2019年に実際に専門医試験を受けられて合格されたペンネーム

  • N先生
  • K先生
  • ああああ先生
  • いし先生
  • I先生
  • fine先生

の先生方に解答作成を手伝っていただきました。ありがとうございました。

解答ここはこうじゃないかなどございましたら、一番下のコメント欄に記載いただければ幸いです。

 

更新情報

2020年5月7日 95追記
2020年7月28日 93追記
2020年8月8日 11追記、12修正
2020年8月16日 12再度修正

 

基礎(1-15)

1,

正解:d

c.骨髄死は3~10Gyの被曝で20~30日後に亡くなる。
d.正しい。腸管死は8Gy以上の被曝で8~14日後に亡くなる。
e.中枢神経死は数10Gyの被曝で1~2日後に亡くなる。

 

2,

正解:d

a.亜致死損傷からの回復は4~6時間程度で終了する。
b.同じ線量であれば1回で照射するより分割した方が生存率は上昇する。
c.細胞生存率は上昇する。
d.正しい。一回目の照射後と同じように上に凸の方の部分が再現される。
e.亜致死損傷からの回復は高LET放射線では認められないか、あっても小さい。

参考:金原出版「臨床医が書いた放射線生物学」、秀潤社「がん・放射線治療2017

 

3,

正解:c,e

a.OERは小さい。
b.細胞周期の影響を受けにくい。
c.正しい。
d.線エネルギー付与(LET)が高い。
e.正しい。

参考:金原出版「臨床医が書いた放射線生物学」

 

4,

正解:d,e

それぞれをEQD2の式に代入して計算する。

a.20 Gy/4回のEQD2=35
b.20Gy/5回のEQD2=30
c.20Gy/8回のEQD2=22.5
d.正しい。
e.正しい。20Gy/20回のEQD2=15

 

5,

正解:d

a,c,eは明らかに誤り。
b;現在のCTは陽極が回転式となっています。X線管では熱対策が問題となりますが、ターゲットである陽極を回転させることにより熱電子が衝突する部位が分散され、より大きな管電流をかけることが可能になります。
d;検出効率を高めることでSN比が改善され、コントラストも良くなります。

 

6,

正解:b

Co-60  約5年
I-125  約60日
Ir-192 約73日
Au-198 約2日
Ra-226  約1600年

半減期の問題は頻出です。現在使用されている核種の半減期は覚えておく必要があります。 

 

7,

正解:c,e

 

8,

正解:d,e

a.日本人の平均:内部被曝(吸入摂取0.48 mSv+食品0.99mSv)>外部被曝(宇宙0.3mSv+大地0.33mSv)
   世界の平均:内部被曝(吸入1.26mSv+食品0.29mSv)>外部被曝(宇宙0.39mSv+大地0.48mSv)
b.地域によって違う
c.高度が高いほど空間放射線量率が高くなる
d.世界平均2.4mSv,日本平均2.1mSv
e.aの解説を参照

参考:環境省「放射線による健康影響等に関する統一的な基礎資料(H26年度版)」

 

9,

正解:e

a.正しい。
b.正しい。
c.正しい。
d.正しい→近い将来に水晶体の線量限度が今より厳しく変更される可能性が高いので要確認。
e.線量限度は妊娠中の女においては1mSv/妊娠中とされている。その他の一般の医療従事者については内部被曝の線量限度は規定されていない。

 

10,

正解:a,c

a.1Gy
b.下痢:6Gy
c.0.5Gy
d.3Gy
e.皮膚炎:3~6Gy以下、皮膚熱傷:5~10Gy

参考:環境省HP

 

11,

正解:a

a.0.12
b.0.04
c.0.04
d.0.04→0.08
e.その他の組織・臓器の合計0.12のうちの一つ

参考:環境省HP

2019.11の解説でdの卵巣は生殖腺なので0.08だと思います。

®️Gy先生ありがとうございます!

 

12,

正解:d→e→d

2019 12 ですが、胎児被曝は確かに0.1Gyがしきい値ですが、環境省のページ(の図ではなく文章)に精神発達遅滞は胎児前期に0.3Gy以上被曝すると、とあるのでeが正解だと思います。

参考:環境省HP

®️Gy先生ありがとうございます!

いつも大変お世話になっており、本当にありがとうございます。

2019 12 ですが、®️Gy先生が仰る通りなのですが、同じく環境省のHP(https://www.env.go.jp/chemi/rhm/h30kisoshiryo/h30kiso-03-05-02.html)に、

「原爆被爆時の胎齢が8~15週齢の場合、放射線感受性が高く、子宮内での線量が0.1グレイから0.2グレイの間にしきい値があるように見えます。これ以上の線量域では、線量の増加に応じて重度知的障害の発生率が上がっていることが分かります。」

とあり、dでもよいような気がします。
自分だけでは判断がつかず、コメントさせていただきました。いかがでしょうか。

 

お世話になります。
⑫の問題ですが、®Gyさんの指摘のように環境省「放射線による健康影響等に関する統一的な基礎資料(平成30年版) 」の第3章p101には「(胎児前期)に0.3Gy以上被ばくすると、精神発達遅滞の危険性があります」とあります。しかし、次のページ(p102)には「原爆被爆時の胎齢が8~15週の場合、放射線感受性が高く、子宮内での線量が0.1Gyから0.2Gyの間にしきい値があるように見えます」との記述があります。選択肢も100~200mGyという書き方になっているのも、p102の文章から作成しているためではないのかと邪推しているのですがいかがでしょう?

確かに・・・・(^_^;)

A先生、Kit先生ありがとうございます!!!

 

13,

正解:a

医療被ばくの「正当化」と「最適化」についての問題。

「正当化」とは、放射線検査・治療により患者が得られる利益が、リスク(放射線障害、放射線被ばくの無い検査法への変更の可否)を上回る場合のみ放射線診療を行うこと。
「最適化」とは、放射線検査・治療の要求を満たす範囲内で、患者の被ばくをできる限り抑えること。

a 正当化
b~e 最適化

 

14,

正解:c

Archiving and Communicationなので画像生成は不要です。

 

15,

正解:e

マンモグラフィは5メガピクセル以上のモニターが推奨です。過去問でもよく問われています。なお、読影時は手元の操作に支障のない程度に暗くする、モニターは2面使用、フィルムの方がモニターより濃度分解能が優れている点などがポイントです。
胸部X線撮影は1メガピクセル以上が推奨です。

(参考:マンモグラフィガイドライン、2018レジデントセミナー)

診断(16-70)

16,

正解:d

頭蓋内の生理的石灰化は、淡蒼球、脈絡叢、松果体、小脳歯状核、手綱交連、錐体床突起靭帯などに認める。下垂体では腫瘍性病変に石灰化を伴うことはあるが、生理的石灰化は通常認めない。

 

17,

正解:c

くも膜嚢胞は拡散制限が弱く、ADCmapでは明瞭な高信号を呈します。

 

18,

正解:e

<下垂体後葉の高信号が消失する>=<尿崩症を合併>しやすい腫瘍を選択するということです。尿崩症の鑑別診断としてgerminoma、リンパ球性下垂体炎、Tb・サルコイドーシス などの肉芽腫性疾患、LCHなどが挙がります。(参考:よくわかる脳MRI第3版p159)

19,

正解:b,c

a ×視神経は視神経管を通る。上眼窩裂には眼神経、動眼神経、滑車神経、外転神経が通る。
b
c
d ×Meckel腔には三叉神経本幹が通り、この腔内で神経節を形成し3本に分枝する。
e ×正円孔には上顎神経(Ⅴ2)が通る。三叉神経第1枝(Ⅴ1)は眼神経。上眼窩裂を通る。

 

20,

正解:e

SEGAはMonro孔周囲に好発します。WHO grade Ⅰの良性腫瘍ですが、TSCを背景に発生し、閉塞性水頭症の原因となります。mTOR阻害薬が有効なようです。 

 

21,

正解:e

視神経脊髄炎(NMO)の診断基準は以下の通り

  • 視神経炎
  • 急性脊髄炎
  • 補助的診断(以下の3つの項目のうち2つ以上を満たす)
  1. 3椎体レベル以上にわたって連続的にほろがる脊髄病変
  2. 脳MRI所見が多発性硬化症の診断基準を満たさない
  3. 抗アクアポリン4抗体陽性

以上から、b,eがNMOの特徴となるが、多発性硬化症(MS)でも視神経病変は生じる。ただし、NMOは両側性、MSは一側性が多い。(参考:神経内科疾患の画像診断第2版p462,472)

 

22,

正解:d

神経線維腫症1型(NF1)には、脊髄星細胞腫、視神経膠腫、脊髄星細胞腫、過誤腫様病変などが合併する。
神経線維腫症2型(NF2)には、聴神経腫瘍、髄膜種、上衣腫などが合併する。

a
b
c
d NF2で両側聴神経腫瘍はほぼ必発。
e

 

23,

正解:e

筋円錐内の腫瘤としては海綿状血管奇形(血管腫)が最多です。中年女性に好発し、妊娠により増大すると言われています。

メディカル・サイエンスインターナショナル社 頭頸部のCT・MRI 第3版 p75より

 

24,

正解:d

弛緩部型真珠腫 VS 緊張部型真珠腫 で対比して覚えるとよいと思います。頻出です。
弛緩部型真珠腫は真珠腫の中で最も頻度が高く、鼓膜弛緩部である、Prussak腔に発生する。Scutumの鈍化や耳小骨の破壊が高頻度に見られ、耳小骨は内側に偏位する。真珠腫は上方に進展していくのが特徴。
逆に、緊張部型真珠腫は顔面神経陥凹部近傍が好発部位である。(参考:まるわかり頭頚部領域の画像診断p52-56)

 

25,

正解:b

外脛骨とは、舟状骨の内側にできる副骨のこと。足の副骨は特に②~④の頻度が高く、知っておく価値があると思われる。

 a os intermetatarseum
b 外脛骨(os tibial externum)。後脛骨筋腱を障害する。
c 三角骨(os trigonum)。足の副骨で最も多く、長母趾屈筋腱を障害する。
d os peroneum。長腓骨筋腱を障害する。
e os vasalianum

 

26,

正解:b

ALLの50%程度にみられ、治療後には硬化性変化となることもあります。TORCHや神経芽腫転移のほか、正常変異のこともあるようです。Radiopaediaにはricketsの記載もありましたが、どちらかといえばVit.D-resistant ricketsよりはdependentのものでみられる?
よくわかりませんでした。。。

http://learningradiology.com/notes/bonenotes/lucentmetaphyselbands.htm
https://radiopaedia.org/articles/lucent-transverse-metaphyseal-lines-mnemonic

 

27,

正解:e

脱臼骨折はきわめて不安定性が高く、重篤な脊髄損傷を合併しやすいです。
歯突起骨折は上位頸椎骨折の中で最多です。高齢者の頻度が高く、これは変形性変化の強い椎体では歯突起にかかる力が強くなるためと考えられます。
Hangman骨折は軸椎関節突起間部での骨折です。典型的には両側対称性に生じます。
Jefferson骨折は環椎の破裂骨折のことです。
(参考:画像診断2017年9月号 脊椎の画像診断再入門)

頸椎横突起骨折ですが、頸椎横突起には横突孔があり、椎骨動脈が走行している。骨折により血管損傷はきたしやすそうです。

 

28,

正解:c,d

前十字靭帯損傷で膝関節が不安定になることにより、大腿骨と脛骨がどの部分でぶつかるかを考える。前十字靭帯は脛骨が前方へ偏位することを防いでいるので、脛骨後面が大腿骨にぶつかるようなイメージになる。大腿骨は下面で挫傷を来す。

 

29,

正解:c,d

Ewing肉腫は組織起源不明の未熟なsmall round cellにより構成される高悪性度肉腫です。境界不明瞭な溶骨性腫瘤で、皮質骨の形状を保ったまま速やかに浸透性骨外進展するのが特徴です。
単純X線ではonion peel apperanceが有名ですが、骨外成分が接触する皮質を陥凹させることがあり、saucerizationなどと言われています。 

 

30,

正解:e

<T2*WIが診断に有用な疾患=出血・ヘモジデリン沈着を高頻度に認める腫瘍>の鑑別です。軟部腫瘍ですと、

  • 色素性柔毛結節性滑膜炎
  • 滑膜血管腫
  • 血友病性関節症
  • 腱鞘巨細胞腫
  • 血腫

などが挙がります。(参考:骨、軟部腫瘍の鑑別診断ポイントp188-193)

 

31,

正解:e

DPBは小葉中心性粒状影やtree in budを呈します。

 

32,

正解:

再膨張性肺水腫(REPE)は、気胸の脱気や大量の胸水ドレナージなどにより肺が急に膨張した際に発症します。通常は患側に片側性に発症します。著明な低酸素血症やhypovolemic shockになることもあり、注意を要します。

 

33,

正解:b,c

肺病変の分布は高頻出です。画像診断まとめにまとまっています。覚える必要があります。
Septic embolizationは末梢・下肺野優位の分布を呈します。(参考:胸部X線写真の読み方第2版p310)

 

34,

正解:

a周囲の衛星病変
b倍加時間30日未満
c壁が薄い空洞性結節
dポップコーン状石灰化
e造影前後の増強効果15HU以上〇

造影効果の良い結節はより悪性らしい、は頻出。
aは感染、bは炎症、cは感染やリンパ増殖性疾患、dは過誤腫らしい所見。
悪性らしいのは、倍加時間がより長い、あるいは壁がより厚い、など。

 

35,

正解:b,d 

 UICC第8版では、M1aは対側肺葉の副腫瘍結節、胸膜または心膜の結節、悪性胸水、悪性心嚢水を伴う腫瘍と定義されています。

 

36,

正解:b

閉塞性細気管支炎(BO)の原因疾患も過去にも問われたことがあり、覚える必要があります。
感染、薬剤、移植、膠原病、有毒ガス吸収や有機塵の吸入、喫煙などが原因となります。(参考:胸部CT第4版p666)

 

37,

正解:a

a蜂巣肺×
b肺容積減少〇
c下肺野優位の分布〇
d牽引性気管支拡張〇
e気管支周囲に広がるすリガラス影〇

NSIPのCT所見は、下肺野優位、胸膜直下のspare、気管支血管束周囲の分布、GGO、網状影、気管支拡張、肺容積現象、時相が均一、稀な蜂巣肺。おそらくUIP patternとの鑑別点を問いたい問題と思われ、UIPらしい所見である蜂巣肺が正解でよいと思われる。NSIPが進行して蜂巣肺と区別が難しいことは経験されるが、それは蜂巣肺ではなく気管支拡張と末梢の嚢胞状変化であり、UIPにのみ蜂巣肺という言葉を使うべきだ、という考え方でしょうか。

(最近のガイドラインでNSIPは慢性間質性肺炎にのみ使ってよい言葉となっており、もし気管支周囲に広がるすリガラス影がいわゆるcelluler NSIPの細胞浸潤のことを示していて、c-NSIPはガイドラインからなくなった言葉という意図の問題ならeが正解の可能性はありますが、fibrosing NSIPで気管支血管束周囲に見られる細かな網状影はGGOと表現されることが多いので、c-NSIPでもf-NSIPでもGGOが見られるという考えが妥当と思います。)

(ミッドウィンター2019)

38,

正解:

 胸腺癌の中でも、扁平上皮癌は豊富な膠原線維を反映してT2WIで低信号となります。bの胸腺嚢胞も出血を伴いやすくT1WIで高信号を呈することがありますが、T2WIではCSFよりやや低い程度の高信号です。

https://trc-rad.jp/case/243/s2/s2_3.html
https://radiopaedia.org/articles/thymic-cyst

 

39,

正解:

問33と併せてこちらも肺病変の分布の問題です。過去問通りです。

 

40,

正解:d

冠動脈はCT値300-400HU、SD20-25であるのが適切とされています。冠動脈CTでは肝臓などはかなり汚いですよね。

臨床心臓CT学p79より

 

41 ,

正解:

ロプレソールの添付文書では、異形狭心症は慎重投与となっています。ちなみにコアベータの方にはこの記載はありません。

http://www.info.pmda.go.jp/go/pack/2149010F1033_3_02/

 

42 ,

正解:

炎症性大動脈瘤は新規問題と思われます。

主に腎動脈下腹部大動脈にみられます。動脈壁の線維性肥厚が強く、組織学的に瘤壁に高度のリンパ球や形質細胞浸潤を伴う強い炎症がみられます。造影CT平衡相ではmantle signと呼ばれる3層構造が認められます。炎症性大動脈瘤患者の半数ほどはIgG4関連との報告もあります。(参考:心臓・血管疾患の画像診断p226,7)

43 ,

正解:

a粗大石灰化〇
b点状石灰化
c低吸収(50HU未満)
dナプキンリング・サイン
eポジティブリモデリング

不安定プラークは㈰脂質が多い、㈪spotty calcification、㈫血管内腔の径は保たれつつ、血管の外径が拡大しながらプラークが大きくなる。ナプキンリングサインは血管内腔の造影効果が保たれながら、まるでナプキンが覆うように血栓がある所見、ポジティブリモデリングはプラークの形成に伴って血管の外径が大きくなっていくこと。石灰化のあるプラークは、石灰化がdenseなほど安定している(すべて石灰化していたらruptureしようがない)。

(ミッドサマーセミナー2017)

 

44 ,

正解:

2017年問43の焼き直しです。
dilatation and beadingはPTTMでみられる所見です。

 

45 ,

正解:a,

カテゴリー2は良性と診断できる所見である。
粗大石灰化や明らかに脂肪を含む腫瘤、びまん性・領域性の微小円形・淡く不明瞭な石灰化、石灰乳石灰化、中心透亮性石灰化などである。(参考:マンモグラフィガイドライン)

 

46 ,

正解:

a対策型検診×
b乳癌の術式決定〇
c対側乳癌の検出〇
d乳腺病変の質的診断〇
e術前化学療法後の治療効果判定〇

ラジエーションハウスで主人公が「日本はデンスブレストが多い。マンモだけで見つけられない癌がある。しかし技量に左右されるUSや検査料が高額なMRIを検診として普及させるのにはまだ難しい現状がある」と言っていたなと思ってaを選びました。

「乳がん発症ハイリスクグループに対する乳房MRIスクリーニングに関するガイドライン」では、「乳がんのスクリーニングに乳房MRI検査を行うのは乳がん罹患のハイリスクグループに限られるため、任意型検診として行われる。乳房MRI検査を対策型検診として用いることは推奨されない。」とあります。ドックのような任意型検診とは違って、対策型検診は集団に対するスクリーニングなので、時間もお金もかかるMRIは非現実的です。ここでいうハイリスクグループはおおまかに、BRCA陽性または遺伝性の乳癌の可能性、のようです。

対側乳癌の検出はMMGやUSでも可能ではといわれると困るのですが、既知の乳癌に対し乳腺造影MRlを撮像した場合に対側も丁寧に読影するべき、というメッセージと思います。

(http://www.jabcs.jp/images/mri_guideline_fix.pdf)

 

47 ,

正解:

葉状腫瘍は腫瘤を形成し、しばしば巨大になります。
悪性リンパ腫は腫瘤状が多いですが、non-mass enahencementを呈することもあるようです。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4622389/

 

48 ,

正解:

被虐待児症候群については高頻出問題です。
虐待との関連が強い骨折は以下が挙がります。

特異性が高い(乳児において)

  • 骨幹端骨折
  • 肋骨骨折(特に肋骨後部の骨折)
  • 肩甲骨骨折
  • 棘突起骨折
  • 胸骨骨折

中程度の特異性

  • 多発性骨折、特に両側性
  • 受傷時期の異なる骨折
  • 骨端離開
  • 椎体骨折、脱臼
  • 手指の骨折
  • 複雑な頭蓋骨折

頻度は高いが特異性の低いもの

  • 骨膜下骨新生
  • 鎖骨骨折
  • 長管骨骨幹部骨折
  • 頭蓋骨線状骨折

 なお、頻出のひっかけ問題は脛骨遠位のらせん状骨折(よちよち歩き骨折)です。

 

49 ,

正解:c

咽後膿瘍は川崎病との鑑別を要する疾患であり、川崎病によっては生じません。

 

50 ,

正解:e

LCHの肺病変は上葉優位なことは頻出です。扁平椎(Calveの扁平椎、vertebra plana)や頭蓋骨の変化(punched out lesion、beveled edge apperance)もよく問われています。

floating toothは初見でしたが、Radiopaediaに記載あり。https://radiopaedia.org/articles/langerhans-cell-histiocytosis-skeletal-manifestations-1

胸腺に浸潤した場合、石灰化を来すようです。

 

51 ,

正解:

Gd-EOB-DTPAは細胞膜トランスポーターにより肝細胞に取り込まれる肝細胞特異性の造影剤である。投与量の約半分が肝細胞に取り込まれ、短銃系から排泄される特徴を持ちます。T1強調系の陽性造影剤であるため、脂肪抑制併用T1強調像のダイナミック検査による血流診断と投与後15~20分後の幹細胞相を併せた診断が可能です。Gd製剤であるため、腎性全身性線維症のリスクはあります。

なお、商品名はEOB・プリモビスト、一般名はガドキセト酸ナトリウムです。

Kupper細胞の機能を反映するのはSPIOです。(参考:腹部のCT第3版p54)

52 ,

正解:b

a糖原病
b急性肝炎〇
cアミオダロン肝
d鉄剤投与中の貧血
eヘモクロマトーシス
 炎症は水っぽくなるので低吸収。
dは血管内が低吸収なので相対的に高吸収、または鉄の投与でヘモジデローシス 

 

53 ,

正解:

後期動脈相はHCC dynamicの1st phase(double arterial phaseは2nd phase)で撮像しますが、門脈は染まっています。腎静脈も比較的血液の還流がはやいので、造影されています。この中で一番遅く染まるのは肝静脈です。

 

54,

正解:d,e

急性肝炎のCT所見ですが、肝腫大、胆嚢壁の浮腫状壁肥厚、胆嚢内虚脱、門脈周囲低吸収域(periportal collar sign)などが認められることがあります。(参考:腹部CT第3版p227-30)

 

55 ,

正解:e

肝表の陥凹は肝転移でみられる癌臍や肝内胆管癌、混合型肝癌が代表的です。その他、まれな腫瘍ですが、EHEでは7割程度で陥凹がみられます。

Key所見からよむ肝胆膵脾の画像診断 肝臓編 p50-1より

 

56 ,

正解:d

MCNは中年女性の膵体尾部に好発します。
主膵管拡張はIPMN、星芒状石灰化はSCNです。

 

57,

正解:c

自己免疫性膵炎のCT所見ですが、膵腫大、病変部表面は膵臓の凹凸が消失(sausage-like appearance)、均一な造影効果、平衡相で濃染する被膜様構造(capsule-like rim)、主膵管拡張は少ない(ERCPでは全長にわたる不整な狭窄像)が挙げられます。 頻出問題です。(参考:腹部CT第3版p445-7)

 

58 ,

正解:a,c

a左胃動脈〇
b腹腔動脈
c固有肝動脈〇
d胃大網動脈
e上腸間膜動脈

小網は肝胃間膜や肝十二指腸間膜からなり、そのあたりを通る動脈を選ぶことになる。左胃動脈ー右胃動脈、左副肝動脈ー左肝動脈が小網を介して吻合しやすいので、小網出血のIVRの時は左胃動脈と固有肝動脈(右胃動脈が起始しやすい)を丁寧にstudyしましょうという意図の問題? ほかにSMAから起始する右副肝動脈や背側膵動脈から起始する肝臓を栄養する枝も小網を通りそうなので、腹腔動脈も脾動脈もSMAも丁寧にstudyしたらいいと思います。

(日獨医報 2006:51(2))

 

59,

正解:

メジカルビュー社 読影の手立てとなる局所解剖と画像診断 p179に以下の記載あり。
「Treitz靭帯自体はCT・MRIでは認識できないが、付着部の十二指腸ー空腸移行部は下腸間膜静脈をランドマークとすることで同定可能である。」

 2017年問56に関連した問題あり。

 

60 ,

正解:c

エコーのサインは頻出です。

Comet sign 胆嚢ポリープ
Sandwich sign 腸間膜リンパ節腫大
Keyboard sign 小腸閉塞
Chameleon sign 肝血管腫
Parallel channel sign 肝内胆管拡張

(参考:2018レジデントセミナー)

 

61 ,

正解:a

腎血管筋脂肪腫のことと思われる。腎血管筋脂肪腫は結節性硬化症に合併する。

a
b
c
d 腎細胞癌を合併する。
e

 

62 ,

正解:c,

嚢胞性腎腫瘤のカテゴリ分類です。Category Ⅰは単純性嚢胞、Category Ⅳはほぼ悪性です。詳しくはまとめにて。

 

63,

正解:

<MRIのopposed phaseで信号低下をきたす腫瘤=微量の脂肪成分を含んでいる腫瘤>であるので、微量な脂肪の含有が診断に直結する副腎腺腫が答えとなります。単純CTでの腫瘤のCT値が10HU未満であることも微量の脂肪成分を含んでいると判断でき、副腎腺腫の特徴です。(参考:腹部CT第3版p445-7)

 

64 ,

正解:c

前立腺の解剖の問題は比較的よく出る。

a
b
c ×前立腺の中で、前線維筋間質と尿道は非腺組織である。
d
e 〇精阜とは精丘のこと。

 

65 ,

正解:c,

尿膜管癌は全膀胱腫瘍の0.5%以下と稀な腫瘍ですが、その90%程度は腺癌で膀胱由来の腺癌の1/3を占めています。90%程度が膀胱頂部近傍(尿膜管膀胱移行部)に発生し、ムチン産生腺癌はT2WIで高信号で50-70%に石灰化を伴います。
予後は通常の膀胱癌より不良です。

秀潤社 知っておきたい泌尿器のCT・MRI第2版 p308-9より

 

66,

正解:

  • Central fibrous core 子宮内膜ポリープ
  • 卵巣未分化胚細胞腫 fibrovascular septa
  • Cosmos sign 分葉状経管腺過形成
  • Fat-fruid level 卵巣成熟嚢胞性奇形腫 他のサインとしてchemical shift artifactやhair ballやpalm tree like protrusionやfloating fat ball signなどがあります。
  • Follicle preserving sign 卵巣悪性リンパ腫や卵巣広汎性浮腫、卵巣の良性腫瘍・境界悪性腫瘍などでも見られる。
  • Kissing ovary 骨盤子宮内膜症 他のサインとしてMushroom cap signやsolid endometriosisなどがあります。

(参考:画像診断2017年8月号サインから読み解く婦人科画像診断)

 

67 ,

正解:a,c

出血、高蛋白、高ヨード(甲状腺組織)などを考える。

 

68 ,

正解:b,e 

瘤やAVMにはコイルが選択されます。

 

69,

正解:a,d 

新問と思われます。
ジェルパートとディーシービーズは肝細胞癌にのみ適応があります。
エンボスフィアは多血性腫瘍とAVMに適応があります。
ヘパスフィアは多血性腫瘍(子宮筋腫除く)とAVMに適応があります。
セレスキューは脳、脊髄を栄養する動脈、冠動脈以外の動脈性出血に対して適応があります。

(参考:それぞれの添付文書)

 

70,

正解:a,b

IVRで患者被ばくを減らすには、「拡大を避ける」「照射野を絞る」「検出器を患者に近づける」「線源を患者から遠ざける」「frame rate(1秒間に撮影する枚数)を下げる」。

核医学(71-85)

71,

正解:

偶発同時計数はPET特有の現象です。なお、問題文では「係数」となっており変換ミスと思われます。

 

72,

正解:

PET検査で使用される核種は全てβ+壊変を生じ、β+壊変によって出現する消滅放射線を計測しています。消滅放射線は511keVのγ線2本が互いに反対方向に生じます。(参考:わかりやすい核医学p2.3)

 

73,

正解:d

疾患と使用する薬剤の組み合わせはどれも正しいが、d以外は全て陰性描画(正常組織と比べて集積が乏しい)である。

 

74 ,

正解:

脳血流シンチのうち、99mTc製剤は脳への集積がはやく、5-10分後の撮像が可能です。一方、IMPは一度肺に集積してから緩徐に放出されるため、撮像は20分後となっています。

 

75 ,

正解:

脳灌流圧が低下すると脳血流量を維持するために、脳血管症の拡張(脳血液量の上昇)がまず生じます。さらに脳灌流圧が低下すると脳血流量は低下していきますが酸素摂取率が増加して酸素消費量を保とうとします。しかし、さらに脳灌流圧が低下すると、不可逆的変化が生じ、器質的障害が生じます。この変化を図にしたのがPowers分類です。(参考:わかりやすい核医学p34-6)

Powers分類:https://www.e-radfan.com/toshiba/63335/

 

76 ,

正解:c

Alzheimer病とLewy小体型認知症を核医学検査で鑑別する方法についての問題。

a 〇解説はeにまとめる。
b
c ×進行性核上麻痺では正常所見となる。
d 〇これがAlzheimer病との鑑別になる。Alzheimer病では正常像となる。
e Lewy小体型認知症ではこれに加えて後方系でも血流低下を来すとされるが、大抵は似たような像を呈するため鑑別が難しい。そこで選択肢dに出た123I-ioflupaneが有用となる。

 

77 ,

正解:e

Tl製剤は運動負荷後すぐに再分布が始まってしまうため、負荷終了後5-10分後から撮像する必要があります。
心筋停留性はTc製剤がよく、γ線のエネルギーも高いため画質も良好です。初回循環抽出率はTl製剤が約88%と良好です。

https://www.nmp.co.jp/member/heartpm/kakuigaku/spect_form.html

 

78 ,

正解:a

123I-MIBGによる心筋シンチグラフィでは、早期像と後期像の心/縦隔比および洗い出し率で心臓交換神経機能を評価します。
201TlClとの2核種同時収集ですが、実際に行うかどうかは不明ですが、それぞれの核種が放出する光子エネルギーが異なることから可能であると考えます。(123I:159keV , 201Tl:70.3、135 keVなど)
(参考:わかりやすい核医学p10)

 

79 ,

正解:d

「わかりやすい核医学(文光堂)」のp197~を参照。

a
b
c
d ×反回神経麻痺があると患側の集積が低下し、健側が相対的に健側で集積亢進があるように見える。
e

 

80 ,

正解:e

ソマトスタチン受容体シンチは111In-Pentetreotide(オクトレオスキャン®)によるSPECTシンチと68Ga‐DOTATATE、DOTATOCなどのPETシンチに大別されます。精度はPETの方が高いですが、標準的にはオクトレオスキャンが用いられています。

オクトレオスキャンは投与後、4時間、24時間後に撮像され、NET G1やG2の方がG3、NECより高集積になります。逆にKi-67が高発現のものについてはFDG-PET/CTが有用です。

ソマトスタチン受容体に結合するため、肺カルチノイドなどにも集積します。

集積の度合により、治療効果や副作用の腎障害の予測ができます。

 

81,

正解:d

褐色細胞腫は123I-MIBGによる副腎髄質シンチグラフィで診断します。
131I-adosterolは副腎皮質シンチグラフィで使用され、Cushing症候群や原発性アルドステロン症などの診断に有用です。(参考:わかりやすい核医学p120-2)

 

82 ,

正解:c,e

a ?肝肺症候群の骨シンチ像について言及した文献を見つけられませんでした。
b 溶骨性病変で集積を認めないことが多く、むしろ低下することもある。また、左右対称とは限らない。
c 〇全身骨の外骨膜性肥厚(=骨シンチで全身性の左右対称性の集積増加)、頭皮の脳回様肥厚、太鼓バチ指を来す常染色体優性遺伝疾患。
d 甲状腺機能「亢進症」であれば、全身骨の描出亢進を来す(super bone scan)。
e 〇全身骨の描出が亢進し、特に頭蓋骨、上顎骨、下顎骨で著明となる。

 

83 ,

正解:b,d

肺血流シンチは肺高血圧のうち、PAHとCTEPHの鑑別に有用です。前者では正常あるいはmottled patternを呈するのに対し、後者では多発性楔状欠損を呈します。PEの経過観察(Chronic PTE/CTEPH)にも有用です。 

 

84 ,

正解:

フロセミド負荷試験では閉塞性尿路疾患の診断と分腎機能評価に利用されます。
腎盂尿管移行部狭窄の手術適応に利用されているようです。
腎血管性高血圧はカプトプリル負荷試験によって診断や治療適応を決定します。

(参考:明解!!必携泌尿器科診療の手引き : 泌尿器外科Vol.27特別号

 

85 ,

正解:b,c

甲状腺悪性腫瘍に対する放射性ヨウ素内用療法は、分化癌(=乳頭癌、濾胞癌)のみが適応となる。

治療(86-105)

86 ,

正解:e

  • a→下痢を発症する時期は不明
  • b→2~3週間後に脱毛が生じる
  • c→照射後1~2ヶ月後に放射線肺炎が生じる(臨床症状を呈するのは20~30%)
  • d→照射開始後2~3週間後に口腔内粘膜炎が生じる
  • e→照射開始後1週間程度から耳下腺腫張が生じる
    (参考 がん・放射線療法2017)

 

87 ,

正解:b,d

  1. 小児腫瘍も取り扱いあります。
  2. 予後因子グリッドという項目が各疾患にあります。
  3. T×(ばつ)という表記です。

d.ダウンステージングです。治療の機会を奪わないようにという精神です。
e.診断時のものを使い続けます。stage4で手術不能症例が、化学療法がきいて、その後、手術が可能になったような場合でも、stage4はそのままです。

 

88 ,

正解:b

低線量率照射(LDR)は小線源治療の分類の一つで0.4~2Gy/時と定義されている。(中線量率MDR:2~12Gy/時、高線量率HDR:12Gy/時以上)。226Ra、198Au、125Iなどが代表的。137Csや192IrもMDRやHDRだけでなく使用方法によてはLDRとしての臨床適応も承認されている。

a.子宮頚癌などの高線量率ブラキセラピーに使用される。高線量率小線源治療の一種。
b.前立腺癌の密封小線源療法(SEED)に用いられる。
c.小さな腫瘍に対して高エネルギー放射線を用いる。小線源治療ではない。
d.中性子照射にホウ素元素を付加した化合物を用いて、腫瘍への線量集中性が高い放射線治療を行う方法。小線源治療ではない。
e.小線源治療ではない。(IMRTの定義については放射線治療ガイドライン参照)

 

89 ,

正解:e

a  IMRTInverse planning(後ろ向き治療計画)です。
Forward planning ─ 従来の通常照射。ビームの設計をして出来たプランの結果をみては、ビームを調整するという手法。
Inverse planning IMRTは、出来上がってほしプランのゴールをパラメータとして設定(ターゲットやOAR(照射したくない臓器)の線量)し、そのゴールに向かいコンピュータに逆光的にビームの出し方を計画してもらうもの。

b コブランナー(同一平面)もノンコプランナー(非同一平面)も両方あります。

c e 保険的には強度変調した3門以上の照射でIMRTとなります。位置精度が問われるのは定位照射です。(頭部2㎜、体幹部5㎜)

d IMRTCTMRIでの位置合わせが多いかと。

 

90 ,

正解:

2019年8月時点ではIMRTと三次元原体照射の予後の有意差が証明された文献は存在しないが、前立腺癌の治療においてはIMRTと三次元原体照射で同じ線量を用いた場合はIMRTの方がリスク臓器の線量を下げることができ、予後に差はないと言うことが証明されている。この文献を元に現在では前立腺癌に対してIMRTでは三次元原体照射よりも高線量が処方されているため、予後の改善が見込まれている。

 

91 ,

正解:a

胃や大腸など蠕動運動があり、サイズの変化もある臓器は、固定制度、照射範囲の設定の問題、穿孔のリスクもあり適応外と考えられます。
通常X線で治療効果の乏しい、骨軟部の肉腫や、頭頸部のACCや悪性黒色腫は適応です。

保険適応
20164月 骨軟部がん(切除非適応の骨軟部腫瘍)
20184月 前立腺がんと頭頸部がん(口腔・咽喉頭の扁平上皮がんを除く)

 

92 ,

正解:

通常、奇形腫は乳幼児での発症が多く、その中の多くは先天性脳腫瘍であり成熟奇形腫のため、外科的切除が第一選択となり放射線治療の適応とならない。

 

93 ,

正解:d

a b 上咽頭がんは、頭蓋底に病変が近接しており、手術は困難なことがほとんどです。化学放射線療法が根治の手段であり、リンパ節転移の頻度も多いことから、予防領域も広いです。レベルⅡ、Ⅲ、ⅣaVa-b、Ⅶa、Ⅶb、Ⅳb、Ⅴ(レベルⅡに浸潤がある場合はⅠb含)
c 予防領域は両側LEVELⅡ、Ⅲ、Ⅶa + リンパ節陽性の場合 LVELⅣ-Ⅴc ,Ⅶb
d 喉頭癌のT2の照射野は5x5cmの照射野です。予防域の設定はしません。(予防領域リンパ節照射は行いません)
e予防域として推奨されます。

2020年7月28日追記

解答としてはdの喉頭癌が正しいと思いますが、5㎝×5㎝の照射野となるのは声門癌T1/T2(T2の場合は浸潤方向により多少照射野の拡大有)N0M0の場合です。喉頭蓋癌は声門上癌に分類されるのでリンパ流があり、予防領域を含める必要があります。ただ、その予防領域は喉頭蓋癌T2N0M0の場合、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳaと上・中・下内深頸領域までなので鎖骨上窩(Ⅳb、Vc)は含まれないということだと思います。

Kit先生補足ありがとうございます!

 

お世話になっております。
93番ですが、2019年のレジデントセミナーでは、上咽頭癌N0では鎖骨上窩リンパ節の照射は省略可(レジュメの記述を見ると、明らかにこの設問を意識した解説だと思われます)との記載があります。
声門癌以外の喉頭癌はリンパ節照射を行うことを考慮すると、aが正答だと思います。
(喉頭癌は一律にリンパ節照射が省略可能というわけではない、上咽頭癌は通常鎖骨上窩まで照射するがN0は例外、という二重の引っ掛けになっている難問だと思います)

93番についてです。
がん・放射線治療2017の684ページの記載です。
「(上咽頭癌のリンパ節のCTV領域の記載箇所)例えばN0症例であれば、転移頻度に即してレベルⅡ、Ⅲ、Va、VIIaを”高リスクCTVprophylactic”として、より下流のレベルのⅣa、Vb、Ib、鎖骨上窩(IVb、Vc)を”低リスクCTVprophylactic”として照射線量を設定する。」
私の施設でも上咽頭癌の症例はN0であっても鎖骨上窩は全例含めて照射しています。(IMRTで原発66Gy、咽頭後・Ⅱ,Ⅲ,Ⅳaに60Gy、鎖骨上窩・1bに54Gyなどと設定しています)
わたさんが指摘されているレジデントセミナーの資料をもっていないのでどのような意図でそのように記載されているのかわからなのですが、私としては以前のコメントと合わせてdでいいのではないかと考えています。

専門医のラインオープンチャットでのやりとりからです。

International guideline for the delineation of the clinical target volumes (CTV) for nasopharyngeal carcinoma

2018年の論文で国際的には答えはaとなるようです。

ただし放射線治療ガイドラインには記載がない。

ガイドラインを優先するならばdを正解として、「将来的にa・bが正解になる(上咽頭でも鎖骨上を省略するのがスタンダードになる)可能性がある」(J先生)

と解釈するのがよいかと思われます。

コメントいただいた先生方、オープンチャットでやりとりいただいた先生方ありがとうございました!!

 

94 ,

正解:

a.フルオロウラシル。5ーFUは商品名。食道癌においてシスプラチンとの併用で化学放射線治療を行う。
b.商品名ゼローダ。乳癌、大腸癌(結腸癌、直腸癌)、胃癌に用いられる。直腸癌の補助化学療法として放射線治療と併用することがある。
c.商品名アービタックス。頭頚部癌などにおいて放射線治療と併用される。
d.大腸癌で放射線治療科と併用される。
e.膵癌などで放射線治療と併用される。

 

95 ,

正解:d

a 高くはないです。
b 定位放射線治療の適応はありません。
 SRTの適応:転移性脳腫瘍などの頭蓋内腫瘍、原発性肺癌、転移性肺腫瘍、肝腫瘍など
c  induction chemoradiationを施行する事もありますが、標準治療ではありません。
d  GEMTS-1です。
e 術中照射(開腹したまま放射線治療室に患者さんを搬入し、ツーブスを開腹して露出した膵臓領域に照射するもの)が施行されていた時期もありましたが、委細な検討の結果、生存率に有意差はなく、近年は行われないことが多いです。

2020年5月7日追記

2020年4月から定位照射の適応が拡大されたためコメント残しておきます。
今までの適応に加え、膵癌N0M0、直径5cm以下の脊椎meta、5個以下のオリゴmetaにも適応が広がりました。
さすがに今年の試験に出るとは思いませんが、、、
https://www.nmp.co.jp/sites/default/files/member/shinryo/2020/tensu/pdf/chapter2-12/2-12-5.pdf

やまだたろう先生ありがとうございます!!!

 

96,

正解:

加速過分割照射は限局型小細胞肺癌に用いられる。

 

97 ,

正解:a,e

この問題の出題意図はⅢ期なのがポイントだと思われます。なぜなら、切除不能Ⅲ期非小細胞肺がんは放射線治療に革命をもたらした分野だからです。これまで、CDDP以外のレジメンの臨床試験が大量に行われましたが、芳しい成績を残せなかった中、免疫チェックポイント阻害剤との併用が生命予後を改善し、それが標準治療と変わったトピックの分野です。

肺がんのステージングは以下の通りです。

Tis 上皮内がん、肺野に腫瘍がある場合は充実成分1の大きさが0cm、かつ病変の大きさ23cm以下
T1 充実成分の大きさが3cm以下、かつ肺または臓側胸膜におおわれ、葉気管支より中枢への浸潤が気管支鏡上認められない(すなわち主気管支に及んでいない)
T1mi 微少浸潤性腺がんで充実成分の大きさが0.5cm以下、かつ病変の大きさが3cm以下
T1a 充実成分の大きさが1cm以下で、TisT1miには相当しない
T1b 充実成分の大きさが1cmを超え2cm以下
T1c 充実成分の大きさが2cmを超え3cm以下
T2 充実成分の大きさが3cmを超え5cm以下
または、充実成分の大きさが3cm以下でも以下のいずれかであるもの・主気管支に及ぶが気管分岐部には及ばない
・臓側胸膜に浸潤がある
・肺門まで連続する部分的または片側全体の無気肺か閉塞性肺炎がある
T2a 充実成分の大きさが3cmを超え4cm以下
T2b 充実成分の大きさが4cmを超え5cm以下
T3 充実成分の大きさが5cmを超え7cm以下
または、充実成分の大きさが5cm以下でも以下のいずれかであるもの・臓側胸膜、胸壁、横隔神経、心膜のいずれかに直接浸潤がある
・同一の肺葉内で離れたところに腫瘍がある
T4 充実成分の大きさが7cmを超える
または、大きさを問わず横隔膜、縦隔、心臓、大血管、気管、反回神経、食道、椎体、気管分岐部への浸潤がある
または、同側の異なった肺葉内で離れたところに腫瘍がある

 

N0 所属リンパ節3への転移がない
N1 同側の気管支周囲かつ/または同側肺門、肺内リンパ節への転移で原発腫瘍の直接浸潤を含める
N2 同側縦隔かつ/または気管分岐下リンパ節への転移がある
N3 対側縦隔、対側肺門、同側あるいは対側の鎖骨の上あたりにあるリンパ節への転移がある
M0 遠隔転移がない
M1 遠隔転移がある
M1a 対側肺内の離れたところに腫瘍がある、胸膜または心膜への転移、悪性胸水4がある、悪性心嚢水(しんのうすい)5がある
M1b 肺以外の一臓器への単発遠隔転移がある
M1c 肺以外の一臓器または多臓器への多発遠隔転移がある

 

肺がんの病期分類

N0 N1 N2 N3 M1a M1b M1c
T1mi IA1
T1a IA1 IIB IIIA IIIB IVA IVA IVB
T1b IA2 IIB IIIA IIIB IVA IVA IVB
T1c IA3 IIB IIIA IIIB IVA IVA IVB
T2a IB IIB IIIA IIIB IVA IVA IVB
T2b IIA IIB IIIA IIIB IVA IVA IVB
T3 IIB IIIA IIIB IIIC IVA IVA IVB
T4 IIIA IIIA IIIB IIIC IVA IVA IVB

日本肺癌学会編「臨床・病理 肺癌取扱い規約 20171月(第8版)」(金原出版)より作成

 

98 ,

正解:

a.b.d.放射線治療の副作用が増強されることが予想されるため、乳房全摘を考慮する。
e.全乳房照射の体位がとれないため、乳房全摘を考慮する。

 

99 ,

正解:a,e

a 汗腺がダメージを受け、照射後年単位で皮膚乾燥があります。
b  DCISの局所制御率は向上します。
c 腋窩リンパ節領域を含めた照射野の設定は行いませんが、乳房接線照射では、腋窩は必然的に含まれ、皮膚炎なども腋窩部分に生じます。
d 左乳房の接線照射では、心臓が照射野に入ること、散乱線が心臓に入ることなどにより心疾患の晩期有害事象が生じ得ます
e DCISの照射は、局所制御率に寄与しますが、生存率には寄与しません。

 

100 ,

正解:d

2019年8月時点で放射線治療計画ガイドラインでは1回あたり6Gyで行うことが推奨されている。

 

101 ,

正解:b,d

a 骨転移に用いる静注薬です。内用療法。
c 甲状腺分化癌(乳頭がん、濾胞がん)内用療法。
e 去勢抵抗性前立腺癌に対する内用療法。ゾーフィゴです。

 

102,

正解:e

副作用の頻度は時期によってそれぞれ異なる。他の治療法(手術、外部放射線治療、ホルモン療法)と比較して小線源治療は勃起能の温存率は高いと言われている。(小線源治療後5年で70%程度)。無精子症は副作用として一般的ではない。 

 

103,

正解:a

a 手術加療では温存が難しい肛門を温存するための放射線治療です。成績が同程度ですので、放射線治療が用いられます。
b 肛門括約筋などが障害され、おこりえます。
c 含めます。照射野は広いです。
d
e

 

104 ,

正解:b,c 

a.放射線治療単独で行う。DLBCLの場合は事前にR-CHOP等の化学療法を行う。
b.正しい。毎回出来るだけ同じ条件(胃の大きさなど)になるように、空腹時に照射する。
c.正しい。位置決めCTの時点で吸気・呼気それぞれの撮影をする場合もある。
d.30Gy/15~20回/3~4週で行う。
e.CTVは胃全体(食道噴門接合部~十二指腸球部まで。胃周囲のリンパ節が腫大している場合はこれも含む。)

 

105 ,

正解:d

a b 骨転移―30Gy/10  8Gy/1回 20Gy/5回 など。除痛効果は変わりません。
c 止血目的の緩和照射です。
d 1回6Gyは多いかと思います。適応はあるかと思いますが、過線量は、逆に、浮腫などを生じ、気道狭窄を助長する可能性もあります。一般的ではないかと思います。
e 緩和線量にしてはやや多い印象ですが、50.4/28回なども行われます。大腸がんは肝転移の部を積極的に手術したりと、病変制御することが予後に寄与します。