悪性リンパ腫(多くはDLBCL)の治療は、MTX大量療法→全脳照射。処方線量はMTXの効果次第です。ちなみに放射線治療後にMTX大量療法を行うと重篤な白質脳症が高率に発症するので、放射線治療を先行するべきではないです。
e: 胚腫は、播種がある場合は全脳全脊髄照射を、播種がない場合でも全脳室以上の照射が必要です。

 

77,

正解:b

解説
原発巣は右側で、転移リンパ節は右頸部レベルⅡ, 径3.5cm, 節外浸潤なしなので、N2aの定義「同側の単発性リンパ節転移で最大径が3cmを超えるが6cm以下かつ節外浸潤なし」にピッタリ合います。これが3cm以下ならN1、2個以上ならN2b、対側にあったらN2c、6cmを超えたらN3aなので、どれか一つでもキーワードをいじれば選択肢内で正解が変わります。節外浸潤ありだったらN3bです。

 

78,

正解:b

解説
甲状腺乳頭癌・濾胞癌は年齢によってステージング方法が異なります。55歳未満の甲状腺乳頭癌Ⅱ期=M1(遠隔転移あり)です。治療法は甲状腺全摘→顕微鏡的残存組織と遠隔転移に131I内用療法です。

 

79,

正解:a

解説
小細胞肺癌において、LDではCRが得られた場合にPCIを行うことが標準治療として推奨されています。良好な初期効果が確認され次第、できるだけ早期(6か月以内)に実施することが望ましいとされています。CTVは脳実質全体で、処方線量は25Gy/10回相当が推奨されています。遅発性有害反応軽減のため、1回2.5Gyを超えないことが望ましいとされています。一方、EDでは化学療法後のPCIは行わないことが推奨されています。

 

80,

正解:e

解説
a: Ⅲ期肺癌への通常分割照射などは食道を巻き込むことが多いので、照射範囲に入れば食道炎はほぼ必発です。
b: 対側肺門リンパ節転移さえなければ、ⅢC期でも適応です。
c: PS良好な症例には同時併用が推奨されます。
d: 原発性肺癌では、腫瘍最大径については5cm以内が定位放射線治療の保険適用です。
e: 正解。いわゆる加速過分割照射です。

 

81,

正解:c,e

解説
乳癌診療ガイドライン2022年版の「放射線療法 総説2」に、乳房手術後に放射線治療が勧められない場合について記載されています。

【絶対的禁忌】
・妊娠中
・放射線療法による二次性悪性腫瘍のリスクが極めて高い遺伝性疾患
=ホモ接合性ATM病的バリアント

【相対的禁忌】
・患側上肢挙上不能
・活動性の強皮症・SLE
・患側乳房・胸壁への放射線療法の既往
・放射線療法による二次性悪性腫瘍のリスクが高い遺伝性疾患
=Li Fraumeni症候群(TP53病的バリアント)

BRCA病的バリアントについては、まず乳房温存療法についてHBOC診療ガイドライン2021年版の乳癌CQ3で、「BRCA病的バリアントを有する乳癌患者に対し、乳房温存療法は条件付きで行わないことを推奨する」と記載されています。また、BRCA病的バリアントに対する放射線療法については乳癌診療ガイドライン2022年版「放射線療法 BQ10」に記載されています。結論としてBRCA病的バリアントに対する放射線療法による有害事象は急性期・晩期・二次発がんのいずれも散発性乳がん患者と有意差がありませんでした。従って、BRCA病的バリアント保持者も必要な場合には通常の乳がん患者と同じ放射線療法を行うことができます。

以上のことなどを踏まえると、

a: 非浸潤癌であること自体が全切除を推奨する根拠にはならないと思います。
b: 肥満だけで明確に術式の推奨非推奨の記載はありません。
c: 正解。上記の通り。
d: 乳癌診療ガイドライン2022年版「外科療法 BQ1」に、「術前化学療法で縮小した浸潤性乳癌に対する乳房温存療法は可能である」とあります。全切除を推奨する根拠はありません。
e: 上記の通り、手術療法の時点で部分切除術は推奨されないと解釈されます。

 

82,

正解:a

解説
乳癌の術後照射の計画を立てた経験が1回でもあれば正解を選ぶのは簡単な問題かと思います。
a: 正解。接線照射を行うためには腕は上げないと邪魔ですね。
b: 放射線治療計画ガイドラインに沿った内容として「ボーラスは全切除術後の胸壁照射でビルドアップのために使うんだよ」という意味合いの選択肢かと思います。
c: 乳房の照射には4-6MVのX線を用いるのが一般的です。
d: ブースト照射は全乳房照射の後に行います。
e: 以前にも出たひっかけがまた出ました。「深吸気」で心臓線量を軽減します。

 

83,

正解:d

解説
a: 肝癌診療ガイドライン2021年版で、Child-Pugh分類Cの場合は肝移植or緩和となります。
b: ソラフェニブ単剤の有効性は示されていますが、放射線治療との併用での安全性や有効性は証明されていません。(放射線治療計画ガイドライン2020年版)
c: いきなり総論的内容ですが、RBEは重粒子線の方が高いのは頻出ですね。
d: 正解。門脈腫瘍栓に対する放射線治療の奏効例では、有意に予後の改善が示されています。理屈としても、腫瘍の縮小が得られれば門脈圧亢進の軽減が期待されると思います。
e: 肝細胞癌の体幹部定位について、保険で認められているのは5cm以内です。

 

84,

正解:b,c

解説
放射線治療計画ガイドライン2020年版 p.206の線量分割の項目に色々と書いてはあるが、「日本においては、(中略)化学放射線療法では50~60Gy/25~30回/5~6週程度を用いる場合が多い」という部分だけで正解b,cが絞れる。欧米では50,4Gy/28回が主流で、日本でも近年はこの線量分割が普及しつつある。

 

85,

正解:c,d

解説
なぜかNCCNではなくD’Amico分類ですが、必要項目はほぼ同じと思っていても問題ありません。T分類とGSとPSAです。強いて言うなら、eの陽性コア数はNCCNのリスク分類におけるVery lowを規定する際に必要になります。

 

86,

正解:b

解説
a: 術後照射でもCTVに領域リンパ節は含みます。総腸骨、内・外腸骨、閉鎖、仙骨前です。
b: 正解。放射線治療単独でも化学療法併用でも基本的に総線量は変わりません。
c: 術後高リスク症例(骨盤リンパ節転移陽性、子宮傍組織浸潤陽性のいずれか)では術後CCRTの適用を検討します。
d: 術後照射における腔内照射は膣断端陽性例で適応があります。
e: cに記載の通りです。ちなみに術後中リスク(大きな頸部腫瘤、深い間質浸潤、脈管侵襲陽性のいずれか)でも術後照射または術後CCRTを検討します。

 

87,

正解:c

解説
実際に子宮頸癌の治療計画に携わった経験があると、なんとなくで正解が選べてしまう問題です。放射線治療計画ガイドライン p282の表とほぼ1対1対応で正解は出せますが、これも推奨スケジュールであり厳密な指標というわけでもありません。
中央遮蔽についてはp.280に記載されています。15-20回くらい普通の全骨盤照射を行ったら、照射野のど真ん中を下から半分縦に割ったような目隠しフィールドで残りの回数を行います。そして、その照射を始めた辺りから腔内照射を開始します。直腸線量を減らしつつ子宮傍組織とリンパ節領域に照射を継続し、なおかつ腔内照射を含めての総治療期間を短縮することができるという感じです。欧米ではこんな細かいことはせずに全骨盤照射を全部やった後に腔内照射に移行します。
感覚的には、
腫瘍がかなり小さい(4cm未満くらい)→全骨盤20Gy, 中央遮蔽30Gy
腫瘍がそこそこ大きい(4cm以上くらい)、傍組織に届く→全骨盤30Gy, 中央遮蔽20Gy
傍組織にしっかり広がっている、骨盤壁に達している→全骨盤40Gy, 中央遮蔽10Gy
膀胱や直腸に広がっている→全骨盤50Gy 中央遮蔽無し
くらいのものです。施設によっても考え方は異なります。RALSの回数も3回か4回か、症例ごとで検討します。全骨盤20Gy+中央遮蔽30Gyというのはよっぽど小さい腫瘍でないとなかなか線量不足になりそうなので、一般的には全骨盤30Gyか40Gyか、という計画を目にすることが多いかと思います。
ガイドラインの表通りに照らし合わせればcが正解な訳ですが、それを知らなくてもa,eの照射法はありえない、bはちょっと少なすぎないか?、dは中央遮蔽なしとわざわざ書いておいてFIGOⅡB程度で全骨盤50Gyを選ばせることもなかろうと思うと、逆にcしか妥当な選択肢が無いなあとなりました。診断志望の先生方にとってはちょっと嫌な問題だったろうと思います。

 

88,

正解:d

解説
a: 骨の孤立性形質細胞腫に対して放射線療法との併用が積極的に推奨される薬剤は確立されていません。推奨線量は通常分割で40-50Gy程度です。
b: 限局期のFL Grade1に対しては根治的放射線治療単独が実施されます。処方線量は24Gy/12回で十分です。
c: NKTCLに対しては、RT-2/3DeVIC療法が推奨されます。処方線量は50-50.4Gy/25-28回です。
d: 正解。放射線治療計画ガイドライン2020年版 p.310に「限局期Unfavorable群では、4-6サイクルのABVD後に、30Gy/15回/3週のISRT(Involved site irradiation)を施行する」とあり、ほぼ問題文そのもののことを言っています。
e: 限局期NLPHLはISRT単独が標準です。

 

89,

正解:a

解説
a: 正解。評価可能患者における疼痛緩和率は61-70%です。
b: 疼痛緩和効果の不足や疼痛再燃の場合に、再照射の有効性が知られています。
c: せいぜい30Gy/10回程度しか実施しないので、Grade3のような重篤な有害事象はほとんど全くと言ってよいほど現れません。
d: 原発巣の放射線感受性と疼痛緩和効果との相関について検討した報告はちょっと見当たりませんでした。少なくともエビデンスとして確立していることではないのだろうと思います。
e: aが確実に正解なので不正解だとは思いますが、具体的に照射後どれくらいで再石灰化が得られるのか、そもそもまとまった報告があるのかすぐには見つけられませんでした。

 

90,

正解:b, d

解説
a: 低線量でも放射線を当てるので発がんリスクがないってことはないでしょう。
b: 正解。CTVが皮膚表面から存在するので、ビルドアップ補正のために5-10mm程度のボーラスを乗せます。
c: 10代とかにも普通にやります。ただしケロイドは若者に多く、必然的に生命予後が長いので、他の保存的治療に抵抗性のものが放射線治療の適応となります。
d: 正解。皮膚張力の強い部位では再発率が上昇します。
e: 術後早期に開始します。

 

91,

正解:e

解説
p53の主な機能は、細胞周期の停止とアポトーシスの誘導です。DNAの損傷刺激を受けた細胞ではp53によってG1およびG2期からの移行が抑制されます。

 

92,

正解:e

解説
いつもの。文献により多少のバラつきはありますが。
a: 6Gy
b: 3Gy
c: 3-6Gy
d: 4Gy
e: 0.5Gy

 

93,

正解:e

解説
a: 発がんは確率的影響です。
b: 文献で差がありますが、骨髄死が2-10Gy、腸管死が8Gyくらいから
c: 線質によって放射線加重係数が異なるので、等価線量も変わります。
d: 白血病の潜伏期間は2-3年と短いです。固形がんは10年くらい。
e: 正解。0.5Sv程度で造血能の一時的な低下が起きるため、被ばく線量の評価に有用ということかと思います。

 

94,

正解:c

解説
並列臓器では他の部分が機能を補償できる範囲であれば部分的な不可逆的な有害事象であっても許容できます。従って、線量体積ヒストグラム(DVH)を用いて障害の程度を評価します。直列臓器と異なり、照射体積を減らすことで耐容線量を高くすることができます。他の選択肢をなんとなくで考えてみても、1回あたりの線量を上げたり寡分割にしたり、薬物療法を併用したりして耐容線量が高まることはないだろうと想像はつくと思います。

 

95,

正解:c

解説
TR(Repetition Time)は90度パルスを繰り返す間隔のこと。
スピンエコー法で、信号強度=ρ・(1 -e^-TR/T1) ・e ^-TE/T2で規定される。
(1 -e^-TR/T1)は縦緩和に関わる項、e ^-TE/T2は横緩和に関わる項である。
T2を強調したいときは縦緩和の項の影響を下げたい。そのためにTRを長くする。従って、T2強調像撮像時にTRを長くするのは、T1緩和時間の影響の低減のためである。

 

96,

正解:d, e

解説
レジデントセミナーより
・蛍光作用(励起)を利用する:NaI(Tl)シンチレータ、TLD、蛍光ガラス線量計
・電離を利用する:電離箱、GM計数管、Ge半導体検出器、Si半導体検出器
これだけでも覚えてれば答えにはたどり着けそうです。

 

97,

正解:c

解説:
陽子が陽電子と電子ニュートリノを放出して中性子に変化するのがβ+崩壊。放出された陽電子は電子と結合して1対の消滅ガンマ線(511keV)を正反対の方向に放出する(消滅放射)。2つの検出器がこれら光子を同時に検出すると、その検出器(同時計数回路)を結ぶ直線上で対消滅が起きたと考えられる。これがPETの原理。

 

98,

正解:

 

99,

正解:d

ウログラフィンはイオン性高浸透圧造影剤であり、脊髄内投与(脳槽・脊髄造影はもちろん、硬膜外造影、椎間板造影、造影剤を使用する脊椎近傍の神経ブロックも)は禁忌です。
2014年に誤投与の事故があり、外箱にも赤字で記載があります。なお、2023年3月に関節撮影と逆行性尿路撮影は適応症から削除されたようです。
参考:https://pharma-navi.bayer.jp/sites/g/files/vrxlpx9646/files/2023-03/URO_PNS-2_20230306.pdf

 

100,

正解:e

診療用放射線に係る安全管理のための体制の確保に係る措置として、診療用放射線の利用に係る安全な管理(以下「安全利用」という。)のための責任者を配置し、次に掲げる事項を行わせること。
イ 診療用放射線の安全利用のための指針の策定
ロ 放射線診療に従事する者に対する診療用放射線の安全利用のための研修の実施
ハ 次に掲げるものを用いた放射線診療を受ける者の当該放射線による被ばく線量の管理及び記録その他の診療用放射線の安全利用を
目的とした改善のための方策の実施
(1) 厚生労働大臣の定める放射線診療に用いる医療機器
(2) 第二十四条第八号に規定する陽電子断層撮影診療用放射性同位元素
(3) 第二十四条第八号の二に規定する診療用放射性同位元素

とありますのでeが正解です。

 

101,

正解:b

昔の頭部専用CTで禿げたらしい。

 

102,

正解:a, b?

2016-12の焼き直し。
(a) △:診断参考レベル運用マニュアル(http://www.jsrtrps.umin.jp/pdf/drl_manual_20161001_ver3.pdf)には「一般的に用いられる電離箱では入射表面線量を直接測定することは困難」とあります(後方散乱を含む値だから?)が、2016年の過去問では実測で求められるものとされているようです。
(b) 正しい。放射能(量)(Bq)は直接測定可能です。
(c) 実効線量(Sv)は放射線の量を人体影響の大きさで表す単位で、放射線荷重係数や組織荷重係数が乗算された計算によって求める指標です。
(d) CTにはCTDIvol(CT線量指標)とDLP(線積分線量)の2つの評価値があります。前者は測定可能(だと思います)が、後者はCTDIvolに撮影範囲の長さを乗じた線量指標であり、単位はmGy × cmです。直接は測定不能ということだと思います。
(e) 等価線量(Sv)は吸収線量×放射線加重係数であり、計算によって求める指標です。

 

103,

正解:e

単純レントゲンぐらいの線量は問題になりません。

 

104,

正解:e

Digital Imaging and Communications in Medicineの頭文字
通信のための規格

 

105,

正解:c

マンモグラフィをモニター上で診断するためには5MP以上(解像度:2560×2048、画像ピッチ:165μm相当)のマンモグラフィ用モニタ2面とサブモニタによるワークステーションで読影診断することとされており、頻出事項です(2021-30, 2019-15)。
a, b, d, eは掛け算をしても5,000,000になりません。