基礎(1-5)
1.
- a.× GM管では放射線のエネルギーがわからない。電子なだれを利用している。
- b.× 電離箱は比較的高い線量の測定に適している。
- c.○ 特にGe半導体検出器はガンマ線エネルギー分解能が約2 eVと非常に高い。
- d.× 検出感度に優れている。
e.○ 熱ルミネッセンス線量計(熱蛍光線量計、Thermoluminescent Dosimeter、TLD)は、検知器の内部の結晶が加熱されたときにそこから放射される可視光の量を測定することにより、放射線の被曝量を測定するための小さな器具である。(wikipediaより引用)。個人線量計やモニタリングポイントでの積算線量の測定に使用している。
1番の回答ですが、電離箱はどちらかというとエネルギー特性が良好で広い範囲のエネルギー検出にすぐれるように思います。一方でeはケイ酸マグネシウムの結晶に放射線を蓄積し、それに熱を加えることで発光する現象を利用し、発光量から放射線を計測しています。つまり一定期間結晶内に放射線がたまったものを回収し、熱を加えて発光させ計測することでその期間内の被曝量を算出する個人線量計として使用されているのだと思います。
よって、熱に変換して・・・のくだりは間違いで「熱を加えて光に変換して」だと思うので、eは×。
回答はb,cかと思うのですが・・・いかがでしょうか。
Y先生ありがとうございます!!!
2.
解答:d
- b.○ 管電圧も管電流も大きくすると、ノイズは減る。小さくするとノイズは増える。
- d.×
被曝量は、
腹部血管造影 100mGy以上のことも
>胃 X 線検査 100mGy
>胸部CT 20mGy
>マンモ 2mGy
>胸部X線 0.2mGy なので、CTはレントゲンの100倍と覚える。
3.
- a. × 低浸透圧を推奨すると記載あり。(推奨グレードは「該当せず」)。少なくとも高浸透圧はだめ。本邦では高浸透圧造影剤に血管内投与の適応はない。
- b. ×〜△? 高濃度(370mgl/mL)と中濃度(300mgl/mL)の腎機能へ及ぼす影響についての検討では、両者に有意差なし。低濃度については記載なし。
- c.× ステロイドや抗ヒスタミン剤を前投薬として用いた場合、副作用全体の発現率が低下したとの報告あるが、有効性は確立していない。
- d.× 利尿薬、特にループ利尿薬は推奨しない(グレード C2(科学的根拠はないけど、行なうように奨められていない。))。検査後もダメ。
- e.○ 12時間前→6時間前ならガイドライン上は○だけど12時間ならなおよし?×にする理由もない。
eGFR 30〜45 CINのリスク 2.9%→予防策(CT前後に補液など)を講じる。
▶予防策としての補液:(推奨グレードA(=やりなさい。))
- 0.9%生食(等張性補液)を6時間前より1ml/kg/hrで、終了後は1ml/kg/hrで6-12時間あるいは
- 重曹(1.26%,152mEq/l=等張、メイロンは高張なので使うならば薄めなければ成らない)を1時間前より3ml/kg/hrで、終了後は1ml/kg/hrで4〜6時間
参考)
4.
- b. × 患者間違いの対策として、CDのラベルなどに患者名や検査名の情報を記載する。
- c. × ブルーレイ渡されても困る。ブルーレイも誤りではないだろうが、CD-RやDVD-Rが一般的。
- e. 制定されている。
参考)獨協医科大学のページ
5.
- a:○
- c:遠隔読影していて、確かに患者さんの名前は見えるので×。
整形(6-11)
6.
解答:a
- T2WIで高信号。静脈奇形。
静脈奇形の治療
- 症状がなければ経過観察、あれば積極的治療を考慮する。
- 保存的治療:弾性ストッキング・サポーターなどによる圧迫。血栓形成による疼痛には消炎鎮痛薬、拡張した静脈の血栓は肺塞栓症の危険があり、抗凝固療法。
- 硬化療法、切除術。完全切除の不可能な病変では硬化療法が優位。
- レーザー治療:浅在性病変に対して。
7.
解答:a,b
- 脛骨関節面に骨皮質の断裂あり。ニボー像あり。関節内血腫の疑い。
- そもそもc-eはレントゲンではわからないのでは。
8.
解答:c
- いわゆるacral metastasisと呼ばれるもの。
※これらの部位に転移が見られたら、肺癌、腎癌を考える。
※手では末節骨、足では踵骨に好発する。
9.
解答:d
- 滑膜性軟骨腫症:MRIでの所見はPVNSに酷似。ただしCTで石灰化を有する点で鑑別できる。
10.
解答:d
- 坐骨結節の剥離骨折をハムストリング起始部に生じている。
11.
解答:e
8番の指のレントゲンと比較してもわかるように、骨膜下骨吸収を認める。
副甲状腺機能亢進
- 骨では、線維性骨炎、指骨骨膜下吸収像、骨量減少、頭蓋骨の塩胡椒像、歯槽硬線の消失。
副甲状腺機能亢進症⇒骨粗鬆症と骨軟化症
- 腎疾患による二次性副甲状腺機能亢進症(←低Ca血症に反応して起こる)
- 褐色腫(brown tumor)
褐色腫
- 嚢胞性疾患。副甲状腺機能亢進症の患者で溶骨性病変を見たときはまず考える。
- 骨膜下吸収など副甲状腺機能亢進症の他の所見を伴わず単独に認められることは稀。
頭頸部(12-21)
12.
解答:b
- DWIで高信号、ADCは低値。
- 造影でリング状に濃染されている。
脳でリング状増強効果を呈する疾患
- glioblastoma(膠芽腫)→形が全然違う。
- 脳膿瘍 ◎
- 転移性脳腫瘍 →内部があまりに染まらないし、この部位にだけ隣接しているのもおかしい。DWIもあまりに内部が高信号。肺小細胞癌などの細胞密度の高い病変ではDWIで高信号を呈することもあるが。
- 脳内血腫(亜急性期-吸収期) →明らかに今は被膜を形成している。出血ではない。
- 脳梗塞(亜急性期)
- 脳壊死
- 悪性リンパ腫(特にHIVに合併)
- 毛様細胞性星細胞腫
- 血管芽腫
- 神経節膠腫
- 多形黄色星細胞腫
- 結核腫
- 多発性硬化症
- 放射線壊死
- 嚢虫症 cysticercosis
13.
解答:e
- 脳実質外腫瘍。
- 単純CTで高吸収、T1WIで脳実質とほぼ等信号、T2WIではやや高信号、造影効果あり。脈絡叢乳頭腫がLuschka孔を介して小脳橋角槽の方に進展していると考えられる。
14.
解答:a,b
- 左優位に両側硬膜下血腫あり。
- 皮膚にあざあり。
→虐待か。もう1つはd?硬膜下血腫の原因はshaken-baby syndromeがメインであり、高いところからの落下というのは微妙。
- 血友病でもあざや硬膜下血腫が見られることはある。虐待と決めつけてはいけない!とは有名な話。らしい。
15.
解答:d
- T2WIで髄内に異常高信号。(静脈うっ滞による浮腫を反映)
- 脊髄周囲には背側優位に多数の異常なflow void。拡張・蛇行した異常血管を示唆。
- 造影T1WIではこの異常血管が脊髄背側表面の点状の造影効果としてとらえられる。
16.
解答:e→a
- dは側頭葉などに多い。
ADEMの画像診断
- 白質主体(皮質下/深部白室ともに)に分布するT2WIやFLAIRにて高信号を呈するスキップ状の多発性・両側非対称性病変。Mass effectは乏しい。
皮質結節と上衣下結節があるのでaの結節性硬化症だと思います。
てんかん発作で来院した意識レベル正常な患者がADEMとは考えにくいです。
上衣下結節は側脳室三角部にありか。
確かに意識レベル正常というのがADEMぽくはない(大部分は脳症症状(行動の変化または意識の変容)を含む)ですね。
R先生ありがとうございました!
17.
解答:b
- SAHの症例。左右差なく、両側Sylvius谷および前大脳縦裂、鞍上槽に広範に出血あり。前大脳縦裂のやや右側よりにfilling defect signを認めており、A-comからの破裂だと考えられる。
18.
解答:a
- 視床内側および下丘に両側対称性に高信号域あり。Wernicke脳症に特徴的な所見。
Wernicke脳症
- ビタミンB1(チアミン)欠乏 外眼筋麻痺、運動失調、意識障害
- 脳室周囲は特にチアミンに関連した糖代謝に高く依存しているとされ、第3脳室周囲(視床内側)、中脳水道周囲、第4脳室底、乳頭体が好発部位。
19.
解答:e
- 舌骨下の傍正中に嚢胞性病変あり。嚢胞は二房性か。矢状断では単房性。部位から、甲状舌管嚢胞。
- 第1 鰓弓囊胞…耳下腺、外耳道の近傍
- 第2 鰓弓囊胞…顎下腺の後方、胸鎖乳突筋の内側前方、頸動静脈の外側前方
- 第3 鰓弓囊胞…後頸間隙
20.
解答:a,d
- 左耳下腺にT2WIで低信号、STIRにて高信号の腫瘤性病変あり。99mTcO4-で集積あり。ワルチン腫瘍に特徴的。
ワルチン腫瘍
- 中年男性に多い。2番目に多い良性腫瘍。
※中年男性で下極の耳下腺腫瘍ならワルチンでよし。 - 耳下腺腫瘍の15%。
- 薄い線維性被膜を持つ楕円形の腫瘤。
- 両側性、多中心性発生が10%。
- 99m-Tcシンチにて集積像。PETでも集積あり。
- 中年・老年男性。
- 耳下腺下極後方(尾部)
- 境界明瞭な腫瘍
- 造影後は増強効果に乏しい。
21.
解答:e
- 単純CTで右上顎洞内に一部高吸収の腫瘤あり。内側壁には骨破壊像あり。造影にて軽度増強効果あり。T1WIでは等信号〜低信号。T2WIで腫瘤は著明な低信号。真菌性副鼻腔炎に特徴的。
真菌性副鼻腔炎の画像所見
▶CT所見(浸潤性):
- 骨破壊、内部不均一、真菌塊の石灰化、眼窩尖端部脂肪織の消失などが挙げられる。
- 周囲骨は多彩で、硬化像、硬化像、骨侵食、再構築が混在する。上顎洞内側壁には骨破壊像を認める。
▶MRI所見:
- 菌球はT1WIで低信号、T2WIで著明な低信号。
胸部(22-33)
22.
解答:d
- 肺底部に蜂巣肺を認めており、UIP patternを疑う所見。進行性であり、自然寛解しない。緩徐に進行する。病変は下肺野優位。
IPF(UIP)
- 原因不明の線維性間質性肺炎。
- 慢性経過。
- 男性に多い。
- 50〜70歳に好発。なので加齢もリスクファクターと言われる。(参考:NSIPの好発年齢は40〜50歳)
- 主症状は乾性咳嗽、息切れ。
- 治療抵抗性で予後不良。10年生存率は15%
23.
解答:a
- 若い女性。異型肺炎。CTで、左下葉に気管支壁の肥厚・小葉中心性の粒状影が見られる。これらから、マイコプラズマ。
マイコプラズマ肺炎の画像所見
▶胸部CT:
- 小葉中心性結節影(しばしばtree-in-bud appearance)
- (中枢まで目立つ)気管支肺動脈束の肥厚
- (気管支肺炎様の)小葉大のすりガラス・均等影・浸潤影
※lobular opacityと呼ばれる矩形の結節もしくは腫瘤が見られることや、大葉性肺炎を疑わせる広範な浸潤影や無気肺を呈するものもある。これは繊毛上皮に付着して粘液の流れを止める結果末梢無気肺となり、横隔膜が挙上するため。
- 中でも、小葉中心性結節と、比較的中枢側まで目立つ気管支壁の肥厚は、比較的マイコプラズマ肺炎に特異的な所見といえる。これは気道上皮(線毛上皮)に親和性が高く、太い気道から娘枝領域を含んだ末梢気道までを連続的に侵す特徴による (そのため咳が強い)。
24.
解答:b→e
両側肺野に粗大な腫瘤影。胸膜の石灰化あり。腫瘤にみえるのも胸膜の石灰化か?CP angleは石灰化spareされている。石綿肺の胸膜プラークか。
参考)中皮腫と職業性石綿ばく露に関する検討 中皮腫ですが、e 造船所労働者 が多いようです。
アスベストなら造船所労働者が最もリスク大ではないでしょうか?
ふらふら帝国先生ありがとうございました!
胸膜プラークとは
- 石綿曝露から15-20年後に生じる限局性胸膜肥厚。
- 外側後方、横隔膜、心膜側の壁側胸膜に多く、肺尖部や肋横隔膜角部はまれ。
- 基本的には、両側、片側もあり(その場合は左優位。)
- 柊の葉(holly-leaf)パターン。
- 胸膜肥厚(胸膜プラーク)の石灰化の頻度は10〜15%。
- CTでは両側性に板状の胸膜肥厚を呈し、石灰化を伴わない場合は筋肉に近い吸収値を呈する。石灰化を伴う場合、部分的に石灰化する際には壁側胸膜寄りに偏在していることが多い。
25.
解答:c?→e
- 肺に嚢胞複数あり。結節影複数あり。内部に微細な石灰化あり。慢性腎不全→アミロイドーシスか?石灰化も合う。
- ではなくて、慢性腎不全→異所性肺石灰化を言いたいのではないか?
肺アミロイドーシス
- ①気管気管支型、②結節型、③肺実質型の3タイプあり。今回は結節型か。
- 結節型では、0.4~5cmほどの結節を形成し、単発あるいは多発性で、しばしば末梢や胸膜下に境界明瞭な円形~やや分葉状を示す腫瘤として描出される。
- 石灰化が30~50%で認められ特徴的である。殆どが無症状。
M先生よりメールをいただきました。
肺アミロイドーシスは、AL鎖が主体であるようなのですが(http://pubs.rsna.org/doi/full/10.1148/radiol.12103540)、AL鎖→e 形質細胞増多症ということにはならないでしょうか?
詳しくはわからないのですが、肺アミロイドーシスは、AL鎖が主体の限局型と、AA鎖が主体の全身性アミロイドーシスに続発するものがあり、前者が確かに多いようです。そしてこのALタンパクは異常形質細胞から形成されるようです。これが形質細胞増多症となるのかは不明です。詳しい人教えてください。
26.
解答:b
- 右肺優位に、小葉中心性の粒状影、BVBの肥厚、小葉間隔壁の肥厚、major fissure沿いにも結節あり。広義リンパ路に広がる病変。なので、b。
広義リンパ路病変
- リンパ増殖性疾患(MALT lymphoma、多中心性Castleman diasease(LIPと画像は同じ)、LIPなど)
- 癌性リンパ管症
- 珪肺
- サルコイドーシス
- アミロイドーシス
- ウイルス、カポジ
- COP(BVBに沿った分布より)
- RA,Sjogrenに伴う膠原病肺
- IgG4関連肺疾患
27.
解答:c
- 両側肺の過膨張あり。CTでは、気腫性変化があるようにも見える。明らかなモザイクパターンは認めない。
閉塞性細気管支炎(BO:Bronchiolitis Obliterans)
- 膜性細気管支の粘膜下、気道周囲の炎症、線維化によって中心性の内腔狭小化が生じた状態。
- 原因:特発性、感染、有毒ガス吸入、膠原病、薬物中毒、移植
- 高度の非可逆性の気流障害
- CT画像所見:肺血管の狭小化を伴った透過性亢進、モザイクパターン、中枢側気管支拡張。
- Swyer-James症状群:幼児期のウイルス感染などによる閉塞性細気管支炎
28.
解答:b→c
- カテーテルは右鎖骨下静脈(ではなくて右内頸静脈なのでは?)→上大静脈→右房→右室→肺動脈本幹→右肺動脈まで入っているよう。もう少し引かなくてはならない。
スワンガンツカテーテル(Swan Ganz)
- 心機能の評価を行う事ができる。
- 心内圧の測定、心拍出量(Cardiac Output: CO) の測定、酸素飽和度の測定を行うことができる。※うち、心内圧の測定、心拍出量(Cardiac Output: CO) はフォレスター分類に入っている項目。
- スワンガンツでの心内圧測定箇所は5箇所
→①左肺動脈で肺動脈楔入圧 ②肺動脈本幹で肺動脈圧、③右房で右房圧、④右室で右室圧、⑤上大静脈で中心静脈圧を測定することができる。 - この5箇所の中でも特に重要なのが、肺動脈楔入圧。これもフォレスター分類に入っている項目だから。
▶合併症
- 深過ぎる事により、医原性に肺塞栓を起こす。
- カテーテルが動いて弁運動を阻害するため、心不全の悪化の原因となる。
参考)ICUナースのお勉強
29.
解答:c,e
- エピソードから肺動脈血栓塞栓症を疑う。
- Hampton humpは肺梗塞で末梢に見られる浸潤影。今は見られていない。
- 右肺動脈部にknuckle signありか。Westermark signは塞栓部以降の肺野の透過性が亢進するレントゲン所見。いずれもPEで見られる所見。Westermark signは正直よくわからない。
30.
解答:a
- 胸水、気胸、多発結節あり。
肺吸虫症
- 胸水貯留や気胸をきたす。
肺包虫症
- 胸膜炎、気管支炎をきたす。
続発性気胸の原因
- 肺気腫
- 嚢胞性線維症
- 気管支喘息
- 肺炎、肺膿瘍、肺結核
- 肺線維症
- 肺梗塞
- 転移性腫瘍(特に肉腫)
- Pulmonary Langerhans cell histiocytosis(PLCH)
- Lymphangioleiomyomatosis(LAM)
- 月経随伴性気胸
- (AIDSに伴う)ニューモシスチス肺炎
- 肺吸虫症
- 遺伝性疾患(Marfan症候群、Ehlers-Danlos症候群)
31.
解答:b
- 反回神経は、右が鎖骨下動脈、左が大動脈の下面を反回したのち同側の気管食道溝に沿って上行する。
- 今は低吸収腫瘤は右肺動脈の背側にあり、この位置で反回神経は走行しない。
32.
解答:b
- 両側肺野にcrazing paving apperanceを呈するすりガラス陰影の広がりあり。
crazy-paving patternが認められる疾患
▶感染症 ・細菌性肺炎 ・マイコプラズマ肺炎 ・ウイルス肺炎 ・SARS(severe acute respiratory syndrome) ・ニューモシスチス肺炎 ▶間質性肺炎 ・UIP,NSIP,AIP,COP ・薬剤性肺炎 ・過敏性肺臓炎 ・放射性肺臓炎 ・サルコイドーシス ・急性呼吸促迫症候群 ▶肺血管性疾患 ・肺水腫 ・肺出血 ▶腫瘍 ・細気管支肺胞上皮癌 ▶その他 ・肺胞蛋白症 ・リポイド肺炎 ・急性好酸球性肺炎 ・慢性好酸球性肺炎 ・溺水
33.
解答:d
- HIVが隠れていると思われる。
心血管(34-37)
34.
解答:a
- 上行大動脈が単純CTで高吸収を示しており、ダイナミック造影で遅延像で染まりあり。
高安動脈炎
- どの血管がやられるかで症状はさまざま。
- 総頸動脈→頸動脈反射亢進、視力障害
- 鎖骨下動脈→上肢血圧の左右差、上肢下肢血圧拡大、上肢のくびれ、冷感
- 上行大動脈→大動脈弁閉鎖不全症、心不全
- 大動脈壁が肥厚し、単純CTで比較的高濃度で、造影CTでよく染まる。
- 肺動脈壁にも認められる。上行大動脈には狭窄や閉塞は見られず、むしろ拡張することが多い。
- ただし、瘢痕期では、線維化して、血管の閉塞が主体となる。
35.
解答:a
- 原発性心臓腫瘍は稀。剖検例の0.2%以下。良性が7割。
- 原発性良性心臓腫瘍は粘液腫が最多で30%、続いて脂肪腫、乳頭状線維弾性腫と続く。
- 悪性では、血管肉腫、横紋筋肉腫、線維肉腫と続く。
- この問題、粘液腫でいいと思われるが、乳頭状線維弾性腫ではないのかと言われると・・・。
横紋筋腫
- 例外なく小児の腫瘍。心筋に発生し、結節性硬化症と関連することが多い。
- ほとんどは自然退縮し、脂肪変性を来す。
血管肉腫
- 圧倒的に右房壁に原発するものが多く、腫瘤を形成するものや、心筋に沿って浸潤するもの。心膜内播種内部は壊死や出血を反映して、造影CTで低吸収を呈する。
36.
解答:e
37.
解答:d
- 右冠動脈が横断像で、3時方向から出ている。正常は前(0時方向くらい)から出る。
右冠動脈起始異常
- RCAが左冠尖から分岐し、PA-Aorta間を走行する。
- 運動時などスリット状に狭小化し突然死のリスク。
乳腺(38-40)
38.
解答:c?d?
- 脂肪の含有あり。カテゴリー2。過誤腫か。
39.
解答:e
- 乳管に沿った分布。Branching-ductal pattern(乳管に沿った造影効果)でDCIS。
40.
解答:b
- 脂肪抑制T2WIで著明な高信号。造影で、辺縁を中心に隔壁に?造影効果あり。
T2WIで高信号→水の多い病変が高信号
- 嚢胞性病変
- 粘液腫様間質を有する線維腺腫
- 粘液癌
T2強調像で高信号を示す充実性腫瘤を認めたら
- 高信号=乳房内の静脈と同程度の信号強度
- まず線維腺腫を考慮し、粘液癌を否定して行く方向で。
- 選択肢に線維腺腫はないので、粘液癌。
小児(41-43)
41.
解答:b
- 小腸壁内にガスがある。
壊死性腸炎
- 生後30日未満(特に1週間以内)。30日以後に見られることもある。
- 早産時、低出生体重児、人工ミルク。
- RDSなどの低酸素血症のため、腸管循環の乏血や低酸素血症による腸管粘膜の抗炎症防御機構の低下、経口食物摂取による粘膜への刺激などが相まって、微小循環や壊死による腸管粘膜の損傷により腸管壁内にガスが漏出。
- 腸管の漿膜が破綻すると気腹。
42.
解答:e
LCH
- 小児から若年成人にかけてみられる。
- 従来histiocytosis Xといわれた原因不明Langerhans型組織球の増殖による肉芽腫形成性疾患。
- 病変は単発性に発生する事が多く、頭蓋骨、下顎骨、椎体に好発する。
- 病気に応じて椎体は種々の程度に圧潰するが、完全に扁平化することもある(Calve扁平椎、vertebra planaと呼ばれる。)
Calve扁平椎
- 単純X線写真で椎体の圧潰と濃度上昇、椎間板が保たれ、むしろ椎間板腔の拡大が見られる。
- LCHの他、外傷、骨巨細胞腫といった良性疾患の他、頻度は落ちるが、Ewing肉腫、骨肉腫、悪性リンパ腫でも見られることがある。
43.
解答:d→a
- d,新生児は正常でも胸腺が大きいのが正常。なので、胸腺「腫大」ではない。
2018/06/13追記
臥位正面像で、右の肋骨横隔膜角に透過性の亢進した部位が認められます。
一方で、気縦隔を疑わせるような所見は認められません。
cross table lateral view(仰臥位側面像)では、上方にairが集まって肺が圧排されているのが分かります。
cross table lateralは小児の気胸を見つけるための手法で、これが使われている時点で気胸が疑わしい問題ではないかと思います。
胸腺は正常かと思いますがいかがでしょうか。
- 気胸を疑う場合、必要であれば、側臥位撮影または背臥位での側面撮影cross table lateral viewを行い、前胸壁下の毛髪線を証明する。今回の画像では、毛髪線があるように見えます。
ただし、cross table lateral viewは、腹膜気腫の証明などさまざまなシーンで撮影されているようです。
なか先生ありがとうございました。
腹部(44-64)
44.
解答:b,(&c,a,d?)
Menetrier病
- 巨大肥厚性胃炎、胃巨大皺壁症とも呼ばれる。
- 原因不明の胃粘膜、特に胃底腺の過形成により雛壁が巨大に肥厚する疾患。
- 臨床所見としては低蛋白血症が特徴的。それに伴う下痢、腹痛、体重減少、浮腫など。
- 成人ではピロリ菌、小児ではサイトメガロウイルスとの関連が指摘されている。
- 画像所見:特徴的な巨大雛壁。この問題の画像は非常に典型的。
参考)巨大雛壁の鑑別診断
- 急性胃炎(柔らかい)
- 悪性リンパ腫、スキルス胃癌(固い)
- Menetrier病
- 皺壁肥大型胃炎
- 好酸球性胃腸炎
- アミロイドーシス
わかる!役立つ!消化管の画像診断P59より引用改変
Yuri先生ありがとうございました。
45.
解答:d,e
- Bird-of-prey sign=Bird’s beak signは、S状結腸軸捻転症で見られる注腸の像。
- Overhanging edgeは腫瘍境界部に癌腫が周囲粘膜を圧排挙上するように発育するため認められる注腸の像。(痛風における境界明瞭な骨びらんを意味するレントゲン所見にも動揺のフレーズが使われる)
46.
解答:a
- 典型的。
47.
解答:d
- 小腸イレウスあり。CTにて右閉鎖孔に腸管の嵌頓あり。
48.
解答:b
- KUBで軽度石灰化ありか。排泄性尿路造影で、腎杯の拡張が目立つ。花弁状。
海綿腎
- 腎錐体部に小嚢胞が多発し、集合管が拡張する先天性疾患。
- 両側性で全ての乳頭部に生じる。
- 先天性疾患であるが、症状が出る30歳以降の男性に多く発見される。
- 無症候性。血尿、尿路感染症、尿路結石など。
- IVPでは、造影剤が小嚢胞内に充満し、乳頭部に花房状陰影が出現する。あるいは、造影剤が拡張した集合管に充満するため花束状陰影を呈する。
49.
解答:a
- 腎髄質に石灰化あり。結核の場合は、皮質に石灰化あり。また結核の場合片側性が基本。
腎髄質の石灰化の鑑別
- 副甲状腺機能亢進症
- 甲状腺機能亢進症
- 遠位型尿細管アシドーシス:原因として、シェーグレン症候群、SLE、PSCなど。
- 腎石灰化症
- サルコイドーシス
- Cushing症候群
- Batter症候群
- 腎乳頭壊死
50
解答:b,c
- 両側副腎に低吸収を呈する多結節状の腫大あり。AIMAHを疑う。
プレクリニカルCushing症候群
- 副腎腫瘍からコルチゾールの自律性分泌はあるものの、軽度であるためにCushing症候群に特徴的な身体所見を呈さない病態。
51.
解答:d,e
右副腎結節あり。in-phase→out-of-phaseにて信号低下している=脂肪が含有されている。
原発性アルドステロン症
- アルドステロン産生腺腫はサイズが小さくても内分泌活性が高いことが多いため、約2割の症例ではCTでは異常を指摘できない。
- アルドステロン産生腺腫は片側副腎摘除で治癒が期待できるが、両側副腎からアルドステロン過剰分泌が認められる特発性アルドステロン症では手術による治癒が期待できないため、生涯にわたる薬物治療が必要。
52.
解答: b,d
- 右副腎に嚢胞変性を伴った腫瘤あり。MIBGにおいても集積あり。褐色細胞腫。
- MEN1=膵、下垂体、副甲状腺腺腫(すいすい不幸)、
MEN2=髄様、褐色細胞、副甲状腺腺腫(ずいずい不幸) - あとは、von Hippel-Lindau病。専門医試験は放射線科専門医も診断専門医もなぜかこの病気が大好き。
von Hippel-Lindau病
- 頻度4−5万人に一人。常染色体優性遺伝/孤発例(50%)
- VHL遺伝子の不活性化または欠損。
- 合併症:中枢神経系(血管芽細胞腫、上衣腫、星細胞腫)、網膜血管腫、腎細胞癌、褐色細胞腫、腎嚢胞、膵嚢胞、膵腫瘍。
- 診断基準
①VHLの家族歴と次の内1つ以上の内臓病変:褐色細胞腫、腎嚢胞、腎細胞癌、膵嚢胞、膵腫瘍、精巣上体乳頭状嚢胞性腺腫
②2個以上の中枢神経の血管芽細胞腫
③1個の中枢神経の血管芽細胞腫と内臓病変
53.
解答:a
尿道憩室から出るのは腺癌が多い。
54.
解答:a
肝の末梢にairあり。門脈内ガスを疑う所見。b-eはいずれも門脈内ガスを起こしうるが、aは関係ない。
55.
解答:a,e
肝に巨大嚢胞性病変あり。一部壁在結節のようにも見えるが…。腹水あり。回盲部に軽度壁肥厚ありか?発熱もあるし、肝膿瘍と考えると、aとeか。
56.
解答:d??
- CTで肝のびまん性高吸収。
- 鉄、Cu2+、Gd3+沈着では、常磁性体物質なので、MRで鋭敏に検出可能。なので、a、bは○か。
- cもアミオダロンや他、Gdやリピオドールなどで○。
- eも○だろう。だとするとd?高いことが分かっても仕方ない??
肝のびまん性高信号の鑑別診断
- 鉄:へモジデローシス、ヘモクロマトーシス
- 金:金コロイド療法後
- 銅:Wilson病など
- ヨード:アミオダロンやリピオドール注入後
- ガドリニウム:MRl造影剤
- トリウム:トロトラスト
- 糖原病
- ヒ素、タリウムなど
57.
解答:d
- 膵胆管合流異常あり、胆管非拡張型では胆嚢がんの発生比率が高い。なので、d。
膵胆管合流異常
- 膵管と胆管が十二指腸壁外で合流する先天奇形。
- 機能的にOddi括約筋の作用が合流部に及ばないために膵液と胆汁の相互混入が起こる。膵管内圧は胆管内圧よりも高いので、膵液は胆管側に容易に逆流する。
- 膵液と胆汁が混和すると膵酵素が活性化し、胆道粘膜に障害を起こし、過形成、化生、異形成を生じ、最終的に胆管がんや胆嚢がんが発生すると考えられている。
- 胆管拡張や胆管結石、膵炎の原因にもなると推測されている。
- 胆道癌の発生率が高いので、発見されれば分流手術(肝外胆管切除を行い、消化管と胆管を吻合することにより膵液と胆汁の相互逆流を遮断する)が行われる。
- 胆管拡張を伴うものでは胆管癌の発生比率が高く、胆管非拡張型では胆嚢がんの発生比率が高い。
- 共通管の長さが15mmを超えると合流異常とされる。MRCPで診断できる。
58.
解答:a
- 膵尾部のソーセージ様腫大。capsule like rim。自己免疫性膵炎(IgG4関連膵炎)の所見。
- IgG4関連疾患はb-eでは起こりうる。
IgG4関連疾患
- IgG4を中心とした疾患範囲は大きく広がり、涙腺、唾液腺、甲状腺、リンパ節、髄膜、大動脈、肺、心膜、胆管、腎臓、前立腺、皮膚など殆どすべての臓器に生じうる疾患と考えられる。
59.
解答:b
- 膵管非融合 pancreas divismの症例。胆管炎じゃなくて膵炎を合併しやすい。
膵管非融合 pancreas divism
- 背側膵管と腹側膵管の間に癒合が見られない発生異常。
- 背側膵からの膵液すなわち膵液の大部分が小さく狭い小乳頭に流出するため、膵液がうっ滞し、食事と関連した腹痛や膵炎の原因になると考えられている。
- 無症状のことも多い。
- 背側膵に慢性膵炎が見られることも多いが、稀に腹側膵に満たれることもある。
- 太い背側膵管が総胆管の腹側を走行し、小乳頭に向かう。背側膵管の遠位末端に嚢状の拡張を認めることがあり、santoriniceleと呼ばれる。
60.
解答:d
- 膵尾部に脾と同様の造影効果を呈する腫瘤内に嚢胞性病変あり。膵内副脾から発生した類表皮嚢胞。
類表皮嚢胞
- 隔壁様構造をもつ境界明瞭な多房性嚢胞性病変
- 嚢胞壁や外周には脾組織が確認される。なので、脾と同じ造影効果を示す。
- CA19-9やCEA高値例が多い。
- 充実成分を伴い隔壁様構造を有する境界明瞭な単房性・多房性嚢胞性病変であるが、充実性部分が副脾と断定できるかが診断のポイントとなる。
- 異所性脾組織の診断には、99mTc標識スズコロイドを用いた肝脾シンチグラフィーやSPIO造影MRIが有用とされる。造影MRIで脾臓と同程度のSPIOの取り込みがある。
- MRIにてT1WIでhigh、DWIでhigh。
61.
解答:b,c
- 胃十二指腸動脈瘤(GDA)動脈瘤の症例。稀な動脈瘤。
- GDAの塞栓には、
下膵十二指腸のアーケードの発達の確認が必要なので、 SMA造影は必要。 - 真性動脈瘤なら、packingであるが、
仮性動脈瘤は組織間に形成された間に血液があって瘤のように見え ているだけなので前後のGDAをしっかり塞栓するしかない。packingでは全く無効。
腹部動脈瘤の頻度
- 脾動脈瘤 60%
- 肝動脈瘤 20%
- 上腸間膜動脈瘤 5%
- 腹腔動脈瘤 5%
- 胃および胃大網動脈瘤 5%
- 空腸結腸動脈瘤 3%
- 膵十二指腸動脈瘤 2%
- 胃十二指腸動脈瘤 1%
動脈瘤治療法
- 瘤径が20mm以上で治療適応。腎動脈瘤は15mm以上。ただし、膵十二指腸アーケード動脈瘤はサイズによらず治療適応。
- あとは壁在血栓や壁の石灰化などを考慮する。サイズが最も大事。
- 真性動脈瘤の場合、動脈瘤頸部(neck)が動脈瘤の最大横径(dome)の1/2以下の場合はpacking。 1/2以上の場合はisolation。 ※isolationとは 動脈瘤遠位と近位をコイリングすること。
- 仮性動脈瘤の場合、Isolationと必要に応じてNBCA(ヒストアクリル)。
62.
解答:e
- 単純CTで高吸収あり、早期動脈相でextravasationと思われる像あり。仮性動脈瘤の破裂と思われる。
63.
解答:e
- 左卵巣に二ボーあり。T1WIおよび脂肪抑制T1WIにて高信号あり、内膜症性嚢胞。血性腹水を認めており、破裂か。
- 最終月経は1週間前だから、月経期から卵胞期。
64.
解答:b
- 脂肪および石灰化あり。
未熟奇形腫の画像診断
- 充実部と嚢胞が混在する。
- 細かい、ちりばめられたような脂肪と、同部に重なる増強される充実部。
- 細かい石灰化も見られることがある。
核医学(65-80)
65.
解答:d
- 65歳以下の早期アルツハイマー病の場合、代謝・血流低下は後部帯状回・楔前部、頭頂側頭連合野から始まり、病期の進行に伴い前頭連合野(前頭葉の運動野より前の部分)に進展する。
66.
解答:c,e(b)→a,d
右の前頭葉〜側頭葉にて血流低下あり。あるいは、左の血流が増えている可能性もあるが、やはり減っているのでしょう。→左側頭葉と左頭頂葉の血流増加ありと考える方が自然。
- 脳炎、てんかん発作直後は脳血流増加。
- 脳出血、一過性脳虚血発作は脳血流減少。
ふらふら帝国先生ありがとうございました!
脳血流が増加
- 脳梗塞亜急性期(贅沢)
- 脳塞栓の再開通時
- 発作中のてんかん(発作後もしばらくは高集積が遅延することがある。)
- 脳炎
脳血流が減少
- 脳梗塞(ただし亜急性期以外)
- 脳出血
- 左(右)被殻出血時の右(左)小脳
- 発作間欠時のてんかん
67.
解答:d
- 肺換気に対して、血流が低下している。肺血栓塞栓。
68.
解答:c
- 両側肺に著明な集積あり。両側腎にも集積あり。あとは脾、脳にも軽度の集積あり。
- 肺血流シンチグラフィの全身像での腎臓、脳、脾臓の描出は、右一左シャントの存在を示唆する。 特に腎、脾>肝が特徴。
右-左シャント
- 先天性心疾患(ファロー四徴、総肺静脈灌流異常、三尖弁閉鎖、大動脈弓離断、左心低形成症候群、完全大血管転位、純型肺動脈閉鎖、Ebstein奇形、両大血管右室起始、単心室、左右シャントのEisenmenger化(心房中隔欠損、心室中隔欠損、心内膜 床欠損、動脈管開存など)など)
- 肺動静脈瘻
- 肺動静脈奇形
- 肝硬変に伴う肝肺症候群など。
69.
解答:d
70.
解答:e
- 待てど待てど腎からなかなか排泄されない。排泄が遅延している。
- 尿細管壊死の場合、腎は均一に集積したまま。通過障害の場合は、腎盂〜腎杯に集積して、皮質は消えてくる。
71.
解答:b
- 頚部の集積は、実際の甲状腺の位置よりもやや上方か。異所性甲状腺への集積か。
- NaI 経口投与、消化管より2時間以内にほとんどが吸収、血液中に入り、甲状腺機能に応じて甲状腺に集積され、ごく一部が唾液腺、胃腺、乳腺に摂取され残余の大部分は腎排泄される。
72.
解答:b
- 後期像でも集積が残っている点から副甲状腺腫の疑い。
副甲状腺シンチ
- 2011年に保険適応になった。
- 99mTc-MIBI静注2~4時間後。早期像と後期像を比較する。
- 副甲状腺腫は後期像で集積が明瞭になる。
- 正常副甲状腺は描出されない。正常甲状腺の集積は約5分でピークとなり、以降は時間とともに減少。
- 有用な疾患:副甲状腺機能亢進症、異所性副甲状腺、移植副甲状腺
73.
解答:e
副腎皮質シンチグラフィ
- 原発性アルドステロン症、Cushing症候群および副腎性器症候群が疑われる場合、まず副腎シンチグラフィの適応となる。
- 前処置:甲状腺ブロックの目的で、ルゴール液を経口投与。
- アドステロール静注後2~3日目では、肝、胆嚢、腸管などが副腎と同時に描出され、副腎イメージと重なって読影の邪魔になるが、7~9日後の撮像では、肝、胆嚢、腸管の放射能はほとんどが消失し、副腎のみが明瞭に描出される。
原発性アルドステロン症
- 原因のほとんどは、副腎皮質腫瘍によるもの。両側副腎過形成による場合(特発性アルドステロン症)あるいは癌はまれ。
- 副腎皮質腺腫があると病側へのRI集積は増す。健側副腎はACTHを介したフィードバック機構によりややRI集積が抑制されることもあるが、Cushing症候群の場合ほど強くなく、健側副腎が全く描出されることは少ない。
- RI集積がなく診断に迷うとき(ほぼ1cm前後の腺腫が検出限界)、Dexamethasone抑制試験が行われることがある。正常副腎皮質はdexamethasoneにて抑制されるが腺腫では抑制されないため、腺腫だけが明瞭に描出されることが多い。
Cushing症候群
- 副腎皮質腫瘍によるものと両側副腎過形成によるもの、日本ではほぼ半々。
- 腫瘍の大部分は腺腫であるが、約10%は癌。
74.
解答:d
転移性石灰化
- 副甲状腺機能亢進症、腎性骨異栄養症など種々の原因による高カルシウム血症の際に、二次的に正常組織にカルシウム塩が沈着した状態。
- 全身の間質組織に生ずるが、特に血管壁、肺胞壁、腎や胃粘膜の間質などに多く、RIが集積する。
75.
解答:d
- 原発巣への集積は強くない。腎門部に集積はあるが。
- 腎細胞癌のPETの感度は30~50%。基本的に腎癌にPETは使えない。
- 腎細胞癌は脱リン酸化酵素活性のためFDG集積が低いものがある。腎実質のFDG集積や腎盂腎杯内の尿貯留によりバックグラウンドが高い。
参考)PET核医学認定医 臨床編6 腹部・婦人科領域
76.
解答:c(>b?)
- PETで肝腫瘍に著明な集積あり(SUVmax=33)。集積部位は均一。集積が強く、均一で、やはり悪性リンパ腫を選ばせようとしているのでしょう。
胆道系腫瘍
- 胆嚢癌や胆管癌にはFDGは比較的よく集積する。
- 腫瘤を形成しない浸潤性胆管癌などは偽陰性となることが知られている。
- 胆嚢炎や胆管炎などの炎症性疾患にも集積するので注意。
- 鑑別には遅延画像を取ると、炎症部位の集積は低下(腫瘍の集積は残存)するため、有効と報告ある。しかし、実際はしばしば困難。
参考)PET核医学認定医 臨床編6 腹部・婦人科領域
類上皮性血管内皮腫
- 低~中等度の悪性度で、通常多発、肝編に癒合して大きな腫瘤を形成する。
- 腫瘍は緩徐な増大、進行性の線維化を認めるため、肝表面が分葉状、陥凹、石灰化を有する。
77.
解答:c,d
- 左右対称に全身の筋に均一に集積している。運動後だと、使った筋に集積するはず。
補足:解答cdだがbd? c 脳の集積低下はみられない
78.
解答:d,e
79.
解答:d
- センチネルリンパ節シンチは手術前日もしくは当日に行う。
センチネルリンパ節シンチグラム
- 癌の原発巣からリンパ流を直接受けるリンパ節をガンマプローブで検出する手法。転移かどうかは診断できない。あくまで直接リンパ流を受けるリンパ節がわかるだけ。そこを生検してはじめて転移か否かわかる。この辺りは、専門医でも、細かい問題あり。
- センチネルリンパ節とは癌の原発巣からのリンパ流を直接うけるリンパ節。複数個あることもあり、癌の原発巣に最も近いリンパ節とは限らない。
- 乳癌と悪性黒色腫に保険適応あり。
80.
解答:a
イブリツモマブチウキセタン(分子標的薬商品名セヴァリン)
- 適応:CD20陽性の再発または難治性の低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫、マントル細胞リンパ腫。
- まず診断薬剤のインジウム111標識ゼヴァリン(111In ゼヴァリン)を注射
→48時間後に体内分布をシンチグラフィーにより撮影し体内分布を確認。問題なければ(骨髄などに異常集積あれば、重篤な骨髄抑制などを起こす可能性あり治療はしない)
→1週間後に、治療目的でイットリウム90標識ゼヴァリン(90Y ゼヴァリン)を静注。
→β線による内部照射による放射線治療を行なう。 - 外来治療が可能。
111In-イブリツモマブチウキセタン(ゼヴァリン)による判定-異常な体内分布とは?
- 著明な骨髄へのびまん性の取り込み(骨シンチのスーパースキャンに似た集積)
- 肝臓、脾臓、骨髄への局在的な集積(網内系への取り込み)
- 正常臓器への集積異常
①肺>肝へのびまん性集積
②後面像で、腎>肝への集積
③正常腸管>肝への集積かつ経時的変化がみられないもの
これらをいずれも満たさないので、aと考える。