2016年に実際に試験を受けられて合格されたO先生、M先生に解答作成を手伝っていただきました。ありがとうございました。
解答ここはこうじゃないかなどございましたら、一番下のコメント欄に記載いただければ幸いです。
基礎
1
正解 a
a 乳腺は浅いところに存在しているので2.5MHzは低く、より高周波のものを使います。7.5MHz~15MHz。
2
正解 b
b SN比はボクセル体積と比例します。マトリックス数が大きくなるとボクセル体積が小さくなるので、SN比は低下します。
3
正解 a
補足:a 管電圧は121-140keVが圧倒的に多い。141keV以上の高圧は胸部写真の画質との関係で好ましくなく使用されていない
4
正解 c
5
正解 c,e ?
頭頚部
6
正解 d
左側頭葉内側・島皮質にFLAIR像で異常な高信号及び浮腫あり。選択肢の中ではヘルペス脳炎が最も疑わしい。
7
正解 c
L1/2に(その上下にも?)後方から馬尾を前方へ圧排する血腫あり。硬膜外血腫を疑うが、横断像で血腫と馬尾の間に硬膜がはっきりしないような気も・・・・。bの可能性もありか。
8
正解 a
両側基底核及び島皮質に異常高信号あり。意識障害からも低血糖脳症を疑う所見。
9
正解 b
第3脳室周囲(視床内側)、中脳水道周囲に異常高信号あり。Wernicke 脳症を疑う所見。
10
正解 b
左の小脳橋角部にDWIにて高信号の腫瘤あり。類上皮腫(epidermoid)を疑う所見。
11
正解 a,d
T2WIにて低信号を呈する静脈奇形を疑う刷毛状の構造あり。またそのやや外側にはT2WIで低信号の被膜様構造を有し、内部はやや高信号の腫瘤あり。海綿状血管腫を疑う所見。
12
正解 c
上矢状静脈洞に低吸収のdefectあり。くも膜顆粒を疑う所見。
13
正解 a
鞍上部にdural tail signを呈し、均一に造影される腫瘤あり。髄膜腫を疑う所見。
14
正解 d
いわゆるルビエールリンパ節。該当部位はここ。
15
解答 c
c:T2WIでの腫瘤内部の線状、点状低信号をsalt and pepper appearanceと解釈する、ということだと思います。
16
正解 e
両側上顎洞術後。右上顎洞に嚢胞性病変の出現あり。術後上顎嚢胞を疑う所見。
整形外科
17
正解 a
第5中手骨に骨の膨隆あり。辺縁の硬化像を伴う分葉状の透亮像を認めており、内軟骨腫を疑う所見。
18
正解 a,d
右大腿骨頭軟骨下にT1強調像で低信号の骨折線あり。STIRでは頸部に異常高信号あり。一過性大腿骨頭萎縮症は軟骨下脆弱性骨折との関連が言われていますが、SLEあり、大腿骨頭壊死、軟骨下脆弱性骨折が疑われる。
19
正解 c
腓腹筋内側頭と半膜様筋腱の間にカンマ状の突起様構造を有する嚢胞性病変あり。Baker嚢胞を疑う所見。
20
正解 d
左の腓腹筋にT2WI及びSTIRでストライプ状の異常高信号あり。中心部は低信号を示す。造影にて周辺に造影効果あり。中心部には造影効果なし。筋サルコイドーシスを疑う所見。
21
右大腿骨頸部周囲にT2WIに置いて低信号域あり。T2*WIで信号低下ははっきりせず。eは除外。腎不全があることからもアミロイド関節症を疑う。
胸部
22
正解 c
前縦隔にin-oppossed phaseにて信号低下する腫瘤あり。胸腺過形成を疑う所見。
23
正解 b
左下葉に気腫性変化あり。中心部には大動脈から連続する血管構造あり。肺葉内肺分画症を疑う所見。
24
正解 b
両側上葉に小結節あり。大陰影あり。珪肺を疑う所見。
25
正解 e
両側中枢側に気管支壁の肥厚および拡張所見あり。アレルギー性気管支肺アスペルギルス症を疑う所見。
26
正解 d,e
いわゆるcrazy paving appearance。肺胞蛋白症(PAP)を疑う所見。PAPでは血性KL-6, LDH, CEAの上昇がみられることがある。
リン脂質により肺胞が満たされ、これがPAS染色陽性となる。
2020年8月16日追記
26についてです。 e の選択肢は抗 GM-CSF 抗体吸入療法ではなく、GM-CSF 吸入療法が取り入れられていると思われますが、、、どうなんでしょう。診断が違うにしても思いつかないですが、不適切問題でしょうか。
確かに、調べてみると抗 GM-CSF 抗体吸入療法ではなく、GM-CSF 吸入療法のようですね。
不適切なのかもしれません(^_^;)
関連:肺胞蛋白症の治療
27
右中葉及び下葉に小葉中心性の粒状影あり。細気管支炎を疑う所見。選択肢からは、副鼻腔気管支症候群(SBS)を疑う。
28
正解 c→e
左上葉に限局的な気腫性変化及び中心部に腫瘤あり。気管支閉鎖症を疑う所見。
28ですが、肺内型の気管支原性嚢胞がいいのではないかと思いました。
気管支閉鎖症の粘液栓は通常棍棒状ですし、液面形成を伴う嚢胞状構造の前に別に気管支が走行して見えます。
胸部の勘どころにほぼ同じ画が載っていました。
いかがでしょうか。
確かに・・・・。
気管支原性嚢胞
- 縦隔型(85%)および肺内型(15%)がある。
肺内型気管支原性嚢胞
- 67%で下葉に認める。
- 発見契機は感染を併発してのことが多い。
- 気管支と交通は時に認める。
- 画像の特徴としては、薄い壁で囲まれた嚢胞、嚢胞内の含気あり、液面形成。
参考文献:胸部画像診断の勘ドコロP300−301
rhythmology先生ありがとうございます!
29
正解 a
右上下葉に小葉中心性の粒状影あり。3ヶ月以上の微熱と咳という症状からもTbが疑われる。
30
正解 d
右下葉に2箇所結節影あり。ともに血管構造をなしている。40歳代で脳梗塞あり、肺動静脈奇形(瘻)を疑う所見。
31
正解 e
両側肺門部腫脹あり。サルコイドーシスを疑う。
ただし、側面像では、retrosternal spaceの濃度上昇あり?ということは胸腺腫もありうる?→年齢が合わないか。
32
正解 a
SAHで肺水腫所見あり。神経原性肺水腫を疑う所見。
関連記事)神経原性肺水腫→2013年放射線科診断専門医試験25
心血管
33
正解 e→a→b
2019/05/08追記
明日受験する者です。
2016年の33番ですが、通常のCT軸位断の向きの画像のようですので、写っているのは右冠動脈だと思います。aの右冠動脈中隔枝ではないでしょうか。
今年、試験を受けるものです。
一度質問されておりますが、気になったのですいません。
左冠動脈にしては、右側を通り過ぎではないでしょうか?
また、partial MIPなので、中隔を通ってる様に見えますが、実際は右冠動脈の4PDをみていると思うのですが、いかがでしょうか?
partial MIP作ってみました。
passは、2016-33です。
R先生、T先生ありがとうございました!!!
2019年7月9日追記:
33ですが、bの右冠動脈後下行枝ではないでしょうか。勉強不足で大変お恥ずかしいのですが、右冠動脈に中隔枝と定義された分枝はあるのでしょうか。
・・・・(;゚ロ゚)
てことは、bですかね。
NERU先生ありがとうございました!!
もうこの問題にこれ以上関わりたくな・・・・・。
34
正解 b,e
解離は上行大動脈に及んでおり、Stanford A型。また真腔からSMAは分岐している。
35
正解 e
大動脈弓部から下行大動脈にかけて3の字に似た像が認められ、3 signと呼ばれ大動脈縮窄症で認める所見。わかりにくいがrib notching。
36
正解 d
心臓MRIの遅延造影にて全内膜下に遅延造影を認めており、心アミロイドーシスや心臓移植後を疑う所見。
37
正解 a
左房に低吸収を呈する腫瘍性病変あり。左房粘液腫を疑う所見。
乳腺
38
正解 e
spiculaを有するカテゴリー5の腫瘤。
38番ですが、知り合いの乳腺外科の先生によると、男性、女性化乳房で、乳頭した以外はほとんど異常みたいです。
マンモのカテゴリーとしては、FADですが男性なのでカテゴリーを1つあげて4。
出血もあるし、癌ではないかという話でした。
T先生ありがとうございます!
39
正解 a
内側領域にポップコーン状の石灰化を有する腫瘤あり。線維腺腫を疑う。カテゴリー2で精密検査必要なしで診療を中止する。
40
正解 d
内部低エコーで後方エコーの増強を示す腫瘤あり。7ヶ月でサイズの著名な増大あり。葉状腫瘍を疑う所見。
腹部
41
正解 b
肝内胆管がUSにて無エコーとして認められ、造影CTでは内部に門脈枝が点状(central dot sign)および索状に描出されている。Caroli病を疑う所見。
42
正解 c
経鼻胃管が胃に到達せず、食道部位で反回している。食道盲端があると考えられる。胃や腸管にはガスを認めており、下部食道が気管と交通していることが示唆され、最多であるC型と
43
正解 d
MRCPにて狭窄と拡張が交互に繰り返す数珠状変化(beaded appearance)あり。潰瘍性大腸炎の既往がある点からも、PSCを疑う所見。
44
正解 a,d
45
正解 a,e
肝臓に動静脈奇形奇形あり。繰り返す鼻出血の既往からも、Rendu-Osler-Weber症候群を疑う所見。
46
正解 d
2房性の嚢胞あり、辺縁に造影効果あり。周囲の浮腫性変化が平衡相にかけてゆっくり染まっている。胆管空腸吻合後なので膿瘍が起こりやすい。
47
正解 b
肝臓にperiportal collarを認める。この所見を呈さないのは貧血。
48
2018/08/14追記
正解 d→cか。
MRCPで水と同程度の高信号を認めており、漿液性が疑われる。
内部隔壁構造(cyst in cyst)を有する膵嚢胞性病変と考えますと、MCNのように思いますがいかがでしょうか。
MRCPでは漿液性/粘液性の鑑別は難しいように思います。
49
正解 e
膵尾部に出血性嚢胞あり。SPNを疑う所見。
50
正解 d,e?→b,e
膵頭部にT1WI低信号、DWI高信号、早期濃染結節がある。典型的な膵癌の所見ではないが、肝内胆管〜総胆管拡張があることから膵癌は鑑別に入れたい。後はhypervascular tumorとしてNETを鑑別にいれる。Lymphomaの可能性もあると思うのだが。
50はgroove領域病変の鑑別がテーマではないでしょうか?
十二指腸癌の除外は内視鏡しないと難しいですよね。
NETにしては原発・転移巣ともに造影効果が弱い印象です。
悪性リンパ腫も肝の病変が合いません。
おっしゃるようにNETにしては正常膵と同程度の造影効果なので微妙ですね。
転移巣というのは肝S4でしょうか。これは局所的な脂肪肝と思ったのですが、転移なのかも知れませんね。いずれにせよ十二指腸癌は鑑別に挙げるべきですね。
通りすがり先生ありがとうございました!
消化管
51
正解 b,d
閉鎖孔を形成するのは外閉鎖筋と恥骨筋。
52
正解 e
圧迫像で潰瘍底が平坦であり(平皿様潰瘍)、辺縁に耳介様の隆起があり、胃悪性リンパ腫ではないでしょうか?
参照:KEY BOOK消化管やがん診療画像カンファレンスデータベース
K先生ありがとうございます!!!
53
正解 c
53
側面像で弧状変形あり(矢印部分)。sm massiveの大腸癌と考えられます。
sm浸潤が1000μmよりも深い場合は、ESD後に追加手術が必要になります。
(まずはESDでもいいとは思うのですが)追加手術が必要になる可能性が高いことを考えて、早期大腸癌-手術が答えではないでしょうか?
参照:側面変形
K先生ありがとうございます!!!
54
正解 b
過去問でも何度か出ている腹膜垂炎。
腎泌尿器・婦人科
55
正解 b
気胸の既往、肺嚢胞、腎癌からBirt-Hogg-Dubé syndromeが疑わしい。
56
正解 d
左腎にairあり。気腫性腎盂腎炎が疑われる。
57
正解 d,e
58
正解 e
膀胱頂部の頭側に腫瘤影あり。脂肪抑制T1WIで一部高信号あり。造影効果は一部のみ。膀胱(異所性)子宮内膜症の疑い。
59
正解 a
子宮前壁筋層内に出血性嚢胞あり。子宮前壁に子宮腺筋症疑い。
子宮外の内膜症性のう胞などと異なり、腺筋症内の異所性粘膜は血性ののう胞を形成しにくいが時に形成することがあり、これを嚢性腺筋症という。
60
正解 e
61
正解 e
鑑別としてfibroma, fibromatosisがあがるが、本症例では造影効果が強いのが一番の鑑別点と考える。
62
正解 c
左精巣T2WIでほぼ均一で分葉状の腫瘤影あり。造影にて均一に造影効果あり。セミノーマを疑う所見。
63
正解 c
治療前は、腎内小動脈に多発小動脈瘤を認めているが治療後にはそれらが消失。ANCA陰性などからPANが疑われる。
IVR
64
正解 c
胃静脈瘤を認めている。BRTOの適応。
核医学
65
正解 c
脳血流シンチにおいて頭頂側頭連合野及び後部帯状回から楔前部にかけて血流低下あり。ドパミントランスポーターシンチ(ダットスキャン)では有意所見を認めておらず。これらからアルツハイマー型認知症が疑われる。
66
正解 c
67
正解 b
ドーパミントランスポーターシンチにて両側線条体への集積低下を左優位に認め、両側ドット状の形態を呈している。PD症候群やDLBを疑う所見。
68
正解 a
69
正解 b?
異常Q波は心筋梗塞の既往あり。不整脈あり。運動負荷は不適応?
補足:b 左脚ブロック?とすれば運動負荷で中隔部欠損が生じやすく、薬物負荷が望ましい
70
正解 e
胆道シンチ。新生児肝炎と胆道閉鎖症の鑑別のため、より遅い相での撮像が必要である。
71
正解 a,e?
neuroblastomaの評価のためのMIBG?
72
正解 c?
疲労骨折とshin splintとの鑑別が問題ですが、shin splintであれば、脛骨内側沿いに集積がみられるはずなので、本症例は異なるか。
73
正解 c?e?
両側大腿骨頸部に異常集積あり。
74
正解 b
過去問通り。
75
正解 d
右股関節(大腿骨頸部)に強い+周囲に淡い集積あり。double density signを示唆する所見であり、関節内類骨骨腫を疑う所見。
76
正解 d
骨シンチグラムにて、左右の鎖骨および胸骨、仙腸関節に集積亢進を認めており、牛頭の形(bull’s head pattern)の所見。SAPHO症候群を疑う所見。
77
正解 b
褐色脂肪組織への集積。過去問通り。
78
正解 d
胸腺への集積あり。エピソードから、反応性胸腺過形成が疑われる。
79
正解 b
右頸部へのリンパ節転移により右反回神経麻痺→左側の声帯への集積が増強しているということを読ませる問題。
80
正解 b?→e?→b
80ですが、心臓が描出されている点でTlシンチのほうが考えやすいように思いましたがいかがでしょうか?
asdf先生ありがとうございます!!
2016-80に関してですが、
核種は67 Gaで、サルコイドーシス患者の縦隔リンパ節および心臓への集積ではないでしょうか。
201-Tlは筋への生理的な集積が見られるはずですが不明瞭です。また201-Tlで正常では描出されるはずの腎の描出も不明瞭です。さらに、骨髄へのびまん性の集積が見られることも201-Tlの集積とは違うのではと思います。 ご検討いただけると幸いです。
NERU先生ありがとうございます!!!
みなさんのコメントでコロコロ正解を変えてしまう管理人・・・orz
55の解説に関してですが、腎癌ではなくおそらくオンコサイトーマかと思います。
71番 核医学ノート第6版 p160に同じ症例?と思われる画像がありました.いかがでしょうか?
69番
完全左脚ブロックによる中隔部のアーチファクトではないでしょうか。運動負荷ではなく薬剤負荷を行うということを問いたいのでは?
左脚ブロックは虚血の偽陽性が出るため運動負荷をするべきではないと『わかりやすい核医学 第2版 p58』に記載がありました。
『核医学ノート 第6版 p181』にも同様な記載がありました。
勉強になりました。コメントありがとうございます。
80番ですが、cの可能性はいかがでしょうか?
心臓の集積は心筋への集積というより、心臓の周りを囲んでいるように見え、心囊水を見たものかもしれないと思います。Tc-MDPは悪性心囊水にも集積するようです。
http://www.rinshokaku.com/contents/pdf/sec11/2012-45-6_210.pdf
39番ですが、繊維腺腫と診断されても経過観察する必要があります(そのあとの40番のように、後に葉状腫瘍と診断される可能性もあるため)。正解はbだと思います。
39と40ですが、閉経後の陳旧性線維腺腫と閉経前の線維腺腫なので全く違う話になります。
39のテーマはマンモグラフィのカテゴリーかと思います。陳旧性線維腺腫を考える粗大石灰化はC-2となり、(医療機関での)経過観察は不要(で検診戻し)ということでしょう。40代以上のマンモグラフィの場合は自治体検診が前提ですので。(乳腺科の外来ではよくある流れです。)
40は閉経前の(石灰化のないいわゆるプルプルな)線維腺腫は葉状腫瘍との鑑別が時折困難であることがテーマと思います。病理でも時折鑑別困難のようです。
45番は食道静脈瘤も答えになり得ないでしょうか?肝AVMにて門脈圧亢進→食道静脈瘤形成という流れの報告も見受けられます。
もちろん脳膿瘍、毛細血管拡張も起こしうるので、3つ答えになるのでは?と考えました。
>28
気管支閉鎖症だと思います。
粘液栓は棍棒状・樹枝状・卵円形など様々な形態がありえます(新しい勘ドコロでは腫瘤の形態の症例が載っています)。
勘ドコロ(改訂前)に載っていた肺内気管支原性嚢胞はたしかに画像は似ていますが、これも「術前はCPAMと気管支閉鎖症の合併を疑われた」症例で病理は気管支原性嚢胞だった、という症例の紹介のように思えます。
肺内気管支原性嚢胞自体が珍しく、さらにそれが気管支閉塞をきたすというのは臨床的にはかなり稀ではないかと思いますし、試験で「最も考えられる」疾患として選ぶのであれば、やはり気管支閉鎖症が最適ではないでしょうか?